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飛行爆弾部隊の雰囲気は・・・

軍隊らしくない部隊だ。

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 我が国の軍隊で、先の大戦中に機甲化部隊は一般兵卒とは雰囲気が違っていたとの話を聞いたことがある。
新兵いじめが、一般兵卒ほどではなかったようだ。
 機甲化という機械兵器を扱う特殊な軍隊だったからか・・・精神論を振り回すヤカラが少なかったという。
つまり、戦車隊員らは技師集団であり、工兵よりも機械技術に特化していた部隊だったのだ。
 全員がジーゼルエンジンの原理から学んでいるのだ。
戦意高揚映画で少年戦車兵を描いた作品があるが、それを観ればわかるのだ。
 竹槍でB29は墜ちないことを、機甲化部隊は知っていたのだ。(精神論では戦争には勝てない。)
バケツリレーで空襲の消火訓練をしても、焼夷弾は火が消えないのだ。
 逃げる訓練をしたほうが、まだマシなのだ。
このラノベは、空襲してくるB29を1機残らず撃ち落とすラノベの予定であるのだ。

 大連港へ陸軍が徴用した輸送船が投錨する。
クレーンで輸送トラックが降ろされる。
 タラップから飛行爆弾部隊が・・・トコトコと満州、大連の土を踏んだ。
輸送船で軍隊が援軍に来る・・・と、期待して歓迎にきていた満州政府の小役人連中は・・・期待が外れて・・・
 なんとも言えないような微妙な顔だ。
なんせ、飛行爆弾なんて未知の兵器だからだ。
 満州といえば、馬賊の国だ。
馬に乗っいた山賊だ。
 まあ、インディアンのアジア版といったところだ。
弓矢ではなく、武器はモーゼル銃が主だ。
 日本軍の26年式拳銃よりはマシである。
日本刀がある所為か、日本は拳銃が流行らなかったのだ。
 武士に拳銃は決まらないからだ。
そこは、日本刀しか無いのである。

 「出迎え、感謝します。」と、満州政府の小役人へ挨拶する鎌田少尉だ。
「あのう軍隊は、いつ到着アルカ?」と、不安げに聞く小役人だ。
 「これで、全員ですが。」「えっ。」と、固まる小役人だ。
「まあ、任せんしゃい。」「ソ連軍は全滅だがや。」と、大風呂敷を拡げる派遣軍だ。
 「あのう、それで歓迎式を・・・」と、小役人が言い出すが・・・
そこは、オタクの集まりの飛行爆弾部隊だ。
 「まず、敵を倒してからだ。」と、さっさとトラックへ乗り込んだのだ。
「さあ、大連から奉天、そしてハルピンへ道は長いぞ。」と、鎌田少尉が指示をする。
 ちなみに、建国して数年だ。 
鉄道は建設中で・・・満州鉄道は無いのである。
 弾丸列車を牽引するパシナ型も・・・まだ、なのだ。
舗装していない凸凹道をハルピン方面へ進む、飛行爆弾隊である。
 「途中で、満州軍の案内人と合流する手筈だ。」と、地図を観る。
「場所はハルピンだ。」
 大連港からハルピンまでは、日本縦断と同じ距離だ。
「7日の行程だな。」と、鎌田少尉が計画を練る。
 「軍事兵器だから、眼を離せないし。」「交代で見張るしかないな。」
「10人を3班に分けて廻すぞ。」
 宿では、8時間交代で廻すことにする。

 「それで、鎌田隊長。」「ん、なんだサイトウ君。」
「何機、持ってきたんですか。」
 「君の会社からの100機だ。」「ソ連軍が、どれだけかわからんからな。」
つまり、陸軍の飛行爆弾の全部ということだ。
 「君のほうは、修理や交換部品はあるだろうな。」と、隊長が聞く。
「え、え、100機分なら。」と、答えるサイトウ君だ。
 「しかし、ソ連軍の戦力はどれほどか・・・」
「戦車がいるかもしれんぞ。」と、隊長がいう。
 「まさか、モスクワから運んできますかね。」と、サイトウ君だ。
欧州のドイツとソ連の紛争は戦争に発展しかねないらしいからだが・・・
 つまり、ソ連軍に戦車を満州へ廻さるほど余裕があるかということだ。
「それに、飛行爆弾では戦車には対抗できませんよ。」と、サイトウ君が・・・
 「そこなんだよ、あらかじめ飛行コースを決めねばならないからな。」
戦車は移動するから・・・飛行爆弾では対処できないのだ。
 「まあ、いづれ無線で操縦できるようにはしますがね。」と、サイトウ君が明かす。
「なんだって、本当か!」と、詰め寄る鎌田少尉だ。
 「まだ、計画段階で設計だけですが・・・」と、サイトウ君だ。
「もし、それが本当なら空中勤務員が戦死しなくて済むからな。」と、空中勤務員は操縦士の陸軍での呼び名だ。
 「ぜひとも、成功させてくれ。」「え、え、任かせてください。」と、自信たっぷりのサイトウ君だ。
「なんせ、帝大出の技師が我が社にはいますからね。」と、犬塚技師を示す。
 「機体とエンジンはオレが、そして無線装置は彼がつくります。」
「ほう、電気の専門家かっ。」「そうですね。」と、謙遜しないところに自信が見える犬塚技師だ。
 
 「無線操縦なら、戦車へも使えますからね。」と、結論だ。
「速度が遅い戦車なら、無線操縦で十分に命中できますよ。」と、サイトウ君もだ。
 「それも、大砲を運ぶよりカンタンですからね。」
「大砲は牽引車でないと無理だからな。」と、鎌田隊長だ。
 「馬は1頭ならいいが、寄るとケンカして使えんのだ。」と、経験を語る少尉だ。
「飛行爆弾なら、2名の兵士で運べるからな。」と、いう。
 確かに、分解して運ぶには爆弾以外は軽いのだ。
爆弾を1輪車で曳いていくのだ。
 50キロ爆弾だからだが・・・無線操縦なら250キロ爆弾で・・・こうなると、人力では無理である。
「ところで、斥候のバイクは陸王ですか。」と、聞くサイトウ君だ。
 「あ、あ、エンジンが古い形式だが・・・そこが溜まらないそうだ。」と、隊長がいう。
陸王は米国のハーレー社のライセンスを買って、日本で生産したハーレーである。
 米国の新型ではなくて、サイド・バルブエンジンの旧型だが・・・
その旧型エンジンを陸軍では使っていたのだ。
 信頼性と修理がカンタンだからである。
馬力はショボイが、バイクはある程度の馬力があれば走るからだ。
 旧型エンジンはメンテがカンタンだし、劣悪オイルでも廻るからだ。
斥候用にマフラーを2段にしてある陸軍仕様の陸王である。

 「そうだ、連絡用に無線機を造りました。」と、犬塚技師が携帯無線機を・・・初めて見せる。
さすがに背中に背負うタイプだが・・・
 

 
 
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