伊号式潜水艦。

ゆみすけ

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ドイツ帝国の潜水艦も、なかなか侮れないものだ。

追っかけっこ・・・では、あるんだが・・・

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 「まだ、附いてきてるか。」と、最後尾のイー18号、通称ユウズキへ無線で聞く。
「ギリ、見えますね。」と、ユウズキの艦長から返事だ。
 「機関室。」と、艦内電話の艦長だ。
「なんでしょうか。」と、機関長が・・・
 「まだ、いけそうか。」
「換気がいいから、行けますよ。」と、返答だ。
 「無理しない程度に頼んだぞ。」「了解です。」
機関長は内心・・・(無理してるにきまってるじゃないか・・・)
 ジーゼル・エンジンは回転数は毎分2000も廻せばギリなのだ。
自動車のジーゼルではないんだ。
 艦船用のジーゼル・エンジンだ。
ガソリン・エンジンはシリンダーの大きさに限度がある。
 しかし、ジーゼル・エンジンは巨大なシリンダーでもOKなのである。
しかし、工作機械に限度はあるから・・・気筒を増やすのだが・・・
 それでも、クランク軸が精度を保てないと・・・多気筒エンジンは無理だ。
つまり、クランク軸を加工する工作機械の能力で決まるのだ。
 まっすぐな棒が削れるか・・・ということなのだ。
エンジンの内部抵抗が(工作精度が悪いと・・・)大きいと熱となって・・・エンジンの馬力は落ちるのだ。
 現在でも、半分ほどは内部抵抗で馬力が落ちてるのだ。
ところが、電動機のブラシが無いブラスレス・モーターは効率がいいのだ。
 それで、飛行機用にも使えるのだ。

 「まだ、附いてきてるか。」と、ユウズキへ無線を入れる。
「え、え、ギリで附いてきてます。」と、返答だ。
 「あれを使うか。」と、先任へ・・・
「アレですか。」「でも、制限がありますが。」
 「30分だ、また充電すれば。」「わかりました。」
「機関長。」と、先任が艦内電話だ。
 「アレの使用許可を出す、艦長からだ。」
「わかりました。」
 「おい、野郎ども。」「ハイ。」
「ドイツ野郎を振り切るそうだ。」「アレですか。」
 「そうだ、いいか。」「いつでも、どうぞ。」
「タイマー入れろ。」「30分だ。」
 「秒読み開始。」
「9。」「8.」「7.」・・・・・
 「0.」 機関長がデカイ電極を入れ替える。
すると、廻っていなかったブラシ・レス電動機が・・・唸りをあげて・・・廻りだしたのだ。
 ジーゼル・エンジンとブラシレス電動機の同時運用なのである。
これは、潜水艦では普通は・・・やらないことなのだ。
 なぜなら、蓄電池は潜航するときに使うからである。
現在は海上航行だ。
 まあ、ドイツの潜水艦に追跡されてるんだが・・・
勝手についてくるだけなんだが・・・
 はっきり言って、ハエがブンブンで、煩わしいからである。
「駆逐艦へ。」「ハイ、こちらリバースです。」
 「ハイパードライブを掛けた。」「30分だが、了解してくれ。」
「リバース、了解だ。」
 英海軍駆逐艦も速度を上げる。
そこは、日本の潜水艦隊を観て加減をするのだ。
 
 「うむ。」「これは、なんとかしないと。」
磯崎艦長と先任は艦橋で向かい風を・・・まともに受けるのだ。
 飛行機ほどではないんだが・・・下手な自動車並みの速度で進む潜水艦なのだ。
艦橋に風防が・・・あわてて、似合わないんだが・・・サングラスを風よけにする両名だ。
 「ユウズキ、聞こえるか。」「追跡してきた不審船は振り切りました。」
「うむ、了解だ。」「機関長。」「ハイ。」
 「速度、巡行へおとせ。」「了解です。」
「ふう、これは風防をなんとかせねば。」と、。磯崎艦長が体を震わしたのだ。
 海風は体を冷やすからである。
「機関長、充電を頼んだぞ。」「ハイ、いまのところ問題ありません。」
 「充電室の温度に注意だぞ。」「ハイ。」
「現在のところ外気温との差は、5度くらいです。」
 「うむ。」
新型充電池は急速充電で温度が上がるのだ。
 下手な充電池だと・・・火災の恐れもあるからだ。
電池が膨らんできて、爆発の危険もあるのだ。
 それで、何度もの試験を経て・・・新型充電池を造った日本の技師らである。
もちろん、最大の軍事機密だ。
 電池を制するの者は、世界を制するのである。

 「機関長。」「なんですか。」
「充電池は、どうだ。」「いまのところ、膨らんだりはしてません。」「うむ。」
 磯崎艦長は、充電池に注意を怠らないのだ。
なぜなら、充電池が爆発する試験に立ち会ってるからである。
 急速充電で新型充電池が爆発する危険があることは、開発段階でわかっていたことだ。
急速充電とは、電圧ではなく電流を上げて充電することだ。
 電圧と電流は同じではない。
電圧はボルトが単位だ。
 電流はアンペアが単位だ。
その違いは、流れる河を例とすると・・・河の水の流れる速さが電圧であり。
 流れる量が電流なのだ。(これは、妄想ラノベだ、ウソ800かも)
馬力とトルクの差みたいなモノだ。
 相手を叩く腕の速さと腕の重さとの差である。
大きな電流ほど、太い導線が必要なのだ。
 細い導線に高アンペアだと・・・電線が燃えるのだ。
それで、何回も試験を繰り返して・・・急速充電の時間と電流の組み合わせを造りだしたのだ。
 そして、充電時の温度管理に五月蠅い規定ができたのだ。

 「ううむ、なんでだ。」と、ドイツ帝国の新造潜水艦の艦長であるハインリッヒは歯ぎしりするのだ。
「あそこまで、出せるとは。」と、驚愕もしたのだ。
 なぜなら、駆逐艦と遜色ない速度の潜水艦を目撃したからだ。
英国の駆逐艦が・・・追従するのが・・・やっとなのだから・・・
 「おそらく、30は出てるだろう。」
「我が、ドイツ帝国の新造艦が20がギリだというのに・・・」
 「黄色い猿は侮れんぞ。」
「ジーゼル・エンジンだと思うんだが、あそこまでは無理なはずだ。」
 総トン数3000トンクラスの潜水艦だ。
搭載できるジーゼル・エンジンも排気量は、だいたい想像ができるのだ。
 「絶対に無理なんだ。」「でも、どうやったら?」と、ハインリッヒは疑問を抱くのだった。
 
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