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いかにして、地上を攻撃するのか?
魚雷だが魚雷ではないのだ。
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「地上攻撃用の武器が考えられないかだと・・・」と、サイトウ技官だ。
「ううむ、なるほど・・・」「現状のイ号潜水艦には地上攻撃用の武器が無いからな。」
「そうですよ、海上艦には大砲があります。」
「空母は艦載機が地上を攻撃できます。」
「しかし、我が潜水艦には魚雷しか・・・」
「それは、わかるんだが水中速度が落ちるぞ。」(甲板の大砲は水の抵抗が大きいのだ。)
「それで、速度を落とさない地上攻撃用の武器が要望書にあがってくるんですよ。」
「ふむ。」「よし、考えてみよう。」
こうして、潜水艦イ号専用の地上攻撃用の武器が考案されることになったのである。
英国へ2隻の潜水艦を回送して・・・それが、英王立海軍の専属へ・・・我が日本海軍としては誇れる話なのだった。
そして、ドイツ帝国の覇権が・・・日英軍事同盟により、我が潜水艦隊からユキカゼ・アサカゼ・ユウズキの3隻が派遣軍として・・・
こうして、英国には6隻の潜水艦が抑止力として役目を務めているのだ。
「ふむ、アイデアの原案は?」と、サイトウ技官が聞く。
「え、え、いまのところ、これだけありますが。」
「ふむ。」と、技官が原案をめくる・・・
「これは、おもしろいぞ。」と、1枚のメモを見る。
「魚雷の動力として、水素と酸化剤を混ぜて爆発させてスクリューを廻してるのだが・・・」
「え、え、1回こっきりのエンジンですね。」
「そのガスを噴射させて空中を飛ぶという案だ。」
「まさか・・・」と、係官がメモを見る。
「確かに、できないことはありませんが。」「コントロールが無理なんじゃないでしょうか。」
「きみ、オレもそう思ったんだが。」「これには、魚雷の胴体から翼をだして、それで制御すると・・・」
「まさか・・・」
「そうですね。」「できないことはないかも・・・」
「一度、確認して見てくれ。」
「ガスでエンジンを廻すより、ガスで噴射推進すれば効率がいいのは間違いないからな。」
「しかし、方向の操舵が無理だったんだ。」
「それで、翼を付けたんか。」 「そうだ。」
「海面から出たら、胴体から回転して出るんだ。」
「折り畳みでは強度が不足するんだ。」
「海面から出たら、まっすぐに飛んでいくのだ。」
「飛ぶ距離は燃料しだいだな。」
「その燃料で距離を調整するのか。」
「そうだ。」
「ふむ。」
「そして、これが姿勢制御装置だ。」と、回転する円盤が2枚入っている箱を示す。
「この中に回転する円盤が2枚ある。」
「回転する円盤は回転軸に水平に姿勢を保とうとするだろう。」
「あ、あ、コマみたいなモノか?」
「そうだ。」
「それで、まっすぐに飛ぶように尾翼をコントロールするのさ。」
「なるほど、フリーフライト模型飛行機の装置だな。」
「よく知ってるね。」
「あ、あ、障害物がなければ永遠に燃料が続くかぎり飛び続けるとかいう。」
まだ、民間には無線操縦は普及していなかったころの話だ。
しかし、この地上攻撃用の魚雷は欠点があったのだ。
それも、最大の欠点である、製造コストと時間だ。
姿勢制御装置だけでも・・・50万円という(当時の家1軒分だ。)
それに、部品が多くて・・・いままでの魚雷の10倍という・・・とんでのない製造費が・・・
それで、10発しか・・・造れなかったのだ。
そして、一度も試射をしていなかったのだ。
試しに試射なんて・・・とても・・・予算が許さないからだ。
しかし、虎の子の潜水艦隊だ。
英国とドイツ帝国の紛争で沈められては・・・元が取れない・・・
それで、6発を輸送船で英国の派遣軍まで運んだのである。
もちろん、この魚雷は英国には内緒だ。
それとなく切る札は隠しておくものだからだ。
そして、今回のドイツ帝国の侵攻軍へ初めて使うことに・・・
マツモト君も、まさか試射もしてないなんて・・・思ってもいないのだが・・・
そして、話はドーバー沖から魚雷を発射した時点へ・・・戻るのである。
「あっ、海面から飛び出したぞ。」
「魚雷から翼が出たぞ。」
「スクリューが切り離されたぞ。」
「すごい噴射炎だな。」
そう、現在でいう巡航ミサイルのトマホークの発射の噴煙と同じだ。
海面から出て、いったん高度が落ちたが・・・すぐにスクリューが切り離されて・・・噴射ノスルから盛大に噴煙が・・・
そして、ドーバーの丘を目指して・・・飛翔していったのだ。
「おい、どのくらい飛ぶんだろう。」
「ドイツ軍の上を越してしまわんだろうな。」
「まさか、そんなに飛ぶとは・・・」
「仕様書では、5キロから最大で10キロほどと・・・」
「なんでも、海中でのスクリュー走行の距離と足してそんなものらしいですよ。」
「ふむ、それでドイツ軍の頭の上で爆発するように調整したそうですが・・・」
「そんな、うまく行くとは思えないんだが・・・」と、マツモト君がいう。
なんせ、海面から飛び出して地上を攻撃できる武器は初めてだからだ。
「うむ。」「では、様子見に斥候を出すか。」と、マツモト艦長だ。
「またですか。」「戦果を見たいだろう。」
「わかりました。」「では、さっき行ったヤツラに再度指示します。」と、副官だ。
「そうだな、慣れてるからな。」
こうして、潜水艦マーガレット号から・・・工作船トヨダへ・・・無線が飛ぶ。
「おい、再度の斥候の指示が出たぞ。」
「チームは先ほどと同じだ。」
「おい、飯山君。」「ハイ。」
内心、またかよ・・・と、偵察戦車へ・・・
「飯山伍長、暖気は終わってます。」「燃料も満タンですよ。」と、整備長だ。
整備長は少尉クラスだから・・・
「整備長殿、ありがとうございます。」と、かしこまる飯山君だ。
「まあ、生きて還って来いよ。」「ハイ。」
そして、パレットに乗り海面へ・・・そして、ドーバーの浜へ上陸だ。
前回からの2回目だから・・・半分、ノンキなモノである。
ドーバーの丘の斜面を無限軌道が車台を軽々と持ち上げる・・・
偵察戦車は軽量だからか・・・カンタンに凸凹を越えるのだ。
「おい、噴煙が見えるぞ。」「まだ、消えてないんだな。」
と、やや心配になる飯山車長だ。
「おい、速度を落とせ、慎重に進むぞ。」
偵察戦車は新兵器の戦果を確認するために・・・岩山を越えるのだった・・・
「ううむ、なるほど・・・」「現状のイ号潜水艦には地上攻撃用の武器が無いからな。」
「そうですよ、海上艦には大砲があります。」
「空母は艦載機が地上を攻撃できます。」
「しかし、我が潜水艦には魚雷しか・・・」
「それは、わかるんだが水中速度が落ちるぞ。」(甲板の大砲は水の抵抗が大きいのだ。)
「それで、速度を落とさない地上攻撃用の武器が要望書にあがってくるんですよ。」
「ふむ。」「よし、考えてみよう。」
こうして、潜水艦イ号専用の地上攻撃用の武器が考案されることになったのである。
英国へ2隻の潜水艦を回送して・・・それが、英王立海軍の専属へ・・・我が日本海軍としては誇れる話なのだった。
そして、ドイツ帝国の覇権が・・・日英軍事同盟により、我が潜水艦隊からユキカゼ・アサカゼ・ユウズキの3隻が派遣軍として・・・
こうして、英国には6隻の潜水艦が抑止力として役目を務めているのだ。
「ふむ、アイデアの原案は?」と、サイトウ技官が聞く。
「え、え、いまのところ、これだけありますが。」
「ふむ。」と、技官が原案をめくる・・・
「これは、おもしろいぞ。」と、1枚のメモを見る。
「魚雷の動力として、水素と酸化剤を混ぜて爆発させてスクリューを廻してるのだが・・・」
「え、え、1回こっきりのエンジンですね。」
「そのガスを噴射させて空中を飛ぶという案だ。」
「まさか・・・」と、係官がメモを見る。
「確かに、できないことはありませんが。」「コントロールが無理なんじゃないでしょうか。」
「きみ、オレもそう思ったんだが。」「これには、魚雷の胴体から翼をだして、それで制御すると・・・」
「まさか・・・」
「そうですね。」「できないことはないかも・・・」
「一度、確認して見てくれ。」
「ガスでエンジンを廻すより、ガスで噴射推進すれば効率がいいのは間違いないからな。」
「しかし、方向の操舵が無理だったんだ。」
「それで、翼を付けたんか。」 「そうだ。」
「海面から出たら、胴体から回転して出るんだ。」
「折り畳みでは強度が不足するんだ。」
「海面から出たら、まっすぐに飛んでいくのだ。」
「飛ぶ距離は燃料しだいだな。」
「その燃料で距離を調整するのか。」
「そうだ。」
「ふむ。」
「そして、これが姿勢制御装置だ。」と、回転する円盤が2枚入っている箱を示す。
「この中に回転する円盤が2枚ある。」
「回転する円盤は回転軸に水平に姿勢を保とうとするだろう。」
「あ、あ、コマみたいなモノか?」
「そうだ。」
「それで、まっすぐに飛ぶように尾翼をコントロールするのさ。」
「なるほど、フリーフライト模型飛行機の装置だな。」
「よく知ってるね。」
「あ、あ、障害物がなければ永遠に燃料が続くかぎり飛び続けるとかいう。」
まだ、民間には無線操縦は普及していなかったころの話だ。
しかし、この地上攻撃用の魚雷は欠点があったのだ。
それも、最大の欠点である、製造コストと時間だ。
姿勢制御装置だけでも・・・50万円という(当時の家1軒分だ。)
それに、部品が多くて・・・いままでの魚雷の10倍という・・・とんでのない製造費が・・・
それで、10発しか・・・造れなかったのだ。
そして、一度も試射をしていなかったのだ。
試しに試射なんて・・・とても・・・予算が許さないからだ。
しかし、虎の子の潜水艦隊だ。
英国とドイツ帝国の紛争で沈められては・・・元が取れない・・・
それで、6発を輸送船で英国の派遣軍まで運んだのである。
もちろん、この魚雷は英国には内緒だ。
それとなく切る札は隠しておくものだからだ。
そして、今回のドイツ帝国の侵攻軍へ初めて使うことに・・・
マツモト君も、まさか試射もしてないなんて・・・思ってもいないのだが・・・
そして、話はドーバー沖から魚雷を発射した時点へ・・・戻るのである。
「あっ、海面から飛び出したぞ。」
「魚雷から翼が出たぞ。」
「スクリューが切り離されたぞ。」
「すごい噴射炎だな。」
そう、現在でいう巡航ミサイルのトマホークの発射の噴煙と同じだ。
海面から出て、いったん高度が落ちたが・・・すぐにスクリューが切り離されて・・・噴射ノスルから盛大に噴煙が・・・
そして、ドーバーの丘を目指して・・・飛翔していったのだ。
「おい、どのくらい飛ぶんだろう。」
「ドイツ軍の上を越してしまわんだろうな。」
「まさか、そんなに飛ぶとは・・・」
「仕様書では、5キロから最大で10キロほどと・・・」
「なんでも、海中でのスクリュー走行の距離と足してそんなものらしいですよ。」
「ふむ、それでドイツ軍の頭の上で爆発するように調整したそうですが・・・」
「そんな、うまく行くとは思えないんだが・・・」と、マツモト君がいう。
なんせ、海面から飛び出して地上を攻撃できる武器は初めてだからだ。
「うむ。」「では、様子見に斥候を出すか。」と、マツモト艦長だ。
「またですか。」「戦果を見たいだろう。」
「わかりました。」「では、さっき行ったヤツラに再度指示します。」と、副官だ。
「そうだな、慣れてるからな。」
こうして、潜水艦マーガレット号から・・・工作船トヨダへ・・・無線が飛ぶ。
「おい、再度の斥候の指示が出たぞ。」
「チームは先ほどと同じだ。」
「おい、飯山君。」「ハイ。」
内心、またかよ・・・と、偵察戦車へ・・・
「飯山伍長、暖気は終わってます。」「燃料も満タンですよ。」と、整備長だ。
整備長は少尉クラスだから・・・
「整備長殿、ありがとうございます。」と、かしこまる飯山君だ。
「まあ、生きて還って来いよ。」「ハイ。」
そして、パレットに乗り海面へ・・・そして、ドーバーの浜へ上陸だ。
前回からの2回目だから・・・半分、ノンキなモノである。
ドーバーの丘の斜面を無限軌道が車台を軽々と持ち上げる・・・
偵察戦車は軽量だからか・・・カンタンに凸凹を越えるのだ。
「おい、噴煙が見えるぞ。」「まだ、消えてないんだな。」
と、やや心配になる飯山車長だ。
「おい、速度を落とせ、慎重に進むぞ。」
偵察戦車は新兵器の戦果を確認するために・・・岩山を越えるのだった・・・
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