172 / 253
敵に拿捕されるくらいなら・・・
追いつかれた、ドイツ潜水艇だっ!
しおりを挟む
「ふむ、艦橋に間違いないな。」と、アランは確信する。
なんせ、潜望鏡が突き出てるのが見えるからである。
「ふむ、潜望鏡が出てるから、潜水艦かも・・・」
「いえ、艦長、この距離ですから・・・潜水艇と・・」と、先任士官だ。
海軍用に造られた双眼鏡は陸軍の6倍ではない。
完全防水の7倍で口径が5センチもあるのだ。
日露戦争当時は双眼鏡といえば、ドイツ製が幅を利かせていて・・・かの、連合艦隊総司令の東郷元帥はドイツ製の変倍双眼鏡だった。
しかし、こと、光学兵器に関しては日本人技師は相性が良かったのだ。
民族に得意不得意があるように、日本民族は望遠鏡とか双眼鏡などに、抜群に相性がよかったのである。
それが、現在の日本製デシカメにつながっているのである。
そして、その日本から光学兵器としての潜水艦用に双眼鏡が譲渡されているのである。
完全防水で、少し重いが、湿気にも強く、耐ショックガラスで落としても割れないレンズだ。
そして、視界には目盛りが浮き出て・・・その対象物の大きさや距離まで把握できるのだ。
英国製のショボイ双眼鏡では無理な話なのである。
「ふむ、なんとか追いつけそうだな。」と、アランがいう。
なぜなら、艦橋から船体までが見えるようになってきたからだ。
アランは・・・内心で天の神様へ感謝なのだ。
なぜなら、ポーツマス軍港でのロケット魚雷試射の責任を回避できそうだからだ。
あの、敵潜水艇へ・・・全責任を押し付ければ・・・いいんだ。
まさか、マジで敵の潜水艇が・・・そして、フランス大使との密約を・・・侮れないドイツ軍なのだ。
あそこで、アラン達がロケット魚雷の試射をしてなければ・・・フランス大使との密約はテロ攻撃で・・・
ご破算になっているだろう・・・
偶然とは、恐ろしいものであるようだ。
「おい、なんとかならないか。」と、艇長のハイネマンは焦る。
「このままでは、最悪は撃沈か拿捕されるぞ。」と、空気を読めない発言だ。
「・・・・」と、なんも言えない機関員だ。
蓄電池のモーター航行では、8ノツトがギリなのだ。
それも、30分あまりで蓄電池が・・・カラになるのだ。
「あがいてみたところで、なんもなりませんよ。」と、言いたいが、黙ってる機関員だ。
「そうだ、電気魚雷が1発、まだあったはずだ。」と、ハイネマンの顔が輝いた。
「ありますが、方角が反対ですが。」と、航海士だ。
魚雷は舳先から発射できるのだ。
潜水艦ではない、潜水艇なのだ。
発射菅は前部にあるだけなのだ。
「まだ、蓄電池は残ってるな。」「ハイ。」
「今のうちに転回しろ。」「わかりました。」
潜水艇5号はゆっくりと船体を転回させる。
その行動は、アラン達の英国潜水艦も当然に気が付くのだ。
「おい、なんか敵が転回してるようだぞ。」と、アランがいう。
「艦長、これはまさか・・・」
「うむ、魚雷攻撃かっ。」「いかんぞ。」
「敵の射線に入らないようにしなければならない。」
「潜水艦の舳先に見張り員を。」「アイサー。」
隊員の一人が双眼鏡を持って舳先へ・・・
そこで、敵の魚雷の進行方向を示すようだ。
「船首スラスターの用意だ。」「アイサー。」
船首スラスターとは、船の舳先に水流を噴射するノズルが左右に仕込まれていて・・・
その舳先の水流で船首の方向を変える装置だ。
桟橋へ接岸するときや、すばやく船首を方向変換するときの装置である。
もちろん、日本から最近になり入ってきた装置である。
「よし、方向はイイな。」「ヤボール。」(了解)
「電気推進魚雷、発射だ。」
「シュ、シュ、シュ・・・・」と、スクリューを廻して魚雷が走り出した。
ここで、電気推進魚雷の長所である。
いままでの魚雷は推進剤を混合してガスを発生させて、タービンエンジンを廻していたのだ。
それで、推進剤のガスが出るのである。
それが、魚雷の航跡となるのだ。
その航跡で魚雷が進む方向がわかるので、回避することもできるのだ。
ところが、電気推進魚雷は内臓の電池でモーターを廻して進むのだ。
そうなのだ、ガスが出ないのだ。
つまり、魚雷に航跡ができないのだ。
回避が不能のドイツ帝国自慢の新兵器なのである。
これは、大変だ。
あぶない、アラン!!!
このままでは、敵の魚雷の餌食なのだっーーーー!
潜水艦の舳先では、観測員が双眼鏡で海面を・・・
「ん、なんか黒いモノが・・・航跡がないぞ。」
「しかし、なんだろう。」
観測員は不審なモノが・・・と、合図だ。
「なんか、不審なモノだそうです。」と、先任士官が聞く。
そこは、なにかと経験がモノをいう先任士官だ。
「船首スラスター噴射だ。」と、いきなり指示だ。
潜水艦の舳先に水流が・・・そこへ、電気推進魚雷が・・・
スラスターの水流が魚雷の信管へ・・・
「バゴゴゴゴゴーーーーン。」と、爆発する電気推進魚雷だ。
「どうした、ヤラらたのかっ!」と、体を潜望鏡で支えるアランだ。
先任士官が、「被害を報告しろ。」と、マイクで叫ぶ。
混乱する潜水艦内だ。
「艦尾機関室、浸水ありません。」「蓄電池室、浸水なし。」
「ソナー室、ありません。」「通信室、浸水ありません。」
「前部魚雷室、浸水ありません。」
「艦尾魚雷無事です。」
「艦長、艦内浸水ありません。」
「うむ、どうやら間に合ったようだな。」「そうですね。」
「おそらく、スラスターで敵の魚雷を爆発させたのでしょう。」「うむ、そのようだな。」
「命中前に爆発して、なんとかできたようです。」と、先任が起き上がる。
「くそっ、やってくれるじゃないか。」と、敵の攻撃に対抗すべく・・・
先任士官が艦長へ・・・
なんせ、潜望鏡が突き出てるのが見えるからである。
「ふむ、潜望鏡が出てるから、潜水艦かも・・・」
「いえ、艦長、この距離ですから・・・潜水艇と・・」と、先任士官だ。
海軍用に造られた双眼鏡は陸軍の6倍ではない。
完全防水の7倍で口径が5センチもあるのだ。
日露戦争当時は双眼鏡といえば、ドイツ製が幅を利かせていて・・・かの、連合艦隊総司令の東郷元帥はドイツ製の変倍双眼鏡だった。
しかし、こと、光学兵器に関しては日本人技師は相性が良かったのだ。
民族に得意不得意があるように、日本民族は望遠鏡とか双眼鏡などに、抜群に相性がよかったのである。
それが、現在の日本製デシカメにつながっているのである。
そして、その日本から光学兵器としての潜水艦用に双眼鏡が譲渡されているのである。
完全防水で、少し重いが、湿気にも強く、耐ショックガラスで落としても割れないレンズだ。
そして、視界には目盛りが浮き出て・・・その対象物の大きさや距離まで把握できるのだ。
英国製のショボイ双眼鏡では無理な話なのである。
「ふむ、なんとか追いつけそうだな。」と、アランがいう。
なぜなら、艦橋から船体までが見えるようになってきたからだ。
アランは・・・内心で天の神様へ感謝なのだ。
なぜなら、ポーツマス軍港でのロケット魚雷試射の責任を回避できそうだからだ。
あの、敵潜水艇へ・・・全責任を押し付ければ・・・いいんだ。
まさか、マジで敵の潜水艇が・・・そして、フランス大使との密約を・・・侮れないドイツ軍なのだ。
あそこで、アラン達がロケット魚雷の試射をしてなければ・・・フランス大使との密約はテロ攻撃で・・・
ご破算になっているだろう・・・
偶然とは、恐ろしいものであるようだ。
「おい、なんとかならないか。」と、艇長のハイネマンは焦る。
「このままでは、最悪は撃沈か拿捕されるぞ。」と、空気を読めない発言だ。
「・・・・」と、なんも言えない機関員だ。
蓄電池のモーター航行では、8ノツトがギリなのだ。
それも、30分あまりで蓄電池が・・・カラになるのだ。
「あがいてみたところで、なんもなりませんよ。」と、言いたいが、黙ってる機関員だ。
「そうだ、電気魚雷が1発、まだあったはずだ。」と、ハイネマンの顔が輝いた。
「ありますが、方角が反対ですが。」と、航海士だ。
魚雷は舳先から発射できるのだ。
潜水艦ではない、潜水艇なのだ。
発射菅は前部にあるだけなのだ。
「まだ、蓄電池は残ってるな。」「ハイ。」
「今のうちに転回しろ。」「わかりました。」
潜水艇5号はゆっくりと船体を転回させる。
その行動は、アラン達の英国潜水艦も当然に気が付くのだ。
「おい、なんか敵が転回してるようだぞ。」と、アランがいう。
「艦長、これはまさか・・・」
「うむ、魚雷攻撃かっ。」「いかんぞ。」
「敵の射線に入らないようにしなければならない。」
「潜水艦の舳先に見張り員を。」「アイサー。」
隊員の一人が双眼鏡を持って舳先へ・・・
そこで、敵の魚雷の進行方向を示すようだ。
「船首スラスターの用意だ。」「アイサー。」
船首スラスターとは、船の舳先に水流を噴射するノズルが左右に仕込まれていて・・・
その舳先の水流で船首の方向を変える装置だ。
桟橋へ接岸するときや、すばやく船首を方向変換するときの装置である。
もちろん、日本から最近になり入ってきた装置である。
「よし、方向はイイな。」「ヤボール。」(了解)
「電気推進魚雷、発射だ。」
「シュ、シュ、シュ・・・・」と、スクリューを廻して魚雷が走り出した。
ここで、電気推進魚雷の長所である。
いままでの魚雷は推進剤を混合してガスを発生させて、タービンエンジンを廻していたのだ。
それで、推進剤のガスが出るのである。
それが、魚雷の航跡となるのだ。
その航跡で魚雷が進む方向がわかるので、回避することもできるのだ。
ところが、電気推進魚雷は内臓の電池でモーターを廻して進むのだ。
そうなのだ、ガスが出ないのだ。
つまり、魚雷に航跡ができないのだ。
回避が不能のドイツ帝国自慢の新兵器なのである。
これは、大変だ。
あぶない、アラン!!!
このままでは、敵の魚雷の餌食なのだっーーーー!
潜水艦の舳先では、観測員が双眼鏡で海面を・・・
「ん、なんか黒いモノが・・・航跡がないぞ。」
「しかし、なんだろう。」
観測員は不審なモノが・・・と、合図だ。
「なんか、不審なモノだそうです。」と、先任士官が聞く。
そこは、なにかと経験がモノをいう先任士官だ。
「船首スラスター噴射だ。」と、いきなり指示だ。
潜水艦の舳先に水流が・・・そこへ、電気推進魚雷が・・・
スラスターの水流が魚雷の信管へ・・・
「バゴゴゴゴゴーーーーン。」と、爆発する電気推進魚雷だ。
「どうした、ヤラらたのかっ!」と、体を潜望鏡で支えるアランだ。
先任士官が、「被害を報告しろ。」と、マイクで叫ぶ。
混乱する潜水艦内だ。
「艦尾機関室、浸水ありません。」「蓄電池室、浸水なし。」
「ソナー室、ありません。」「通信室、浸水ありません。」
「前部魚雷室、浸水ありません。」
「艦尾魚雷無事です。」
「艦長、艦内浸水ありません。」
「うむ、どうやら間に合ったようだな。」「そうですね。」
「おそらく、スラスターで敵の魚雷を爆発させたのでしょう。」「うむ、そのようだな。」
「命中前に爆発して、なんとかできたようです。」と、先任が起き上がる。
「くそっ、やってくれるじゃないか。」と、敵の攻撃に対抗すべく・・・
先任士官が艦長へ・・・
0
お気に入りに追加
47
あなたにおすすめの小説
満州国馬賊討伐飛行隊
ゆみすけ
歴史・時代
満州国は、日本が作った対ソ連の干渉となる国であった。 未開の不毛の地であった。 無法の馬賊どもが闊歩する草原が広がる地だ。 そこに、農業開発開墾団が入植してくる。 とうぜん、馬賊と激しい勢力争いとなる。 馬賊は機動性を武器に、なかなか殲滅できなかった。 それで、入植者保護のため満州政府が宗主国である日本国へ馬賊討伐を要請したのである。 それに答えたのが馬賊専門の討伐飛行隊である。
空母鳳炎奮戦記
ypaaaaaaa
歴史・時代
1942年、世界初の装甲空母である鳳炎はトラック泊地に停泊していた。すでに戦時下であり、鳳炎は南洋艦隊の要とされていた。この物語はそんな鳳炎の4年に及ぶ奮戦記である。
というわけで、今回は山本双六さんの帝国の海に登場する装甲空母鳳炎の物語です!二次創作のようなものになると思うので原作と違うところも出てくると思います。(極力、なくしたいですが…。)ともかく、皆さまが楽しめたら幸いです!
独裁者・武田信玄
いずもカリーシ
歴史・時代
歴史の本とは別の視点で武田信玄という人間を描きます!
平和な時代に、戦争の素人が娯楽[エンターテイメント]の一貫で歴史の本を書いたことで、歴史はただ暗記するだけの詰まらないものと化してしまいました。
『事実は小説よりも奇なり』
この言葉の通り、事実の方が好奇心をそそるものであるのに……
歴史の本が単純で薄い内容であるせいで、フィクションの方が面白く、深い内容になっていることが残念でなりません。
過去の出来事ではありますが、独裁国家が民主国家を数で上回り、戦争が相次いで起こる『現代』だからこそ、この歴史物語はどこかに通じるものがあるかもしれません。
【第壱章 独裁者への階段】 国を一つにできない弱く愚かな支配者は、必ず滅ぶのが戦国乱世の習い
【第弐章 川中島合戦】 戦争の勝利に必要な条件は第一に補給、第二に地形
【第参章 戦いの黒幕】 人の持つ欲を煽って争いの種を撒き、愚かな者を操って戦争へと発展させる武器商人
【第肆章 織田信長の愛娘】 人間の生きる価値は、誰かの役に立つ生き方のみにこそある
【最終章 西上作戦】 人々を一つにするには、敵が絶対に必要である
この小説は『大罪人の娘』を補完するものでもあります。
(前編が執筆終了していますが、後編の執筆に向けて修正中です)
織田信長 -尾州払暁-
藪から犬
歴史・時代
織田信長は、戦国の世における天下統一の先駆者として一般に強くイメージされますが、当然ながら、生まれついてそうであるわけはありません。
守護代・織田大和守家の家来(傍流)である弾正忠家の家督を継承してから、およそ14年間を尾張(現・愛知県西部)の平定に費やしています。そして、そのほとんどが一族間での骨肉の争いであり、一歩踏み外せば死に直結するような、四面楚歌の道のりでした。
織田信長という人間を考えるとき、この彼の青春時代というのは非常に色濃く映ります。
そこで、本作では、天文16年(1547年)~永禄3年(1560年)までの13年間の織田信長の足跡を小説としてじっくりとなぞってみようと思いたった次第です。
毎週の月曜日00:00に次話公開を目指しています。
スローペースの拙稿ではありますが、お付き合いいただければ嬉しいです。
(2022.04.04)
※信長公記を下地としていますが諸出来事の年次比定を含め随所に著者の創作および定説ではない解釈等がありますのでご承知置きください。
※アルファポリスの仕様上、「HOTランキング用ジャンル選択」欄を「男性向け」に設定していますが、区別する意図はとくにありません。
保健室の秘密...
とんすけ
大衆娯楽
僕のクラスには、保健室に登校している「吉田さん」という女の子がいた。
吉田さんは目が大きくてとても可愛らしく、いつも艶々な髪をなびかせていた。
吉田さんはクラスにあまりなじめておらず、朝のHRが終わると帰りの時間まで保健室で過ごしていた。
僕は吉田さんと話したことはなかったけれど、大人っぽさと綺麗な容姿を持つ吉田さんに密かに惹かれていた。
そんな吉田さんには、ある噂があった。
「授業中に保健室に行けば、性処理をしてくれる子がいる」
それが吉田さんだと、男子の間で噂になっていた。
異世界日本軍と手を組んでアメリカ相手に奇跡の勝利❕
naosi
歴史・時代
大日本帝国海軍のほぼすべての戦力を出撃させ、挑んだレイテ沖海戦、それは日本最後の空母機動部隊を囮にアメリカ軍の輸送部隊を攻撃するというものだった。この海戦で主力艦艇のほぼすべてを失った。これにより、日本軍首脳部は本土決戦へと移っていく。日本艦隊を敗北させたアメリカ軍は本土攻撃の中継地点の為に硫黄島を攻略を開始した。しかし、アメリカ海兵隊が上陸を始めた時、支援と輸送船を護衛していたアメリカ第五艦隊が攻撃を受けった。それをしたのは、アメリカ軍が沈めたはずの艦艇ばかりの日本の連合艦隊だった。
この作品は個人的に日本がアメリカ軍に負けなかったらどうなっていたか、はたまた、別の世界から来た日本が敗北寸前の日本を救うと言う架空の戦記です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる