24 / 60
エンジンは生きてるのだよ。
電気モーターとエンジンの差は野郎とオナゴだな。
しおりを挟む
「キャブレターへのコントロールの棒の長さを短くしなければ。」と、ネジで調整するサイトウ君だ。
「えっ、でも、先ほどまで調子よく廻っていたじゃないか。」と、犬塚君だ。
「そうなんだが、エンジンというヤツは機嫌を取らないと・・・」と、生き物扱いするサイトウ君だ。
「まるで、生き物だな。」と、冗談をいう犬塚君だが・・
「エンジンは調子がいい時と悪いときがあるからな。」
「そんなもんなのか。」と、犬塚君がいう。
「とくに、カンタンなエンジンほど、そうなるな。」と、サイトウ君だ。
「モーターとは違うんだな。」「モーターは機嫌を取らなくてもいいぞ。」と、犬塚君が・・・
「いや、オレは人間臭いところが好きなんだ。」と、焼玉エンジンをなでるサイトウ君だ。
「まあ、モーターとエンジンは別物だからな。」と、今更な意見を犬塚君がいう。
「エンジンや野郎ならモーターはオナゴだな。」と、サイトウ君だ。
「エンジンは騙し騙しでも、なんとか動かせるが・・・モーターはダメなら、全くダメだからな。」と、加える。
「・・・・」なんも言えない犬塚君である。
確かに、そうだからだ。
モーターは犬塚君の専門なのだから、よくわかるのだ。
「さあ、なんとか廻るように調整できたぞ。」と、スターターを廻す。
「バ、バ、バ、バ、バァ。」と、エンジンが廻りだした。
キャブのネジを少し廻す。
「ブーーーーーーン。」と、勢いよくプロペラが廻りだした。
手で、行けそうだと合図するサイトウ君だ。
あわてて、無線送信機を手に持つ犬塚君である。
さすがに、2メートルの機体だ。
手に持って・・・放りなげるなんて無理である。
そこは、実機と同じだ、滑走させるのだ。
機体を押さえていた手を離す。
「スル、スル、スル、スル。」と、機体が走り出した。
なんか、サイトウ君が叫んでるようだが聞こえない。
離陸するから、エンジンは最高の回転になるようにセットしてある。
やがて、無線操縦の飛行機は、「フワリ。」と、浮かんだ・・・
なんか、サイトウ君が叫んでるが・・・聞こえない。
こっちへ駆けてくる、そして、「機体を見逃すなよ。」「見えなくなったらダメだぞ。」と、叫んでるのだ。
そうだ、あまり離れると・・・電波が届かないのだ。
送信機の出力真空管は超小型のマイクロ真空管だ。
機体が空へ飛んだ。
そうだ、旋回させなければ、ならない。
あわてて、「トン。」と、尾翼を左へ動かす信号を送る。
機体は左へ傾いて・・・「おい、落ちるぞ戻せ。」と、叫ぶサイトウ君だ。
あわてて、ボタンから手を離す。
機体は旋回していたが・・・態勢を立て直して直進する。
「次の、旋回を忘れるなよ。」「ボタンは押してすぐに離すんだ。」と、サイトウ君が叫んだ。
エンジンのコントロールを操作してみたいが・・・そんな余裕は無い!
どうにか、視界から機体が消えないように旋回させるのが・・・精一杯なのだ。
「よし、旋回だ。」と、ボタンを、「トン。」
そして、また「トン。」だ。
うまく45度の旋回を・・・・
なんか、サイトウ君が叫んでるが・・・犬塚君には聞こえていないようだ。
「パラ、パラ、パラ。」と、エンジンが停まりそうな音が・・・
「おい、燃料がなくなるぞ。」
「着陸させるのだ。」と、サイトウ君が叫んでるが・・・
「どうすんだよ。」と、頭がカラッポになる犬塚君だ。
「あわわわわわわ。」と、わめいてるが・・・
やがて、エンジンの音が・・・プロペラが止まってるのが・・・
機体は・・・そのまま高度を下げて・・・
草むらへ・・・「ストン。」と、落ちるように着陸したのだ。
機体は、そのままでも飛ぶように設計してあるのである。
そこは、飛行爆弾の機体設計と同じであるのだ。
時間にして、約15分間の無線操縦飛行だった。
日本で初めての無線操縦模型飛行機の飛行であったのだ。
惜しいのは、写真が1枚も無いことだが・・・
「機体は大丈夫かな。」と、不時着した機体を見る。
もとより、不時着しても無線装置は壊れないように綿(わた)で包んであるから問題ないようだ。
翼も無理な力が加わると外れるように考えてあるのだが・・・そこまでの不時着ではなかったようである。
「よいしょっと。」と、機体を草むらから運び出した。
「脚が曲がったくらいで、そのほかは、まあまあだな。」と、カンタンに点検する。
「よし、一旦かえって、機体の整備だな。」と、サイトウ君だ。
「無線装置は問題なかったな。」と、犬塚君が嬉しそうにいう。
まあ、誤作動はしなかったからね。
「まあ、陸軍の幹部へのお披露目は、まだ先の話だがな。」
「でも、これなら行けそうじゃないかな。」と、サイトウ君がいう。
「誘導飛行爆弾となるぞ。」「敵の移動へ対処できるから、もしかして敵の戦闘機や爆撃機へ命中させたら・・・」
と、妄想が膨らむサイトウ君だ。
「しかし、現実の飛行機に追いつけるほど速度がでないぞ。」と、犬塚君がいうが・・・
「そこは、エンジンしだいだぞ。」と、夢をいうサイトウ君である。
確かに、相手が敵の戦闘機なら、爆弾は少なくてもいいからだ。
最悪、敵の戦闘機へぶつかるだけでも・・・かなりのダメージを与えるだろう。
それも、操縦士は搭乗していないのだ。
そうなのだ、戦死しなくてもいいのである。
「えっ、でも、先ほどまで調子よく廻っていたじゃないか。」と、犬塚君だ。
「そうなんだが、エンジンというヤツは機嫌を取らないと・・・」と、生き物扱いするサイトウ君だ。
「まるで、生き物だな。」と、冗談をいう犬塚君だが・・
「エンジンは調子がいい時と悪いときがあるからな。」
「そんなもんなのか。」と、犬塚君がいう。
「とくに、カンタンなエンジンほど、そうなるな。」と、サイトウ君だ。
「モーターとは違うんだな。」「モーターは機嫌を取らなくてもいいぞ。」と、犬塚君が・・・
「いや、オレは人間臭いところが好きなんだ。」と、焼玉エンジンをなでるサイトウ君だ。
「まあ、モーターとエンジンは別物だからな。」と、今更な意見を犬塚君がいう。
「エンジンや野郎ならモーターはオナゴだな。」と、サイトウ君だ。
「エンジンは騙し騙しでも、なんとか動かせるが・・・モーターはダメなら、全くダメだからな。」と、加える。
「・・・・」なんも言えない犬塚君である。
確かに、そうだからだ。
モーターは犬塚君の専門なのだから、よくわかるのだ。
「さあ、なんとか廻るように調整できたぞ。」と、スターターを廻す。
「バ、バ、バ、バ、バァ。」と、エンジンが廻りだした。
キャブのネジを少し廻す。
「ブーーーーーーン。」と、勢いよくプロペラが廻りだした。
手で、行けそうだと合図するサイトウ君だ。
あわてて、無線送信機を手に持つ犬塚君である。
さすがに、2メートルの機体だ。
手に持って・・・放りなげるなんて無理である。
そこは、実機と同じだ、滑走させるのだ。
機体を押さえていた手を離す。
「スル、スル、スル、スル。」と、機体が走り出した。
なんか、サイトウ君が叫んでるようだが聞こえない。
離陸するから、エンジンは最高の回転になるようにセットしてある。
やがて、無線操縦の飛行機は、「フワリ。」と、浮かんだ・・・
なんか、サイトウ君が叫んでるが・・・聞こえない。
こっちへ駆けてくる、そして、「機体を見逃すなよ。」「見えなくなったらダメだぞ。」と、叫んでるのだ。
そうだ、あまり離れると・・・電波が届かないのだ。
送信機の出力真空管は超小型のマイクロ真空管だ。
機体が空へ飛んだ。
そうだ、旋回させなければ、ならない。
あわてて、「トン。」と、尾翼を左へ動かす信号を送る。
機体は左へ傾いて・・・「おい、落ちるぞ戻せ。」と、叫ぶサイトウ君だ。
あわてて、ボタンから手を離す。
機体は旋回していたが・・・態勢を立て直して直進する。
「次の、旋回を忘れるなよ。」「ボタンは押してすぐに離すんだ。」と、サイトウ君が叫んだ。
エンジンのコントロールを操作してみたいが・・・そんな余裕は無い!
どうにか、視界から機体が消えないように旋回させるのが・・・精一杯なのだ。
「よし、旋回だ。」と、ボタンを、「トン。」
そして、また「トン。」だ。
うまく45度の旋回を・・・・
なんか、サイトウ君が叫んでるが・・・犬塚君には聞こえていないようだ。
「パラ、パラ、パラ。」と、エンジンが停まりそうな音が・・・
「おい、燃料がなくなるぞ。」
「着陸させるのだ。」と、サイトウ君が叫んでるが・・・
「どうすんだよ。」と、頭がカラッポになる犬塚君だ。
「あわわわわわわ。」と、わめいてるが・・・
やがて、エンジンの音が・・・プロペラが止まってるのが・・・
機体は・・・そのまま高度を下げて・・・
草むらへ・・・「ストン。」と、落ちるように着陸したのだ。
機体は、そのままでも飛ぶように設計してあるのである。
そこは、飛行爆弾の機体設計と同じであるのだ。
時間にして、約15分間の無線操縦飛行だった。
日本で初めての無線操縦模型飛行機の飛行であったのだ。
惜しいのは、写真が1枚も無いことだが・・・
「機体は大丈夫かな。」と、不時着した機体を見る。
もとより、不時着しても無線装置は壊れないように綿(わた)で包んであるから問題ないようだ。
翼も無理な力が加わると外れるように考えてあるのだが・・・そこまでの不時着ではなかったようである。
「よいしょっと。」と、機体を草むらから運び出した。
「脚が曲がったくらいで、そのほかは、まあまあだな。」と、カンタンに点検する。
「よし、一旦かえって、機体の整備だな。」と、サイトウ君だ。
「無線装置は問題なかったな。」と、犬塚君が嬉しそうにいう。
まあ、誤作動はしなかったからね。
「まあ、陸軍の幹部へのお披露目は、まだ先の話だがな。」
「でも、これなら行けそうじゃないかな。」と、サイトウ君がいう。
「誘導飛行爆弾となるぞ。」「敵の移動へ対処できるから、もしかして敵の戦闘機や爆撃機へ命中させたら・・・」
と、妄想が膨らむサイトウ君だ。
「しかし、現実の飛行機に追いつけるほど速度がでないぞ。」と、犬塚君がいうが・・・
「そこは、エンジンしだいだぞ。」と、夢をいうサイトウ君である。
確かに、相手が敵の戦闘機なら、爆弾は少なくてもいいからだ。
最悪、敵の戦闘機へぶつかるだけでも・・・かなりのダメージを与えるだろう。
それも、操縦士は搭乗していないのだ。
そうなのだ、戦死しなくてもいいのである。
0
お気に入りに追加
13
あなたにおすすめの小説
保健室の秘密...
とんすけ
大衆娯楽
僕のクラスには、保健室に登校している「吉田さん」という女の子がいた。
吉田さんは目が大きくてとても可愛らしく、いつも艶々な髪をなびかせていた。
吉田さんはクラスにあまりなじめておらず、朝のHRが終わると帰りの時間まで保健室で過ごしていた。
僕は吉田さんと話したことはなかったけれど、大人っぽさと綺麗な容姿を持つ吉田さんに密かに惹かれていた。
そんな吉田さんには、ある噂があった。
「授業中に保健室に行けば、性処理をしてくれる子がいる」
それが吉田さんだと、男子の間で噂になっていた。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
幕府海軍戦艦大和
みらいつりびと
歴史・時代
IF歴史SF短編です。全3話。
ときに西暦1853年、江戸湾にぽんぽんぽんと蒸気機関を響かせて黒船が来航したが、徳川幕府はそんなものへっちゃらだった。征夷大将軍徳川家定は余裕綽々としていた。
「大和に迎撃させよ!」と命令した。
戦艦大和が横須賀基地から出撃し、46センチ三連装砲を黒船に向けた……。
我らの輝かしきとき ~拝啓、坂の上から~
城闕崇華研究所(呼称は「えねこ」でヨロ
歴史・時代
講和内容の骨子は、以下の通りである。
一、日本の朝鮮半島に於ける優越権を認める。
二、日露両国の軍隊は、鉄道警備隊を除いて満州から撤退する。
三、ロシアは樺太を永久に日本へ譲渡する。
四、ロシアは東清鉄道の内、旅順-長春間の南満洲支線と、付属地の炭鉱の租借権を日本へ譲渡する。
五、ロシアは関東州(旅順・大連を含む遼東半島南端部)の租借権を日本へ譲渡する。
六、ロシアは沿海州沿岸の漁業権を日本人に与える。
そして、1907年7月30日のことである。
色は変わらず花は咲きけり〜平城太上天皇の変
Tempp
歴史・時代
奈良の都には梅が咲き誇っていた。
藤原薬子は小さい頃、兄に会いに遊びに来る安殿親王のことが好きだった。当時の安殿親王は皇族と言えども身分は低く、薬子にとっても兄の友人という身近な存在で。けれども安殿親王が太子となり、薬子の父が暗殺されてその後ろ盾を失った時、2人の間には身分の差が大きく隔たっていた。
血筋こそが物を言う貴族の世、権謀術数と怨念が渦巻き血で血を洗う都の内で薬子と安殿親王(後の平城天皇)が再び出会い、乱を起こすまでの話。
注:権謀術数と祟りと政治とちょっと禁断の恋的配分で、壬申の乱から平安京遷都が落ち着くまでの歴史群像劇です。
//
故里となりにし奈良の都にも色はかはらず花は咲きけり
(小さな頃、故郷の平城の都で見た花は今も変わらず美しく咲いているのですね)
『古今和歌集』奈良のみかど
零式輸送機、満州の空を飛ぶ。
ゆみすけ
歴史・時代
ダクラスDC-3輸送機を米国からライセンスを買って製造した大日本帝国。 ソ連の侵攻を防ぐ防壁として建国した満州国。 しかし、南はシナの軍閥が・・・ソ連の脅威は深まるばかりだ。 開拓村も馬賊に襲われて・・・東北出身の開拓団は風前の灯だった・・・
吉宗のさくら ~八代将軍へと至る道~
裏耕記
歴史・時代
破天荒な将軍 吉宗。民を導く将軍となれるのか
―――
将軍?捨て子?
貴公子として生まれ、捨て子として道に捨てられた。
その暮らしは長く続かない。兄の不審死。
呼び戻された吉宗は陰謀に巻き込まれ将軍位争いの旗頭に担ぎ上げられていく。
次第に明らかになる不審死の謎。
運命に導かれるようになりあがる吉宗。
将軍となった吉宗が隅田川にさくらを植えたのはなぜだろうか。
※※
暴れん坊将軍として有名な徳川吉宗。
低迷していた徳川幕府に再び力を持たせた。
民の味方とも呼ばれ人気を博した将軍でもある。
徳川家の序列でいくと、徳川宗家、尾張家、紀州家と三番目の家柄で四男坊。
本来ならば将軍どころか実家の家督も継げないはずの人生。
数奇な運命に付きまとわれ将軍になってしまった吉宗は何を思う。
本人の意思とはかけ離れた人生、権力の頂点に立つのは幸運か不運なのか……
突拍子もない政策や独創的な人事制度。かの有名なお庭番衆も彼が作った役職だ。
そして御三家を模倣した御三卿を作る。
決して旧来の物を破壊するだけではなかった。その効用を充分理解して変化させるのだ。
彼は前例主義に凝り固まった重臣や役人たちを相手取り、旧来の慣習を打ち破った。
そして独自の政策や改革を断行した。
いきなり有能な人間にはなれない。彼は失敗も多く完全無欠ではなかったのは歴史が証明している。
破天荒でありながら有能な将軍である徳川吉宗が、どうしてそのような将軍になったのか。
おそらく将軍に至るまでの若き日々の経験が彼を育てたのだろう。
その辺りを深堀して、将軍になる前の半生にスポットを当てたのがこの作品です。
本作品は、第9回歴史・時代小説大賞の参加作です。
投票やお気に入り追加をして頂けますと幸いです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる