伊号式潜水艦。

ゆみすけ

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マツモト艦長と磯崎艦長。

派遣軍との会合。

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 駆逐艦リバースに先導されてポーツマス軍港へ入港する日本海軍潜水艦隊だ。
はるばる、極東からの長旅だった。
 マジで、地球半周である。(かつての、ロシア軍バルチック艦隊は喜望峰周りで半年かかったのだ。)
色々な試験を兼ねての航海だったからか・・・半月のはずが・・・約1ヶ月ほどかかってしまった。
 しかし、なんとか英国のポーツマス軍港までの航海をきなすことができたのだ。
潜水艦隊としての艦隊行動が問題なくできるようになったということは、意味が大きいのだ。
 本来なら、補給艦を追随せねば、無理な航海であるからだ。
「そうだ、工作艦と兵站艦は・・・」と、後続の艦の心配をする磯崎艦長である。
 「いまごろは・・・スエズ運河あたりかな・・・」

 「遠路、はるばると・・・」と、日本人ぽい英海軍の士官が出迎えてくれた。
そう、我らがマツモト中尉殿である。
 日本海軍から潜水艇と共に英海軍へ移籍した猛者である。
「あなたが、話に聞く伝説の・・・」と、英国貴族の令嬢を娶った士官として有名だったのだ。
 そう、ある意味では・・・
日本では、それなりに有名らしいのだが・・・詳しい話は聞かない方が・・・本人のためのような・・・
 「これが、新造イ号ですか。」と、まじまじと新造潜水艦を観るマツモト艦長である。
「のちほど、艦内を案内しますよ。」「それは、ぜひ!」と、期待するマツモト君だ。
 「マツモト、紹介してくれ。」と、同僚のアランだ。
「こちらは、貴族士官のアラン中尉だ。」
 「こちらは、日本海軍の磯崎少佐だ。」
潜水艇の当時は少尉が艇長だったが・・・新造イ号潜水艦は駆逐艦と同列の少佐が艦長なのである。
 すると・・・マツモト・アランの両人は中尉から・・・
いきなり、少佐は無理である。(2階級の特進は無理だ、戦死ならアリだが・・)
 なら、大尉かな・・・(後日、マーガレツト王女様より大尉への進言があったのだが・・・)
潜水艦が日本の工作艦で改造されて、駆逐艦と同列になれば・・・大尉の可能性もあるかもだ。

 「かなり、大型になったんですね。」と、マツモト中尉がいう。
「え、え、旧型のイ号は2000トンクラスでしたが。」
 「この、新造艦は3000トンクラスですから。」
「外洋航海も難なくこなせますよ。」と、太鼓判を押す。
 なぜって・・・はるばる地球半周した実績があるからだ。
「新型充電池で、以前の希硫酸蓄電池より体積が小さくなりましたからね。」
 「それで、かなりの燃料を搭載できますよ。」
「えらく、舵が大きいですね。」と、艦尾に生えてる舵を観る。
 「飛行機並みの舵ですからね。」と、笑う磯崎艦長だ。
「内緒ですが、水中で宙返りできるんですよ。」
 「まさか、マジで?」「え、え、1回試したら、出来ました。」と、明かす磯崎艦長だ。
「そういえば、スクリュウーは1個なんですね。」
 艦尾に半分見えるスクリュウーを示す。
「え、え、魚雷の真似ですよ。」と、笑う磯崎艦長だ。
 なんせ、スクリューは2枚の反転スクリュータイプだ。
「これで、駆逐艦並みの速度がでますからね。」
 「それに、反転スクリューですから、当て舵がいれないですから。」
そうなのだ、プロペラ飛行機もそうなんだが・・・回転軸のモーメントの関係で舵が真っ直ぐでも直進しないのだ。
 それで、プロペラ飛行機は単発なら当て角度が付いてるのだ。
潜水艦では、単スクリューだと当て舵が・・・この、新造イ号は反転スクリューだから・・・真っ直ぐに進むのだ。
 「それに、変な格好のスクリューですね。」と、マツモト中尉だ。
「あれは、スキュードプロペラといって、音の発生が少ないですから。」と、磯崎艦長だ。
 「なるほど、パッシブ・ソナー対策ですな。」
「よく、わかってますね。」
 「以前のイ号より、音の発生は半分ほどになりましたよ。」
「現在、日本では無音潜水艦を研究してるんですよ。」と、磯崎艦長が明かす。
 「日本は忍者の国ですから、忍者型という命名までしてますよ。」
確かに、日本の忍者は欧州には無いから・・・英国陸軍も興味を示してるほどだ。
 人種が違うと、変装が無理かもだ、ところが忍びは・・・闇に隠れて・・・盗聴したり・・・軍事書類を盗みだしたり・・・
 「海中で無音なら、完璧に隠れることができますからね。」と、磯崎艦長が将来展望だ。
日本は奇襲作戦が得意な国だ。
 夜討ち朝駆けは、日本軍の常套手段なのである。

 「うむ、これで潜水艦隊は6隻に。」
「え、え、ドイツ海軍は7隻との話ですから。」
 「これで、ドイツ海軍とも、張り合えるな。」
統合参謀が自信たっぷりである。
 どうやら、駆逐艦の艦長からドイツ潜水艦からの追跡を振り切った話を聞いたようだ。
「英国は、ドイツ帝国との開戦を?」と、磯崎艦長が聞く。
 「フランス大使からは、せっつかれてはいるんですが・・・」
「大女王様も思案に・・・」と、参謀がいうのだ。
 ドイツ帝国のドーバー越えは、今のところ・・・無いとの予想だからだ。
なんせ、英国王立海軍だ。
 世界の雄なのだ。
現在は、米海軍が世界の雄だが・・・当時は、英国王立海軍が世界の雄だったのである。
 
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