伊号式潜水艦。

ゆみすけ

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マーガレツト王女号の活躍だ。

ボツになった兵器も捨てがたいものが・・・あるものだ。

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 ポーツマス軍港の飛行艇桟橋へ繋いである、マーガレツト王女号。
試作救助潜水艇の遊覧舟として改造したフネである。
 名前がマーガレツト王女号なので、捨てるに破棄できないのである。
完成と同時に命名してしまったからだ。
 それ以降、兵器は完成しても、実用できるか試してから命名するように・・・(やはり、日本のように地名が・・・)
救助潜水艇の内部は蓄電池やモーターを外して・・・ジーゼルエンジンだけだ。
 そう、観光用のポンポン船なのだ。(蓄電池を外せば、艇内は広いのだ。)
船体は救助潜水艇だから、まるでクジラである。
 それで、観光用にクジラの絵を描いて・・・パット見はクジラに見えるのだ。
それで、子供らが喜んで乗るのである。
 しかし、救助潜水艇だったから防水で潜水艦で運んでも水密なのだ。
それに、ハッチが上と下にある。(救助用の下のハッチ。)
 つまり、潜水艦で運用できる小型艇になりかねないのだ。
遊覧船として使っていたのだが・・・まさに、それ用に造ったかのような・・・
 まさに、天命としか思えないのである。
「これは、そのために造ったかのような・・・」と、驚くアランである。
 マーガレツト王女号は、遊覧舟として座席が多々あり、定員は20名である。
そして、操舵する隊員が1名、機関員が1名だ。(そして、ガイドが1人。)
 アランの妻のイチ族全員を余裕で乗せられるのだ。
「では、即日に救助活動実行だな。」と、マツモト中尉がアランを元気つけた。

 アランがマーガレツト王女号(遊覧舟)の艇長に・・・そりゃあ、自身の妻の家族のためだからだ。
それで、マツモト中尉のマーガレット4号潜水艦へ観光舟を接続する。
 そして、ハンブルク港のエルベ河口で遊覧舟を切り離し・・・アランが家族を救助して・・・
潜水艦へ回収するという作戦がたてられたのである。
 潜水艦はマツモト中尉の艦だ。
マーガレツト王女様が、「ふたりとも、必ず帰ってくるのじゃぞ。」「これは、わらわの命令じゃ。」
 と、死亡フラグを建てまくるが・・・美幼女のマーガレツト王女様だ。
まるで、妖精か少女天使である。
 つくづく、マツモト中尉はマーガレツト王女様の手下でよかったと・・・再確認したのである。
可愛いは、正義なのである。
 王族は、外観も大切なのだ。
可愛い顔やスレンダーなスタイルを維持するのも王族としての最低限の義務なのである。
 でないと、部下や手下が生死を賭けて守ってはくれない・・・
妻のカテリーナよりマーガレツト王女様を優先するマツモト中尉なのである。
 武士が仕える姫様と騎士が仕える王女様は、そういうものなのだ。
だから、姫様や王女様の盾となり、散っていくのである。
 「アランの妻のイチ族を必ずや・・・」と、マーガレツト王女様へ誓うマツモト中尉である。

 秘密裏の救助活動だ、見送りも無しで、ポーツマス軍港を出撃するマツモト艦長だ。
「よし、潜るぞ。」「ベント開け、注水だ。」「ジーゼルからモーター切り替え。」
 「水深30まで。」「ヨ~ソロ。」
「航海士。」「ハイ。」
 「エルベ河口へ到着は?」「そうですね、この分だと・・・」 計算尺で海図と、にらめっこだ。
「2時間と少しです。」「よし、深度30で・・・」「了解です。」
 「ソナー。」「ハイ。」「隠密行動だから味方だろうと、避けて進むから。」
「了解です。」
 ダンケルクから脱出する艦船で混乱しているはずだ。
用心に越したことはない。
 ドイツ軍の潜水艦に間違えられるかもしれないからだ。
「最悪はアクテブソナーで牽制するしかないな。」と、覚悟をするマツモト中尉である。
 アランが、「マツモト、クジラ(遊覧舟)は、大丈夫かな?」と、心配顔だ。
それは、初めて使うからである。
 いままでは、遊覧舟としてポーツマス軍港の観光案内用だったからだ。
「いや、それはそうだが・・・」「15名を乗せられるランチは無いぞ。」
 ランチはポンポン舟だ。 せいぜい、数人だ。
そこは、座席が20席はある観光遊覧舟が・・・
 「かつて、現役の潜水艇だったんだ。」「安心しろ。」と、元気つけるマツモト艦長だ。
「なんなら、オレが行こうか。」と、水を向けると・・・
 自身の妻の関係だからか・・・「そこは、オレが行かねばならない。」と、覚悟を決めるアラン君だ。

 「艦長。」「ん、なんだ。」
「エルベ河口の沖です。」「そうか。」
 「アラン、着いたぞ。」「アクデブソナーで、この艦の位置は知らせるからな。」「あ、あ、わかった。」
アランは副官と遊覧舟へ乗り込んだ。
 「よし、クシラを離せ。」「接続解除します。」
水深30でクシラ(遊覧舟)は海面へ・・・プカリと半分ほど顔を出す。
 パット見、クジラに見えるのだ。
「よし、このままハンブルク港まで河を上るぞ。」「アイサー。」(アイアイサーの略)
 遊覧舟クジラ号は、アランの亡命親族を乗せるために・・・ハンブルク港を目指して・・・
「おい、またクジラが紛れ込んでるぞ。」と、タグ・ボートの船員がいう。
 「またかよ、まあ北海へ通じてるからな。」
エルベ河は北海へそそいでるのだ。 
 それで、クジラなどが紛れ込んでくることが多々あるのだ。
ドイツ軍はダンケルクへ眼が入ってるから・・・クジラに興味はないようだ。
 遊覧舟クジラ号は、無事にアランの妻の家族を回収できるか・・・ハンブルク港まで・・・数キロだ。
 


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