伊号式潜水艦。

ゆみすけ

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呉軍港沖からの発進だ。

英国を目指して・・・

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 「出発します。」「エンジン暖気、終了。」「スロット全開。」「速度、300で離水だ。」「了解です。」
コパイ(副操縦士)と機長がコンタクトだ。
 二式大型飛行艇は波を蹴立てて・・・轟音を立てて離水する。
無事に離水したようだ。 眼下に呉軍港が見える。
 「あとは、任かせた。」「ハイ。」
機長が席を離れる。
 なぜかって? それは、王女様へ敬意を伝えるためだ。
宿の女将が上客へご機嫌伺いと同じだ。
 それに、乗客の雰囲気も確認したい機長なのである。
なんせ、道のりは遠いのだから・・・(日本から英国へ)
 「パカリ。」と、操縦席のドアが開く。
巣月機長だ、あのときと同じである。
 「やあ、マツモトさん。」と、挨拶だ。
「紹介します、我らが王女、マーガレット姫様です。」
 「機長の巣月です、お見知り置きを・・・」と、平伏する。
「うむ、くるしゅうないぞよ。」と、王女様だ。
 つまり、承知したということだ。
「明朝には、セイロン島へ着水します。」「うむ、大儀じゃ。」「ハ、ハァ~ッ。」と、巣月機長がさがった。
 どうやら、12時間くらいでセイロン島のようだ。
速度は毎時500キロほどかな・・・
 シナとベトナムは紛争中だ、それで上空は通過できないので廻り道なのである。
護衛の戦闘機は足が短いから・・・数時間でオサラバだ。
 やがて、2機編隊の二式大型飛行艇だけになった。

 高度は9000メートル程度かな。
機内は与圧が掛けてあり、高度が高い割には快適だ。
 それに、防音もかなりのモノだ。
王女様が、「ふむ、我がランカスターより、ずいぶん静かじゃな。」と、いう程なのだ。
 「これは、わちきの専用機とするかのう。」と、提案する。
「それは、良いお考えでございますです。」と、メイド・士官がゴマすりだ。
 いや、これは潜水救命艇へ・・・
「ん、なんか不満かマツモトよ。」と、顔を向けるが・・・
 言えるわけないのだが・・・ここは、心を鬼にして苦言だ。
「王女様。」「ん、なんじゃ。」「この機体は潜水救難艇を運ぶ飛行艇ですぞ。」
 「うむ、それは承知じゃが・・・2機あるではないか。」と、しれっと言う王女様だ。
「しかし、やはり2機ないと、整備や故障で飛ばない時が・・・」と、更に苦言だ。
 「そのときは、おまえがなんとかしてくりゃれ。」と、下から目線の殺人光線をビビビのビの王女様だ。
「わかりました、2機とも英海軍が改造しますです。」「わかればよろしい。」と、マーガレット王女様だ。
 やはり、ブラックだったんだ。 英国王室も真っ黒なのだ。
サドのカテリーナに毎夜、虐げられてマゾのよろこびに震えるマツモト某も、王女様には・・・逆らえないのである。
 「しかし、この機体は旅客機ですね。」と、巣月機長へ・・・
「え、え、本来は機銃がついてるんですが、外しましたし。」「それに、姫様用のトイレも。」「それに、カンタンなキッチンまで。」と、電気コンロや電気オーブンも完備されているらしいのだ。
 これでは、マジでマーガレット王女専用機に・・・なりかねないぞ。
まあ、マツモト君は腹が痛むわけでないから・・・言うだけなんだが。
 「おや、そろそろ台湾が見えてきましたよ。」と、機長がいう。
眼下に台湾島が広がる。
 日清戦争で日本の領土だと宣言した島だ。
清国にとり、蛮族の島なぞ認識なんてなかったが・・・台湾島は疫病や高砂族の島だったのだ。
 それが、かなり改善されて・・・高砂族も山岳から平地へ・・・部族争いは平定されたようだ。
戦闘民族として、高砂族は日本軍を大いに助けてくれたのを忘れてはならない。

 「セイロン島に英海軍が給油の輸送船と警備の駆逐艦を廻してくれたはずですが。」と、巣月機長が・・・
「飛行艇は飛行場がなくてもOKですから、いいですね。」と、マツモト君が言うが。
 「いえ、なかなか外洋は波が高くて・・・船で丸く旋回してもらって波を静めることもあるんですよ。」と、巣月機長だ。
 「それに、海は塩害がありますからね。」「まあ、この機体はステンレス鋼板ですから、少しはサビないですが。」と、加える。
 「えっ、重くないですか。」と、マツモト君だ。
「いえ、ステンレスを薄くして、ジュラルミンへ貼り付けてるんですよ。」と、巣月君だ。
 「なんと、新しい合金ですね。」「まあ、軍事機密ですから、内緒ですよ。」
「わかりました。」と、いうマツモト君だ。
 「しかし、ジュラルミンとステンレスは溶接ができないんじゃあ。」と、マツモト君が突っ込んだ。
「いえ、溶接ではないんですよ。」「溶剤で貼り付けてるんです。」と、秘密を明かす。
 つまり、溶接できないし、飛行機は溶接は重くなるから使わないのだ。
リベット打ちが多いのだ。
 しかし、それでも重くなるから、溶剤で貼り付けるらしいのだ。
「確か、海軍工廠ではガラス繊維で新しい素材を造って研究してます。」と、更に秘密を・・・
 「でも、ガラス繊維の素材は重いので飛行機には・・・」と、かなり巣月機長は詳しいのだ。
「それなら、潜水艇には使えますかね。」と、マツモト中尉が聞く。
 「さあ、なんとも・・・」
「あのう、お茶が入りましたが・・」と、CA(スチュアーデスのお姉さんだ。)が・・・
 「では、姫様。」と、メイド士官が・・・
セイロン島は、もうじきだ。

 「機長、そろそろ。」と、コパイが機長を呼ぶにきた。
着水は機長がやらねばならない。
 「フネから連絡は着てるか。」「え、え、給油もOKだと。」「うむ、わかった。」と、席を立って操縦室へ。
やがて、「ベルトを締めてください。」と、CAが廻ってきた。
 メイド士官の英国調のメイド服も目の保養だが・・・このCAのJK調の制服も・・・
なんせ、セーラ服なのだから・・・セーラー服は、本来は水兵さんの服なのだ。
 色は白が多いんだが・・・このCAの制服は濃紺色に白線が3本入ってる。
つまり、階級が高いCAなのだ。(新入りは1本)
 まあ、パット見三十路越えかな・・・言えないが。
「あれが、英海軍のフネですか。」と、窓から駆逐艦と輸送船が見える。
 「あれは、エリザベス級じゃな。」と、」姫様だ。
駆逐艦とはいえ、最高クラスのフネだそうだ。
 「波は凪ですから。」と、風が無いから波高は低いようだ。
やがて、二式大型飛行艇は着水コースへ・・・
 

 

 
 
 
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