伊号式潜水艦。

ゆみすけ

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思いがけない燃費の悪化だ。

海底の地形の把握は無理なのだ。

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 「まだかっ。」と、海底からカレ―市の海岸へ走行する海底戦車だ。
「あと、蓄電池は?」「1割を切りました。」
 そういえば、電動機の音が小さくなったような気が・・・するのだ。
「いかん、ここでエンコしたら・・・」と、マッハ軍曹は焦るのだ。
 「空気は、どうだ。」
「空気は十分です。」「うむ。」
 「電動機、停止しろ。」
「しばらく休ませる。」と、指示を出す。
 使い切れば、蓄電池はカラになるのだ。
すこしでも、電気がある内に休ませれば・・・すこしは復活するのが電池というモノなのだ。
 特に、温度が大切だ。
温度が低下して、寒冷になるほど蓄電池は能力が落ちるのだ。
 現在の完全電気自動車がそうだ。
冬は、走行距離が夏期の半分ほどにまで落ちることもあるそうだ。
 「蓄電池の温度は?」機関員が、「23度です。」と、答える。
ならば、しばらく待ってれば、少しは蓄電池が復活すると思われるのだ。
 こうして、海底戦車はカレー沖で海底で立ち往生を・・・

 「そろそろ、戻ってきてもよさそうなんだが・・・」と、ドイツ陸軍の参謀が心配顔だ。
ここは、カレ―市の海岸だ。
 浜辺に海へ無限軌道の跡が・・・附いている。
そうなのだ、ここの浜辺から海底戦車は試験運行を始めたのである。
 グルップやハインケルの技師達も心配顔だ。
「エルベ川での走行は成功したんじゃ。」「問題なぞ、ないですぞ。」と、サイモン博士は主張するが・・・
 なかなか、帰ってこない海底戦車だ。
そして、海底戦車との無線通信は・・・海底戦車が海中にいるときは無理なのだ。
 「ううむ、無線が使えないことはなんともしがたいんだが・・・」と、サイモン博士は思うんだが・・・
電波は水中は伝達しないのだ。
 長波という、周波数が長い波長は・・・すこしは届くんだが・・・長いアンテナが必要だ。
海底戦車は全長が12メートルほどだ。
 万トンクラスの船なら・・・アンテナも張れるんだが。

 「蓄電池は、どれくらい復活したか?」と、マッハ軍曹が機関員へ聞いた。
電動機を停止したから・・・そろそろかな・・・
 「1割を越えました。」「そうか、南方へ進路を取るぞ。」
「ジーゼルで充電せねば、なんともできないからな。」「ヤー。」
 「できるだけ、蓄電池に負担をかけないように、そろそろ進むんだ。」と、車長の軍曹が指示をだす。
そこは、Ⅳ号戦車で戦車の運用は慣れているから・・・危機管理は、できるのだ。
 まだ、カレー市までは・・・あるんだが・・・海底戦車はジーゼルが動かせる陸へ・・・あがることができたのだ。
 「電動機は充電機へ回路を変えろ。」「ジーゼルのヒーター電圧は・・・」
「軍曹殿、電圧が足りません。」
 ジーゼル・エンジンは点火プラグは無いんだが・・・シリンダー内の温度を上げねばならない。
つまり、ヒーターを熱する電圧が必要だったのだ・・・
 ここが、よければ・・・あそこが足りない・・・と、なかなか先行きは困難なようだ。
「仕方がない、また蓄電池を休ませるぞ。」と、海岸で小休止する海底戦車である。
 「無線は使えますが。」と、通信員がいうが・・・
「ダメだ。」「いまは、余計な電気は使いたくない。」と、車長は判断したのだ。
 無線機は真空管の無線機だ、電気をかなり使うからである。

 「くそっ、捜索隊を編成しろっ!」と、とうとうサイモン博士が決断したのだ。
「もう、待ってはおれんぞ。」「どこかで、なんか危機的状況かもしれん。」
 「フランスのスパイに海底戦車が漏れてしまいかねないぞ。」と、危惧する博士なのだ。
なんせ、潜水艇に無限軌道がついてるのだ。
 写真が1枚でも、あれば・・・英国へバレたら・・・長年のドイツの野望が・・・
「いいか、なんとしても・・・海底戦車を発見するのだ。」
 と、海へは捜索艇が・・・陸からは捜索隊の自動車が・・・
カレー市からダンケルク方面へ・・・
 そして、海岸から上がってきた海底戦車は、その異様な風体をフランス市民へ晒していたのだ。
「なんや、あのケッタイなモノは?」「クジラかな。」
 「おまえは、バカかっ、あれは・・・なんやろな?」
「なにが、バカだ知らないのは、お前も同じじゃないか。」
 「なんだろうな。」「そうだ、お前は写真器をもってたな。」「あ、あ。」
「あれを1枚、写真に撮るのだ。」「それを、大学の先生へ見せれば・・・」「なるほど。」
 写真器はフランス人が発明したのである。
そして当時は、米国でエジソンとコダックがセルロイド製の35ミリフィルムを考案して販売を始めていたのだ。
 あの35ミリは幅は、エジソンとコダックが適当に考えたのだ。(これくらいで、いいだろう。)
こうして、海底戦車の不思議な形態は写真へ撮影されることに・・・
 もちろん、その事実は海底戦車の隊員らは・・・知らないことである。

 「おや、あれは・・・」「おい、あれだぞ。」
捜索隊に発見される海底戦車である。
 そして、蓄電池が足りないから・・・もろもろの事情が・・・
それで、技師らが現場まで・・・
 そして、ドイツ帝国の憲兵隊が海底戦車をスパイから守るべく・・・周りを囲んだのだ。
「これは、危険なモノだ。」「側へ寄っては・・・イカンぞ。」
 周りにいたヤジ馬を排除する、ドイツ軍の憲兵隊員だ。
しかし、すでにお寿司なのである。
 1枚の写真に海底戦車は撮影されていたのである。
そして、憲兵隊に知られることもなく・・・現像をされて・・
 
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