伊号式潜水艦。

ゆみすけ

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どんな戦車にも致命的な弱点があるのもだ。

キング・タイガー戦車の弱点。

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 キング・タイガーというドイツ軍の重戦車がある。
1リッターの燃料で167メートルしか・・・燃費が最悪の戦車だが・・・
 それが、致命的な弱点だったのだ。
それ以外には、初期のポルシェ砲塔に欠点があった。
 砲塔の主砲と車台の間の隙間が欠点なのだ。
そこて、砲撃が命中すると砲塔がもげるのだ。
 それで、ヘンシェル砲塔へ変更されたのだ。
ドイツ軍は、北アフリカで連合軍に負けて石油が入らなくなっていたのだ。
 つまり、動けないキング・タイガーとなってしまったのである。
では、海底戦車の欠点というと・・・胴体は潜水艇である。
 装甲はブリキではない。
4センチの鋼鉄の潜水艇なのだ。
 そして、2組の無限軌道が前後についている。
この無限軌道と潜水艇との接合部が欠点だったのだ。
 つまり、この接合部の隙間に砲弾が飛び込むと・・・無限軌道の動力部と潜水艇の船体が分裂してしまうのだ。
つまり、動力部がなくなれば・・・潜水艇は丘に上がったクジラなのだ。
 そして、接合部は前後に2ヶ所もあるのだ。
つまり、アキレス腱が2つあるということなのだ。
 マツモト君は日本での水上戦車模型の話から・・・
その模型は潜水艇に同じような無限軌道を付けた模型だった。
 ドイツ人技師の考えることは、日本人技師も同じようにかんがえるようだ。
そして、模型を動かして検分して・・・無限軌道と潜水艇の接合が欠点と判明したのだ。
 それで、この模型はボツになったとのことだった・・・
「いいか、敵の戦車は前後の無限軌道の接合部が欠点だ。」
 「そこを、慎重に狙え!」と、指示を出すマツモト中尉だ。
アランは、アラン配下の10両に、同じ指示を・・・
 そこは、潜水艦隊の仲間だ。
撃てば響く二人なのである。

 装填手が砲手の肩をポンだ。
「行けます。」と、砲手が叫ぶ。
 「てぇーっ。」と、車長が叫ぶ。
「ドウウン。」と、45口径の戦車砲が吠える。
 砲弾がまともに胴体に命中なら、海底戦車の丸い胴体で砲弾は撥ね反ってしまったことだろう。
4センチの潜水艇の胴体は丸いことで斜め装甲となり・・・4センチ以上の厚さが生まれるからだ。
 ところが、無限軌道と潜水艇の胴体の接合部は隙間となっていて・・・そこで砲弾が爆発すると・・・
無限軌道と胴体の接合部にヒビが入ってしまうのだ。
 重い潜水艇を支えてる接合部はヒビが入り・・・耐えきれずに・・・潜水艇部分と無限軌道部が・・・
潜水艇部分が無限軌道の動力部を置いたまま・・・転がって・・・腹をさらして・・・エンコしてしまったのだ。
 ドイツ兵らは、逃げ出そうにも・・・ハッチが地面で開かない・・・
ぶざまに、転がって終了なのだ・・・
 まさに、手も足も出なくなってしまったのだ。
「よし、1両あがりだぞ。」「次の戦車もだ~っ。」
 車長が砲塔から顔を出して叫んだ。
「なんだ、どうなってんだ。」「ハッチが開かないぞ。」
 「いかん、胴体がさかさまだ。」
「ぐぬぬぬっ。」と、悔しがるが・・・ハッチは海底戦車の上面にしか無い。
 非常脱出口を日本陸軍の戦闘機のように附けておけば・・・しかし・・・すでに、お寿司だ。
後日談だが、ドイツ兵らは・・・英海軍の水上戦車に引っ張ってもらい・・・
 つまり、ひっくり返った亀の腹を・・・ひっくり返して元へ戻してもらって・・・
やっと、ハッチから出られたそうだ。

 「陸軍は、どうだ。」「無線で聞いてみます。」「うむ。」
「こちら海軍戦車隊です、陸軍戦車隊どうぞ。」「ガー、ガー、ピー。」
 「よく、聞こえないぞ、再度どうぞ。」「ガー、スー、ピー。」
「隊長。」「なんだ。」「陸軍の返答が・・・」「わかった。」
 マツモト中尉は、これは陸軍が苦戦してるな・・・と、想像する。
余裕があれば、アンテナを戦車から展開して無線が届くはずだ。
 陸軍のマークⅣ型はアンテナを竿で上げて無線の電波が届くように・・・それが、できないのだろう・・・
つまり、苦戦しているのだろう・・・
 「よし、残りのドイツ軍は何両だ。」「22両ほどです。」
つまり、39両の海底戦車に内、10両は陸軍へ・・・残りの29両が向かってきたから・・・
 7両ほど不動にしたのだ。 当方の水上戦車は機敏な動きで敵を翻弄して・・・1両も敵に喰われていないのだ。
そこは、さすが日本軍だ。 世界イチのウワサはマジだったようだ。
 見ると、最後尾が敵から離れていくとことだ。
「よし、螺旋攻撃だ。」「先頭から、再度の突撃だ。」「了解。」
 冷静な返答が無線から入る。
その頃には、敵も英海軍の戦車隊が海底戦車の欠点を見抜いたことを・・・
 「まずいぞ。」「横の隊列を固めるんだ。」「戦車の接合部を攻撃させるな。」
と、バインケル少尉が無線で叫ぶ。
 固まれば、少なくても淵の戦車しか攻撃はできないからだ。
そして、陣を造って各個撃破するしかないからだ。
 攻撃の指示はカンタンでなければならない。
複雑な指示は混乱を招くからだ。
 
 「敵は陣を造ってるぞ。」と、アランから無線が入る。
「なんだと、攻撃をかわすためだな。」と、即・判断するマツモト中尉だ。
 水上戦車は、動いてる内は敵の攻撃は防ぐことができる。
速度40キロ毎時で機敏な動きでは、敵の砲撃は、なかなか当たらないのだ。
 そして、停止と同時に砲撃して・・・即、移動だ。
ちょこまかと動きまわるのは、日本軍の十八番なのだ。
 小柄で俊敏な日本兵に、敵は苦戦するのだ。
「残りの敵戦車は15両ほどです。」と、無線が入る。
 そこで、マツモト隊長はアランへ・・・
「5両ほど、選抜して陸軍の応援を頼めるか?」
 「了解した。」「誰か、オレに続いてくるヤツは。」
あっと言う間に、5両の水上戦車隊が出来上がる。
 そのころ、英陸軍は3両のマークⅣ型がヤラれて・・・敵の海底戦車に苦戦を強いられていたのだ。
マークⅣ型は、戦闘速度が遅いのだ。(時速10キロが限度。)
 英海軍を助けて、気勢をあがるつもりが・・・
これでは、恥をかいてしまいかねない・・・
 
 
 

 
 
 
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