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再度のドイツ潜航艇の偵察か!
潜水艦ちくま2号の帰還・・・
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日本へちくま2号が帰国する時期がきた。
英海軍が潜水艦を完成させれば、帰国する手筈だったからだ。
マーガレット2号艦は、ドイツ海軍への強行偵察に成功したので、日本海軍も潜水艦を戻すこととなったのだ。
いつまでも、潜航艇ちくま号に本土防衛をまかせてばかりでは・・・いけないからである。
先任士官が臨時の艦長として、日本まで航海をすることとなったのだ。
なんせ、松本艦長が英海軍へスカウトされてしまったからである。
「マツモト艦長、お元気で・・・」と、先任が別れの言葉だ。
「あ、あ、まさかこうなるとは、夢にもおもわなかったんだが・・・」
「王女様の面倒見も大変でしょうが・・・」と、ニガ笑いの先任だ。
その問いに、なんも言えない中尉殿である。
なんせ、騎士としての仕事が、簡易トイレの目隠し係だったなんて・・・死んでも言えないのだ。
しかしだ。 王女様のお花積みを覗かせるわけにはいかないのだ。
大英帝国の王女様の恐れ多い、おマンコを他人の眼にさらすことはできないからだ。
そのためのメイド士官であり、2名の歴戦の勇士なのである。
盛大なる送迎式典で、英海軍はちくま2号を送り出してくれたのだった。
あとに残るは、松本中尉のみである。
フネは出ていく、ジーゼルエンジンの排ガスを残してだな・・・
予備タンクへ軽油を満タンにして、スエズ運河経由で日本への帰路に就いたのだった。
ところで、あるヒトが予備タンクがカラになれば浮力タンク(浮袋)だ、潜行ができなくならないか・・・と、疑問符だ。
いや、その心配はいらない。 なぜなら、メインタンクへ海水を余分に入れるだけだからだ。
そう、ちゃんと考えて建造してあるのだ。
だから、長さが76メートルで、直径が6、3メートルなんだよ。
フネは出ていく、排気ガスが残るで・・・ポーツマス軍港へ取り残された松本君だ。
「さて、どうするか・・・」と、心に隙間風が・・・・
「マツモトキャプテン。」と、伝令が・・・自転車で・・・
ケータイの無い時代だ。
携帯無線機も背中に背負って、重いのだ。
もちろん、松本中尉は持ってない。
それで、伝令が桟橋までは自転車が速いのだ。
「姫様からの伝言です。」と、通信文を渡すのだ。
そう、暇はないようだ。
あわてて、桟橋から・・・そこへ、スタッフ・カーだ。
アランが窓から・・・「ここだ、早くしろ。」と、叫んでいる。
6歳の幼女姫のお守りは・・・ひと時の安らぎなんて無いんだよ。
「オレは、まだ朝から食事が・・・」「オレもだよ。」・・・では、文句は言えない・・・
そして、まだ見てない通信文を・・・開いた。
「午後から、用事があるから出頭よ。」と、姫様の筆跡だ。
子供を持った母親の忙しさが少しは理解できる二人だったのだった。
ここは、キール軍港の軍司令部だ。
やっと、防潜網の騒動が納まってきたところである。
海軍としては、これ以上の不祥事は明らかにできないから・・・あくまで、事故として防潜網事件は収めたのだ。
それゆえ、懲罰の対象者は居ないのである。
もちろん、貸(かし)なのだが・・・大きな貸しだな。
しかし、しかしだ、予防策は取らなくてはならない。
なぜなら、また英海軍の潜航艇が偵察へ・・・ノコノコやってくるかもしれないからだ。
「こんどこそ、袋のネズミだ。」と、軍司令が息巻いた。
「司令官殿、やはり防潜網をなんとかしないと。」と、参謀が進言する。
「それは、わかるが、失くすわけにはいかんだろう。」
「そうですが、ヤツらは防潜網を抜けたではないですか。」
「まだ、どうやって抜けたのか、わからんのか。」と、司令だ。
「え、え、防潜網を引き上げて調べても、破れたところがないのです。」
「うむ、どうやって抜けだんだ。」と、司令だ。
それが、わかれば苦労せんは!と、言いたい参謀だが・・・空気を読んで沈黙である。
「まあ、ともかく、事故調査委員会へ任せようじゃないか。」と、丸投げする司令部のようだ。
さて、こちらは事故調査委員会だ。
面々は、シーメンス工科大学の教授のワトソン博士とボン工科大学のスタンフィード教授のグループだ。
総勢、30名のドイツ科学の頂点が集まった委員会である。
まあ、こういう面々は事を難しく考える癖があるのだ。
一般人が理解できない言い回しや理論で、こねくり回すのだ。
散々、こねくり廻さないと予算が十分に下りないからでもあるんだが・・・
相手が英海軍だ。
なら、予算は底なしである。 対英となると、ドイツ銀行も財布の紐が緩むのである。
その金が潜航艇開発へ流れるのだ。
なんせ、教授らは、全員が潜航艇開発のメンツなのだから・・・
防潜網は、タグ・ボート2隻で開いたり閉じたりするのだが・・・
「まずは、我が潜航艇で実験を・・・」と、ワトソン博士が提案する。
まあ、もっともな意見である。
ドイツ海軍は完成した1隻しかない潜航艇を・・・あまり、実験には使いたくなかったんだが・・・
「では、実験を開始する。」と、軍港の出口で旗が振られる。
「よし、いいか潜航深度は20だぞ。」「わかっております。」
あれっ、確か英海軍の潜水艦は深度40だったような・・・
1隻しかない潜航艇を事故で失くしたくないからの理由なんだが・・・深度は20で実験が開始されたのだった。
英海軍が潜水艦を完成させれば、帰国する手筈だったからだ。
マーガレット2号艦は、ドイツ海軍への強行偵察に成功したので、日本海軍も潜水艦を戻すこととなったのだ。
いつまでも、潜航艇ちくま号に本土防衛をまかせてばかりでは・・・いけないからである。
先任士官が臨時の艦長として、日本まで航海をすることとなったのだ。
なんせ、松本艦長が英海軍へスカウトされてしまったからである。
「マツモト艦長、お元気で・・・」と、先任が別れの言葉だ。
「あ、あ、まさかこうなるとは、夢にもおもわなかったんだが・・・」
「王女様の面倒見も大変でしょうが・・・」と、ニガ笑いの先任だ。
その問いに、なんも言えない中尉殿である。
なんせ、騎士としての仕事が、簡易トイレの目隠し係だったなんて・・・死んでも言えないのだ。
しかしだ。 王女様のお花積みを覗かせるわけにはいかないのだ。
大英帝国の王女様の恐れ多い、おマンコを他人の眼にさらすことはできないからだ。
そのためのメイド士官であり、2名の歴戦の勇士なのである。
盛大なる送迎式典で、英海軍はちくま2号を送り出してくれたのだった。
あとに残るは、松本中尉のみである。
フネは出ていく、ジーゼルエンジンの排ガスを残してだな・・・
予備タンクへ軽油を満タンにして、スエズ運河経由で日本への帰路に就いたのだった。
ところで、あるヒトが予備タンクがカラになれば浮力タンク(浮袋)だ、潜行ができなくならないか・・・と、疑問符だ。
いや、その心配はいらない。 なぜなら、メインタンクへ海水を余分に入れるだけだからだ。
そう、ちゃんと考えて建造してあるのだ。
だから、長さが76メートルで、直径が6、3メートルなんだよ。
フネは出ていく、排気ガスが残るで・・・ポーツマス軍港へ取り残された松本君だ。
「さて、どうするか・・・」と、心に隙間風が・・・・
「マツモトキャプテン。」と、伝令が・・・自転車で・・・
ケータイの無い時代だ。
携帯無線機も背中に背負って、重いのだ。
もちろん、松本中尉は持ってない。
それで、伝令が桟橋までは自転車が速いのだ。
「姫様からの伝言です。」と、通信文を渡すのだ。
そう、暇はないようだ。
あわてて、桟橋から・・・そこへ、スタッフ・カーだ。
アランが窓から・・・「ここだ、早くしろ。」と、叫んでいる。
6歳の幼女姫のお守りは・・・ひと時の安らぎなんて無いんだよ。
「オレは、まだ朝から食事が・・・」「オレもだよ。」・・・では、文句は言えない・・・
そして、まだ見てない通信文を・・・開いた。
「午後から、用事があるから出頭よ。」と、姫様の筆跡だ。
子供を持った母親の忙しさが少しは理解できる二人だったのだった。
ここは、キール軍港の軍司令部だ。
やっと、防潜網の騒動が納まってきたところである。
海軍としては、これ以上の不祥事は明らかにできないから・・・あくまで、事故として防潜網事件は収めたのだ。
それゆえ、懲罰の対象者は居ないのである。
もちろん、貸(かし)なのだが・・・大きな貸しだな。
しかし、しかしだ、予防策は取らなくてはならない。
なぜなら、また英海軍の潜航艇が偵察へ・・・ノコノコやってくるかもしれないからだ。
「こんどこそ、袋のネズミだ。」と、軍司令が息巻いた。
「司令官殿、やはり防潜網をなんとかしないと。」と、参謀が進言する。
「それは、わかるが、失くすわけにはいかんだろう。」
「そうですが、ヤツらは防潜網を抜けたではないですか。」
「まだ、どうやって抜けたのか、わからんのか。」と、司令だ。
「え、え、防潜網を引き上げて調べても、破れたところがないのです。」
「うむ、どうやって抜けだんだ。」と、司令だ。
それが、わかれば苦労せんは!と、言いたい参謀だが・・・空気を読んで沈黙である。
「まあ、ともかく、事故調査委員会へ任せようじゃないか。」と、丸投げする司令部のようだ。
さて、こちらは事故調査委員会だ。
面々は、シーメンス工科大学の教授のワトソン博士とボン工科大学のスタンフィード教授のグループだ。
総勢、30名のドイツ科学の頂点が集まった委員会である。
まあ、こういう面々は事を難しく考える癖があるのだ。
一般人が理解できない言い回しや理論で、こねくり回すのだ。
散々、こねくり廻さないと予算が十分に下りないからでもあるんだが・・・
相手が英海軍だ。
なら、予算は底なしである。 対英となると、ドイツ銀行も財布の紐が緩むのである。
その金が潜航艇開発へ流れるのだ。
なんせ、教授らは、全員が潜航艇開発のメンツなのだから・・・
防潜網は、タグ・ボート2隻で開いたり閉じたりするのだが・・・
「まずは、我が潜航艇で実験を・・・」と、ワトソン博士が提案する。
まあ、もっともな意見である。
ドイツ海軍は完成した1隻しかない潜航艇を・・・あまり、実験には使いたくなかったんだが・・・
「では、実験を開始する。」と、軍港の出口で旗が振られる。
「よし、いいか潜航深度は20だぞ。」「わかっております。」
あれっ、確か英海軍の潜水艦は深度40だったような・・・
1隻しかない潜航艇を事故で失くしたくないからの理由なんだが・・・深度は20で実験が開始されたのだった。
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