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無線機の解析をする。
問題は電池の重さだな。
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「無線機を、どうするんだ。」と、陸軍幹部が聞く。
「この無線機が飛行爆弾に使えないかなと・・・」
「なに?」と、一瞬固まる幹部だが・・・
「無線機は重いぞ。」と、無線機一式を見る幹部だ。
発電機から蓄電池、そして送信機と受信機とマイクからアンテナだ。
とても、模型飛行機には無理だ。
「いえ、飛行機には受信機だけでいいんです。」と、斎藤君だ。
「無線で操縦できないかな、なんて、ハ、ハッ。」と、誤魔化した。
「ふむ、受信機だけなら、半分だな。」「しかし、蓄電池は重いぞ。」と、鉛蓄電池を示す。
「いえ、電池は1回使えればいいのですよ。」と、斎藤君だ。
「なんせ、爆発するんですから。」「なるほど。」と、感心する幹部だ。
「装置としては、無線電信と同じくらいで変調装置はいりません。」と、説明する斎藤君だ。
「ほう、さすが技師というだけあって知識はあるんだね。」と、感心する幹部だ。
「話は聞いてましたので。」と、言い訳する斎藤技師である。
「そうだな、内地へ戻ったら通信課へ顔をだしてくれ。」
「オレは陸軍通信部の佐々木という、受付で言えばいいから。」と、理解をしめす幹部である。
「つまり、君は動く目標にも飛行爆弾を命中させられるということなんだな。」
「そうです、たぶん行けますよ。」と、力説する斎藤技師である。
「今回の実験は平たんな場所だからできたのです。」
「これが、内地のような山や川があれば気流や高さで飛行コースが50キロ先まで維持できません。」
「それで、かなりの誤差がでると思います。」
「というと。」と、幹部が聞く。
「今回の試験飛行は条件がよかったからですよ、これが戦場なら・・・うまくいくとは限りません。」
「それで、無線機というわけなんだな。」と、理解をする陸軍幹部だ。
「え、え、たとえば飛行爆弾を爆撃機から操縦するなら・・・」と、将来の空想を述べるのだ。
「そうか、上なら地上へ正確に誘導できるからな。」と、納得する幹部だ。
こうして、満州平原での実験は成功したのである。
満州平原から帰国した斎藤君は、早々に陸軍の通信課へ・・・
受付のお姉さんへ・・・「あのう、佐々木さんという人へ会いたいのですが。」と、下話だ。
「どういったご用件でしょうか?」と、聞いてきて名刺は?という顔だ。
技師の斎藤君は販売担当では無いから・・・名刺なんて、無い。
それで、「模型飛行機製作の方から来ました。」と、訪問販売員の言い訳である。
「あのう、お名前は?」「失礼、サイトウと申します。」
「では、お待ちください。」
「通信課ですか?佐々木部長を。」「あのう、サイトウという方が模型飛行機・・・」「え、え、わかりました。」
「サイトウ様、どうぞ案内図にしたがって・・・」と、受付嬢だ。
なんとか、陸軍省の通信課へ・・・「コン、コン。」と、ノックする。
「どうぞ。」と、声だ。
ドアを開ける。
受付嬢が・・・
そして、再度の自己紹介だ・・・
電話で・・・同じやり取りだ。
そして、「どうぞ、ご案内します。」と、案内されるからマシかな・・・
そして、通信課の部署をかき分けて・・・案内される・・・
これは、説明されても・・いけないなと、思う斎藤君だ。
「佐々木課長、おつれしました。」と、案内嬢だ。
えっ、課長かよ・・・おもったより幹部じゃないか!と、内心ビビる・・・
「やあ、満州以来ですね。」と、あの顔だ。
「佐々木さん、お偉いさんでったんですね。」と、斎藤君だ。
「いやぁ、からかわないでくださいよ。」と、佐々木課長が返す。
「では、行きましょうか。」と、課長の案内で通信機器配備課へ・・・
役所は、どこも同じだな・・・と、堂々めぐりの斉藤君だ。
部内や省内では、基本的に敬礼は略すのだ。
でないと、なかなか目的地へたどりつけないからだ。
いちいち敬礼や答礼してたら、日が暮れるからだ。
やがて、通信機が大量においてある倉庫風の部屋へ入る。
「きみ、この方へ通信機の小型のを一式渡してくれ。」「新品だぞ。」「ハァ。」
「では、こちらへ。」「では、あとは頼んだぞ。」「佐々木課長さん、ありがとうございました。」「うむ。」
「トラックは、ありますか。」「いえ、電車で来ました。」
「なら、納品場所まで運びますよ。」「えっ、都心ではないですが。」
「いいんですよ、輸送隊がありますから。」と、配備課員がいう。
運搬台車へ一式の無線機を載せて・・・(軽トラ1台分はある。)
配備課員と斎藤君で運ぶ。
重いのだ、この半分でも模型飛行機は無理だな・・・
輸送隊の兵卒が数人でトラックへ載せてくれて、斎藤君も助手席だ。
運ぶ案内役ということだそうだ。
夕方には工場へ着くことができた。
「では、結果を期待してるそうです。」と、敬礼して還る輸送隊だ。
工場の数人の工員が無線機を見て・・・?の顔だった。
模型飛行機と軍の無線機の関係がイマイチなようである。
次の日から、無線機の解析が斎藤君により始まったのだ。
つまり、模型飛行機の無線装置をつくる上でだ。
まずは回路図から始まったのだ。
一番、楽な送信機からである。(重くてもいいからだ。)
模型飛行機で、無線で操作する最低条件はエンジンの操作と舵(ラダー)だ。
「つまり、無線電信として信号を切り替えるには・・・トン・ツーの2トウリだ。
なら、短い方でエンジンをしょうか・・・
そして、一番の問題の受信機だ。
当時は、真空管しかない時代だ。
それも、ST管という大きな茄のようだったのだ。
そして、真空管を温めるニクロム線も電気を喰うのだ。
乾電池では、無理なのである。
「いかん、これでは真空管から造らねばならないぞ。」と、斎藤君は悩むのだった・・・
「この無線機が飛行爆弾に使えないかなと・・・」
「なに?」と、一瞬固まる幹部だが・・・
「無線機は重いぞ。」と、無線機一式を見る幹部だ。
発電機から蓄電池、そして送信機と受信機とマイクからアンテナだ。
とても、模型飛行機には無理だ。
「いえ、飛行機には受信機だけでいいんです。」と、斎藤君だ。
「無線で操縦できないかな、なんて、ハ、ハッ。」と、誤魔化した。
「ふむ、受信機だけなら、半分だな。」「しかし、蓄電池は重いぞ。」と、鉛蓄電池を示す。
「いえ、電池は1回使えればいいのですよ。」と、斎藤君だ。
「なんせ、爆発するんですから。」「なるほど。」と、感心する幹部だ。
「装置としては、無線電信と同じくらいで変調装置はいりません。」と、説明する斎藤君だ。
「ほう、さすが技師というだけあって知識はあるんだね。」と、感心する幹部だ。
「話は聞いてましたので。」と、言い訳する斎藤技師である。
「そうだな、内地へ戻ったら通信課へ顔をだしてくれ。」
「オレは陸軍通信部の佐々木という、受付で言えばいいから。」と、理解をしめす幹部である。
「つまり、君は動く目標にも飛行爆弾を命中させられるということなんだな。」
「そうです、たぶん行けますよ。」と、力説する斎藤技師である。
「今回の実験は平たんな場所だからできたのです。」
「これが、内地のような山や川があれば気流や高さで飛行コースが50キロ先まで維持できません。」
「それで、かなりの誤差がでると思います。」
「というと。」と、幹部が聞く。
「今回の試験飛行は条件がよかったからですよ、これが戦場なら・・・うまくいくとは限りません。」
「それで、無線機というわけなんだな。」と、理解をする陸軍幹部だ。
「え、え、たとえば飛行爆弾を爆撃機から操縦するなら・・・」と、将来の空想を述べるのだ。
「そうか、上なら地上へ正確に誘導できるからな。」と、納得する幹部だ。
こうして、満州平原での実験は成功したのである。
満州平原から帰国した斎藤君は、早々に陸軍の通信課へ・・・
受付のお姉さんへ・・・「あのう、佐々木さんという人へ会いたいのですが。」と、下話だ。
「どういったご用件でしょうか?」と、聞いてきて名刺は?という顔だ。
技師の斎藤君は販売担当では無いから・・・名刺なんて、無い。
それで、「模型飛行機製作の方から来ました。」と、訪問販売員の言い訳である。
「あのう、お名前は?」「失礼、サイトウと申します。」
「では、お待ちください。」
「通信課ですか?佐々木部長を。」「あのう、サイトウという方が模型飛行機・・・」「え、え、わかりました。」
「サイトウ様、どうぞ案内図にしたがって・・・」と、受付嬢だ。
なんとか、陸軍省の通信課へ・・・「コン、コン。」と、ノックする。
「どうぞ。」と、声だ。
ドアを開ける。
受付嬢が・・・
そして、再度の自己紹介だ・・・
電話で・・・同じやり取りだ。
そして、「どうぞ、ご案内します。」と、案内されるからマシかな・・・
そして、通信課の部署をかき分けて・・・案内される・・・
これは、説明されても・・いけないなと、思う斎藤君だ。
「佐々木課長、おつれしました。」と、案内嬢だ。
えっ、課長かよ・・・おもったより幹部じゃないか!と、内心ビビる・・・
「やあ、満州以来ですね。」と、あの顔だ。
「佐々木さん、お偉いさんでったんですね。」と、斎藤君だ。
「いやぁ、からかわないでくださいよ。」と、佐々木課長が返す。
「では、行きましょうか。」と、課長の案内で通信機器配備課へ・・・
役所は、どこも同じだな・・・と、堂々めぐりの斉藤君だ。
部内や省内では、基本的に敬礼は略すのだ。
でないと、なかなか目的地へたどりつけないからだ。
いちいち敬礼や答礼してたら、日が暮れるからだ。
やがて、通信機が大量においてある倉庫風の部屋へ入る。
「きみ、この方へ通信機の小型のを一式渡してくれ。」「新品だぞ。」「ハァ。」
「では、こちらへ。」「では、あとは頼んだぞ。」「佐々木課長さん、ありがとうございました。」「うむ。」
「トラックは、ありますか。」「いえ、電車で来ました。」
「なら、納品場所まで運びますよ。」「えっ、都心ではないですが。」
「いいんですよ、輸送隊がありますから。」と、配備課員がいう。
運搬台車へ一式の無線機を載せて・・・(軽トラ1台分はある。)
配備課員と斎藤君で運ぶ。
重いのだ、この半分でも模型飛行機は無理だな・・・
輸送隊の兵卒が数人でトラックへ載せてくれて、斎藤君も助手席だ。
運ぶ案内役ということだそうだ。
夕方には工場へ着くことができた。
「では、結果を期待してるそうです。」と、敬礼して還る輸送隊だ。
工場の数人の工員が無線機を見て・・・?の顔だった。
模型飛行機と軍の無線機の関係がイマイチなようである。
次の日から、無線機の解析が斎藤君により始まったのだ。
つまり、模型飛行機の無線装置をつくる上でだ。
まずは回路図から始まったのだ。
一番、楽な送信機からである。(重くてもいいからだ。)
模型飛行機で、無線で操作する最低条件はエンジンの操作と舵(ラダー)だ。
「つまり、無線電信として信号を切り替えるには・・・トン・ツーの2トウリだ。
なら、短い方でエンジンをしょうか・・・
そして、一番の問題の受信機だ。
当時は、真空管しかない時代だ。
それも、ST管という大きな茄のようだったのだ。
そして、真空管を温めるニクロム線も電気を喰うのだ。
乾電池では、無理なのである。
「いかん、これでは真空管から造らねばならないぞ。」と、斎藤君は悩むのだった・・・
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