伊号式潜水艦。

ゆみすけ

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陸軍の菱形戦車とは?

最初の戦車なんだぞ、ありがたく思いなさい、だって・・・

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 鈴木技官が聞く。
「あのう・・・マークⅣ型って聞きましたが。」
 「うむ、英国陸軍は新型のⅣ型だそうだ。」と、統括参謀が答える。
「まさか、エンジン真ん中に載ってるヤツですか?」と、鈴木技官が聞く。
 「どうだったかな。」「だれか、知らないか?」と、参謀が面々を見るが・・・誰も発言しないようだ。
なぜなら、英国王立海軍のドイツ帝国のドーバー越えの対策会議だからである。
 海軍の会議に陸軍が参加する訳が無いのだ。
ここで、読者諸君に、英国の発明したころの初期戦車をカンタンに紹介しよう。
 第1次世界大戦は塹壕を互いに堀り、そこからの撃ちあいの戦闘が多かった。
塹壕は、何百キロと伸びたそうだ。
 そして、戦線は膠着してしまったのだ。
互いに、塹壕から撃ちあいをしても、敵は殲滅できはしないのだ。
 そこで、英国陸軍が考えたのが戦車である。
鉄の箱に入り、それを移動させて塹壕を攻めるのである。
 昔の攻城兵器と同じ、考えだ。
エンジンはガソリンエンジンの100馬力だ。
 重さは28トンもあり・・・そう、走行速度はヒトが歩く速度程度である。
ダンプに砂利を満載して・・・軽自動車のエンジンで動かすのより劣るのだ。
 それで、エンジンには整備する隊員が必要だったそうだ。(戦車内で整備ができたのだ。)
常に、エンストの危険が伴うのだ。
 故障しても、当然の兵器だったのである。
鈴木技官は、内心で陸軍は当てにならないな・・・と、思ったのだ。
 海軍国の英国は、どうしても陸軍はショボイのだ。
海軍がショボイ、ドイツ帝国の真逆なのである。
 エンストが稀なドイツ戦車とは、争いにはならないだろう・・・
実際、史実でもドイツ軍のA7V型の戦車は兵器として使えたそうだ。
 大戦末期に20両しか造られなかったのだが・・・18名も乗り組んだ、歩く城塞だ。
エンジンは100馬力が2基装備されてるから、それでも速度は8キロだったそうだ。
 マークⅣより乗り心地は、バネのサスペンション付きで良かったらしい。

 「それで、陸軍へとの打ち合わせは・・・」と、話が進む。
「あ、あ、オレが伝えておくよ。」と、参謀がいう。
 「そうか、では次の議題だが・・・」と、統括司令官だ。
日本軍も海軍と陸軍は仲が悪いが・・・英国も、同じようである。(日本ほどではないが・・・)
 ドイツとフランスは表立っては表さないが・・・隣国同士で仲が悪いのだ。
大抵の国は隣国とは、仲が悪いものだ。
 パヨクは、ことさらに隣国(特亜三国、シナ・南北朝鮮)と仲良くというが・・・それは、我が国を貶めるためなのだ。
 日本を貶めるのがパヨクの願望なのである。
憲法九条教のパヨク(朝日新聞など・・・)に騙されてはいけないのだ。
 そうだ、英国での会議の話だった。

 ここは、欧州のドイツ帝国、グルップ重工だ。
39両目の海底戦車の改修が終わり・・・貨車へ積まれて・・・カレ―市への鉄道線路へ運ばれていくところだ。
 サイモン博士がヴァルター男爵陸軍大将閣下へ・・・
「閣下、やっと整いましてございます。」「うむ。」
 「ごくろうじゃった。」「ハ、ハァ~ッ。」
「これで、ドーバーへ橋頭堡を構築できれば皇帝陛下もお喜びになられるであろう。」
 「ハ、ハァ~ッ。」と、慇懃にお辞儀をするサイモン博士だ。
サイモン博士は、シュタイン博士より応接が上手いようである。
 「39両の海底戦車だ。」「こんどこそ、蓄電池不良なぞ無いはずじゃ。」と、自信満々の博士である。
まさか、行方不明の1両の海底戦車が英国へ鹵獲されてるなんて・・・夢にも、思ってないドイツ帝国の面々なのだ。
 英国側が海底戦車の情報を、完璧に隠匿したからだが・・・
海底戦車は夜間に、こっそりポーツマス軍港の海軍工廠へ運ばれたのだ。
 海岸で海軍陸戦隊が水上戦車で戦ったので、陸軍へはバレていない。
そして、一部の人間しか、海底戦車を検分していないのだ。
 大英帝国の大女王様やマーガレツト王女様も知らないことなのだ。
情報は、知る人間が少ないほど漏れにくいのだ。
 日本から工作艦が運んだ水上戦車も・・・ごく一部の軍人や技師しか知らない話なのである。
ドイツ帝国へ水上戦車の情報が洩れれば・・・39両の海底戦車でドーバー越など・・・ドイツ帝国は計画しないだろう。
 海底戦車を最低でも100両は揃えるだろう。
攻撃は、敵の3倍の軍事力が最低条件なのだ。
 英国が20両の水上戦車とマークⅣ20両なのだ。
100両は揃えないと・・・攻撃はおぼつかないのだ。
 「それで、今回は前回の失敗を反省して、案内船を浮かべて、案内させることとした。」
と、ヴァルター男爵が説明する。
 「その案内船が海底戦車へ信号を送りながら、ドーバーへ・・・」
「そうですな、それなら迷うことはないでしょう。」と、賛同する参謀である。
 ドイツ陸軍では、1両の海底戦車が行方不明で捜索したが・・・発見できなかったらしい。
まあ、英国に鹵獲されていたのだが・・・それは、英国の秘匿情報なのだ。

 「諸君、諸君はドイツ帝国の先兵となり、長年の夢であった英国への鉄槌を下すのだ。」と、演説するヴァルター男爵だ。
 195名の陸軍の精鋭部隊である。
全員がⅣ号戦の経験者だ。(マジノ要塞攻略の精鋭だ。)
 「敬礼。」と、バインケル少尉の指揮でドイツ帝国式の右手を上がる敬礼だ。
ヴァルター男爵が退場する。
 「よし、案内船の信号をわすれるな。」「全員、出撃だ!」
「ヤゴール。」と、全員が高嗚する。
 カレー市の海岸に並んだ、海底戦車へ次々と乗り込む隊員達だ。
沖合いには案内する漁船が待機している。
 ちなみに、海底戦車は欠点を改修して、実用的な海底戦車になっていたのである。
ディート・フリート軍曹の遭難も役に立ったようだ。
 戦車が完全に水没するまでは、ジーゼル・エンジンで進む海底戦車だ。
34キロ先のドーバーの海岸を目指して・・・ドイツ帝国の長年の夢は実現しそうだったのだ。
 
 
 
 
 

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