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全機、発艦だ!!

ソ連軍の殲滅だーーーーーっ!

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 「うむ。」戦果を聞いた飛行隊長が満足げな顔だ。
「以上、今日の戦果であります。」「ごくろう。」
 敬礼して山本少尉が司令室から戻ってきた。
「いゃあ、これほどとは・・・」と、無線操縦飛行爆弾を褒めたたえる山本少尉だ。
 「無線操縦は、とんでもない兵器を・・・」と、誉めちぎるのだ。
まあ、敵へ爆弾を投下するには急降下をしなければならないのだ。
 それは、一歩間違えたら地面へ激突する危険もあるからである。
敵が攻撃できないアウトレンジからの一方的な攻撃だ。
 まさに、遊覧飛行の如しなのである。
「まあ、飛行爆弾は小型だから、狙いにくいこともあるからさ。」と、謙遜するサイトウ技師であった。

 「では、あとのソ連軍戦車を壊滅作戦ですか。」
「そうだ、一気に殲滅して、二度と越境させないようにするのだ。」と、飛行隊長が豪語する。
 無線誘導飛行爆弾の戦果を陸軍本部へ送信したところ、ソ連軍へ鉄槌を下すべきとの結論が出たようだ。
「ソ連軍、全滅なら。」「しばらくは、攻めてこないだろうからな。」とのカンタンな予想なのである。
 「それに、1機の成功だけではな。」
「これが、全機が命中すれば大量生産で無双兵器として使えそうだ。」
 つまり、敵が攻めてきても・・・無線誘導飛行爆弾で壊滅できることになる。
無線誘導装置は日本の最大の軍事機密だ。
 それが、守られるかぎり、負けは無いと陸軍省は踏んだようだ。
「でも操縦者の教育が、まだ・・・」と、犬塚君がいう。
 そうなのだ、無線誘導電波を送信できる訓練された隊員が・・・サイトウ技師と犬塚技師だけだからだ。
「そこで、双発爆撃機なのだ。」と、飛行隊長がいう。
 陸軍の双発爆撃機は空母に1機だけ搭載してあるが・・・
爆弾庫は無線誘導飛行爆弾の格納庫に改造してあるのだ。
 そして、機内から組み立てて、投下できるように改造が・・・
「じゃあ、2機づつ発射するのですか。」「そうなるね。」
 まるで、真っ黒な陸軍の技師の酷使である。
「まあ、1機あたりの危険手当は弾むそうだ。」
 「オレは地位も名誉もイラネー。」と、2名の技師が合唱する。
「そういうなよ、終生の恩給もつけるぞ。」と、飛行隊長がゴマすりを・・・
 「ソ連軍戦車に満州国民が酷い目に合うぞ。」と、脅す飛行隊長だ。
「満州国が降参したら、日本海をソ連軍が渡ってくるぞ。」と、また脅すのだ。
 さすがに、熊のソ連軍はお断りのサイトウ技師と犬塚技師である。
「わかりました、戦車隊を全滅させれば・・・」「そうだ。」
 双発爆撃機は機内に、最大で30機の無線誘導飛行爆弾を搭載できるのだ。
そこが、双発たる所以だ。
 それに、無線操縦用の送信機は出力がデカイ送信機なのである。
出力真空管が807というST管なのだ。(でかい茄だ。)
 無線技士なら知らない者はいないほどの有名な真空管なのである。
50メガサイクルという高周波の電波も100Wの高出力で出せるのだ。
 ちなみに、97式改の無線送信機は10Wである。
つまり、双発爆撃機は10倍の電波がだせるのである。

 20機の無線誘導飛行爆弾を積んで・・・操縦する技師が2名乗り込んだ。(1機は予備機)
双発エンジンが片方から廻りだした。
 暖気運転である。
空母の発射台へ載せるに苦労したのだ。
 97式改なら人力で、カンタンなのだが・・・
さすが、双発爆撃機は重いからだ。
 牽引車で引っ張り、台へ固定するに・・・30分もかかったのだ。
「これは、問題だな。」「万が一にも、双発爆撃機を台へ載せてるときに攻撃を受けたら・・・」
 「上空へ援護の97式をあげてからしかできないな。」
先の大戦で、日本海軍は空母の飛行隊の爆装交換で手間取り・・・4隻も米軍にヤラれたのだ。
 真珠湾攻撃もミッドウェー攻撃も山本五十六の仕業なのだ。
ヤツが日本を敗戦へ導いたのだ。
 著者にとり、最大の反逆戦犯の山本五十六なのである。
ヤツさえ、いなければ・・・敗戦は無いのだ。
 せいぜい、フィルピンでの日米の紛争で終わっていたはずだ。
著者は五十六スパイ説まで、疑うのである。
 それで、我がラノベには、山本五十六は登場しないのだ。
なぜって、嫌いだからだ。
 日本を敗戦に導いた最大の反逆者の五十六なのだ。
あとは、欧米の捕虜の扱いが酷かった辻参謀がいたが・・・責任を回避することは、辻参謀の得意技だ。

 双発爆撃機は山本操縦士ではない。
陸軍の九七式改双発爆撃機は、双発免許が必要だからだ。
 佐伯空中勤務員と佐藤副空中勤務員が、技師らに紹介される。
「敵との距離は?」と、聞くので・・・
 「3000ほど、で。」と、答える。
「あ、あ、だから演習より、軽いとの話なんですね。」と、納得の両人だ。
 爆撃機の水平爆撃は・・・まず、当たらないのだ。
それで、高度を低くすると敵の高射砲で・・・堕とされてしまいかねない。
 それに、一度爆撃コースへ入ると・・・機体は左右へ転換はできない。
それで、いつ高射砲の餌食か・・・と、なかなか爆撃は命がけなのだそうだ。
 急降下爆撃する97式改より喰われる機体は多いとからしいのだ。
「でも、3000も離れると、飛行爆弾が見えないんじゃあ。」と、心配してくれるが・・・
 日本の光学技術は世界イチなのだ。
東京光学の双眼鏡を見せると、納得したのである。
 さあ、ソ連軍へ飛行爆弾の飴、いや雨を降らせるのだ。

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