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隠密作戦、開始!
潜望鏡で進路を確認できるのか?
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精密な海図(海の深度が描いてある軍事機密のヤツだ。)と英海軍のメイド士官、および水中機雷装置を装備して・・・ちくま号は・・・ポーツマス軍港から・・・
はじめは、エンジン走行である。
もちろん、洋上を10ノットでドイツ沖へ向かっている。
海図によると、ドーバー海峡は水深が深くないようだ。
大陸棚といってもいいほどである。
天気が快晴で波が静かなら、海面上から潜航している潜航艇が確認できるくらいだ。
それでは、ドイツ側に見つかったとき・・・潜って逃げられない・・・
それで、水深が100メートル程度の場所を潜航してドイツのキール軍港沖に近づくこととする。
オマルをかかえたメイド士官は不安げな顔で少尉(艇長)を見つめている。
松本君は、「OK,OK。」と、つたない英語で安心させようと・・・するが・・・
「ギ、ギ、ギ。」と、船体がしなると、「キャッ。」と、抱き付かれて潜航艇の指揮が・・・できない。
隊員らの手前があるし、暗い赤ランプの狭い艇内だ。
仕方がないので、潜望鏡につかまるように・・・メイド士官は潜望鏡に抱き付いて、少しは安心したような。
まさか、この士官は閉所恐怖症なのかな?
潜航艇の隊員は採用するときに、テストをするのだ。
せまい部屋(窓も無い暗い部屋だ。)に閉じこもり、数日間こもりきるのである。
もちろん、食事や排便(オマル)は室内でである、電話なんて無い。
つまり、閉所恐怖症か、それを克服できるのかのテストなのだ。
しかし、そこは英海軍の中尉殿だ。
ポーツマスから離れるころには、なんとか慣れたようである。
「よし、ベント開け。」「エンジン停止。」「スクリュー、モーター切り替え。」「下げ舵、30度。」
「潜航はじめ。」
「深度、5.」「10.」「15.」「20.」
「下げ舵水平。」「モーター半速。」「5ノットに。」
「了解です。」「5ノット安定しました。」「深度20で安定しました。」
「艇内気圧、変化なし。」「うむ。」
「オウ、ホントウニステキデスネ。」と、メイド士官が驚く。
「キミハ、ジンルイデ、ハジメテ潜航艇ニノッタ、レディデスヨ。」と、ご機嫌取りの艇長だ。
メイド士官はカナリヤの鳥かごを不思議そうに・・・(この鳥が死んだら、次は・・・なんて、言えない。)
深度5まで上がり、潜望鏡から英国が見えるか・・・後方を覗いたが海しか見えない・・・
潜航艇は金属の厚い船体で、できている。
それで、艇内ではコンパスがモーターの磁力の影響があり・・・役に立たないのだ。
それで、一番モーターから離れているところでコンパスを使うのだ。
つまり、潜行舵のある舳先である。
そうして、数時間が過ぎた・・・
「そろそろ、ドイツ沖ですが。」と、航海士が海図と計算尺の計算から言う。
「深度5まで、上げろ。」「よ~そろ~。」
「深度5で安定しました。」
ブリジットが抱き付いている潜望鏡を・・・ブリジットは涙目だ。
ここは、心を鬼にして、「様子がみたいから、離れてくれ。」と、つたない英語だ。
「NO。」と、泣きしゃべりの英軍士官様である。
長時間に及ぶ閉所で・・・心が折れたか・・・
しかし、ここで無理をして英軍士官様が壊れたら・・・6歳の幼女の面倒が・・・オマルで幼女へ・・「シー、シー。」なんて、言うくらいなら・・・いや、そんな罰ゲームは無理な松本君である。
松本艇長は・・・ギリまで浮上して、ハッチから周囲を観察するしかない・・・と、決断する。
「ギリまで浮上できるか。」と、操舵員へ・・・
「なんとか、やってみます。」と、自信に満ちた返答だ。
「ベント、半開。」と、指示を出す艇長だ。
「ゴボ、ゴボ。」と、泡の音が・・・波の、「チャプ、チャプ。」に変わった。
「よしっ。」と、松本艇長は意を決してハッチのハンドルを廻す。
海水が・・・流れ込んで・・・あわや・・・沈没か・・・とは、ならなかった。
ハッチから周囲を観察する。
なんと、キール軍港の明かりが・・・英国側の海図なのか、松本艇長の操船なのか、航海士の腕か。
それとも、運命の女神の導きか・・・
ちくま号は、目的の海域にトンピシャだったのだ。
艇長の松本君の横へブリジットの顔が・・・
「OU。]と、叫んで閉所恐怖症が治った英軍士官様のようだ。
あまりの喜びからか、松本艇長へキッスの嵐だ。
日本人はキスの習慣なぞ無い。
「タチケテ・・クレ・・・」と、言いたかったが口が塞がれて言えない松本君だ。
まあ、隊員らには・・・ハッチの上は見えないから・・・艇長の名誉は守られたのだった。
「時間だ。」と、夜光時計の針を見る。
カンテラを用意する。
キール軍港の信号灯灯台が見える位置から、「場所は海図のとうりだ。」と、判断した。
「ん、ボートが来るぞ。」と、暗闇を見透かす松本艇長だ。
海軍軍人は闇夜に慣れる訓練を重ねているのだ。
カンテラを出して、明かりを点滅させる。
すると、ボートからも明かりの信号だ。
「チラ、チラ、チララ。」と、3拍子だ。
ブリジットが「マーガレット?」と、ささやく。
それに答える幼女の声が・・・その声は、間違いないようだ。
なぜなら、英軍士官様がハッチから・・・そして、カンテラを振りまくる・・・
ボートが潜航艇へ・・・ロープで潜航艇に繋ぐ・・・松本君もいそがしい。
その間に、幼女は潜航艇へ・・・ボートは去っていった。
「ハリーハリー。」と、ささやくブリジットだ。
ようは、急いでくれと言ってるのだ。
遠くで・・・突然、銃弾の音が・・・船の機関音まで・・・
「しまった、見つかった。」と、幼女と士官様をハッチから艇内へ・・・
ハッチを、あわてて閉める。
「ベント開け、注水だ。」「モーター始動、最大戦速。」「取り舵いっぱい。」
「急速潜航。」「深度40まで。」
海図から、キール軍港の水深が40と・・・
だんだん、機関音が・・・大きくなる。
まちがいない、ドイツ側に悟られたんだ。
モーターが最大出力の音を・・・さすがに最高回転だと音が出るのだ。
ちくま号は、逃げ切れるのか・・・
はじめは、エンジン走行である。
もちろん、洋上を10ノットでドイツ沖へ向かっている。
海図によると、ドーバー海峡は水深が深くないようだ。
大陸棚といってもいいほどである。
天気が快晴で波が静かなら、海面上から潜航している潜航艇が確認できるくらいだ。
それでは、ドイツ側に見つかったとき・・・潜って逃げられない・・・
それで、水深が100メートル程度の場所を潜航してドイツのキール軍港沖に近づくこととする。
オマルをかかえたメイド士官は不安げな顔で少尉(艇長)を見つめている。
松本君は、「OK,OK。」と、つたない英語で安心させようと・・・するが・・・
「ギ、ギ、ギ。」と、船体がしなると、「キャッ。」と、抱き付かれて潜航艇の指揮が・・・できない。
隊員らの手前があるし、暗い赤ランプの狭い艇内だ。
仕方がないので、潜望鏡につかまるように・・・メイド士官は潜望鏡に抱き付いて、少しは安心したような。
まさか、この士官は閉所恐怖症なのかな?
潜航艇の隊員は採用するときに、テストをするのだ。
せまい部屋(窓も無い暗い部屋だ。)に閉じこもり、数日間こもりきるのである。
もちろん、食事や排便(オマル)は室内でである、電話なんて無い。
つまり、閉所恐怖症か、それを克服できるのかのテストなのだ。
しかし、そこは英海軍の中尉殿だ。
ポーツマスから離れるころには、なんとか慣れたようである。
「よし、ベント開け。」「エンジン停止。」「スクリュー、モーター切り替え。」「下げ舵、30度。」
「潜航はじめ。」
「深度、5.」「10.」「15.」「20.」
「下げ舵水平。」「モーター半速。」「5ノットに。」
「了解です。」「5ノット安定しました。」「深度20で安定しました。」
「艇内気圧、変化なし。」「うむ。」
「オウ、ホントウニステキデスネ。」と、メイド士官が驚く。
「キミハ、ジンルイデ、ハジメテ潜航艇ニノッタ、レディデスヨ。」と、ご機嫌取りの艇長だ。
メイド士官はカナリヤの鳥かごを不思議そうに・・・(この鳥が死んだら、次は・・・なんて、言えない。)
深度5まで上がり、潜望鏡から英国が見えるか・・・後方を覗いたが海しか見えない・・・
潜航艇は金属の厚い船体で、できている。
それで、艇内ではコンパスがモーターの磁力の影響があり・・・役に立たないのだ。
それで、一番モーターから離れているところでコンパスを使うのだ。
つまり、潜行舵のある舳先である。
そうして、数時間が過ぎた・・・
「そろそろ、ドイツ沖ですが。」と、航海士が海図と計算尺の計算から言う。
「深度5まで、上げろ。」「よ~そろ~。」
「深度5で安定しました。」
ブリジットが抱き付いている潜望鏡を・・・ブリジットは涙目だ。
ここは、心を鬼にして、「様子がみたいから、離れてくれ。」と、つたない英語だ。
「NO。」と、泣きしゃべりの英軍士官様である。
長時間に及ぶ閉所で・・・心が折れたか・・・
しかし、ここで無理をして英軍士官様が壊れたら・・・6歳の幼女の面倒が・・・オマルで幼女へ・・「シー、シー。」なんて、言うくらいなら・・・いや、そんな罰ゲームは無理な松本君である。
松本艇長は・・・ギリまで浮上して、ハッチから周囲を観察するしかない・・・と、決断する。
「ギリまで浮上できるか。」と、操舵員へ・・・
「なんとか、やってみます。」と、自信に満ちた返答だ。
「ベント、半開。」と、指示を出す艇長だ。
「ゴボ、ゴボ。」と、泡の音が・・・波の、「チャプ、チャプ。」に変わった。
「よしっ。」と、松本艇長は意を決してハッチのハンドルを廻す。
海水が・・・流れ込んで・・・あわや・・・沈没か・・・とは、ならなかった。
ハッチから周囲を観察する。
なんと、キール軍港の明かりが・・・英国側の海図なのか、松本艇長の操船なのか、航海士の腕か。
それとも、運命の女神の導きか・・・
ちくま号は、目的の海域にトンピシャだったのだ。
艇長の松本君の横へブリジットの顔が・・・
「OU。]と、叫んで閉所恐怖症が治った英軍士官様のようだ。
あまりの喜びからか、松本艇長へキッスの嵐だ。
日本人はキスの習慣なぞ無い。
「タチケテ・・クレ・・・」と、言いたかったが口が塞がれて言えない松本君だ。
まあ、隊員らには・・・ハッチの上は見えないから・・・艇長の名誉は守られたのだった。
「時間だ。」と、夜光時計の針を見る。
カンテラを用意する。
キール軍港の信号灯灯台が見える位置から、「場所は海図のとうりだ。」と、判断した。
「ん、ボートが来るぞ。」と、暗闇を見透かす松本艇長だ。
海軍軍人は闇夜に慣れる訓練を重ねているのだ。
カンテラを出して、明かりを点滅させる。
すると、ボートからも明かりの信号だ。
「チラ、チラ、チララ。」と、3拍子だ。
ブリジットが「マーガレット?」と、ささやく。
それに答える幼女の声が・・・その声は、間違いないようだ。
なぜなら、英軍士官様がハッチから・・・そして、カンテラを振りまくる・・・
ボートが潜航艇へ・・・ロープで潜航艇に繋ぐ・・・松本君もいそがしい。
その間に、幼女は潜航艇へ・・・ボートは去っていった。
「ハリーハリー。」と、ささやくブリジットだ。
ようは、急いでくれと言ってるのだ。
遠くで・・・突然、銃弾の音が・・・船の機関音まで・・・
「しまった、見つかった。」と、幼女と士官様をハッチから艇内へ・・・
ハッチを、あわてて閉める。
「ベント開け、注水だ。」「モーター始動、最大戦速。」「取り舵いっぱい。」
「急速潜航。」「深度40まで。」
海図から、キール軍港の水深が40と・・・
だんだん、機関音が・・・大きくなる。
まちがいない、ドイツ側に悟られたんだ。
モーターが最大出力の音を・・・さすがに最高回転だと音が出るのだ。
ちくま号は、逃げ切れるのか・・・
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