10 / 60
飛行爆弾、平原を飛ぶ!
目標の誤差は35メートル以内だ。
しおりを挟む
「これが、飛行爆弾なのだな。」と、陸軍幹部が・・・
幅4メートル、長さ2メートルの双発エンジンの模型飛行機を見る。
「とても、50キロさきへ飛べるのか。」と、感想だ。
「内地の飛行テストは成功しましたよ。」と、斎藤君がいう。
「まあ、だから満州での試験なのだが。」と、幹部だ。
「それで、目標までの図面を。」と、機体を整備しながらいう斎藤君だ。
「これです。」と、技官が図面を渡す。
「ふむ、10キロ先を西へ、そして北へ1キロ、そして・・・」なかなか、50キロ先を注文が五月蠅い陸軍だ。
斎藤君は自動操縦装置の目盛りをカリカリと合わせる。
そして、「爆弾は?」と、技官へ聞く。
「わかった。」と、手押し車で爆弾を運んでくる。
戦闘機へ搭載できる小型爆弾というヤツだ。
「起爆装置を外すのは、風車ですか。」と、爆弾の先に風車がついている。
「そうだ、投下すると風で廻るんだ。」
「わかりました、では風車はいらないから・・・」と、風車をネジ回しで外す。
そして、風車が廻って雷管を押す装置を外して、別の接点を付ける。
そして、ゴム動力の操縦装置のゴムを巻く。
ゴムの質が悪いから、あらかじめ巻いてはおけない。
「そうだ、砂からエンジンを守らないと。」と、エンジンの空気を入れるキャブレターへフタをする。
「ある程度、上なら砂も舞っていないだろう。」と、思ったのだ。
「飛行機を追跡するクルマは準備できましたか。」と、陸軍幹部へ聞く。
「お、おう、いつでもいいそうだ。」と、幹部がクルマを観た。
当時はクルマの免許なんて、持ってるヤツなんて皆無だ。
自家用車なんて・・・医者か成金か・・・くらいだ。
陸軍の機甲化部隊配属なら、軍が免許を取らせてくれたのだ。
「風が、あまり強風だと流されるからな。」と、気候が心配だが・・・それほどでもない。
「よし、これなら行けるぞ。」と、確信する斎藤君だ。
模型エンジンにしては大型のエンジンの焼き玉プラグへ蓄電池から電流を流す。
そして、大きなプロペラへ起動用のモータークランクを・・・そして、起動モーターのスイッチを入れる。
「クワン、クワン、ブ、ブ。」と、ペラが廻り・・・やがて、「バ、バ、バ、バ。」と、エンジンが始動した。
さあ、もう片方のエンジンだ。
もう、五月蠅くて話声が聞こえない。
「ブーーーーーーン。」と、双発エンジン音がハミングする。
五月蠅いが、単発よりは好きな斎藤君だ。
手をあげて、スタートする合図を・・・
「いまだ。」と、飛行機を押せえていた手を離した。
「スル、スル、スル。」と、飛行爆弾が・・・15メートルも行かない内に離陸した。
追跡の四輪駆動車が追跡を始める。
満州平原といっても、まっ平らな土地ではない。
それなりの凹凸はあるようだ。
追跡の四駆は、ポン、ポンと撥ねながら走っていく。
「こちら、基地だ。」「聞こえるか。」「こちら、追跡車だ、どうぞ。」
「できそうか?」「なんとか、見失わないように・・・」「いかん、思ってより速いぞ。」
「くそっ、とりあえず追いかける、どうぞ。」「了解、事故するな。」
陸軍の無線電話機だ。 最近、クルマへ乗せられる小型の無線装置ができたそうだ。
斎藤君は話は聞いていたが・・・と、無線装置を見る。
下手な箪笥ほどあるようだ。
「まあ、模型飛行機には、無理だな。」と、思ったのだが・・・
「まてよ、模型飛行機なら・・・送信機と飛行機の受信機で・・・つまり、これの半分だな。」
「それに、音声を飛ばす変調装置はいらない。」「なら、かなり小型にできそうだな。」
「一番の問題は真空管のヒーターの電池だな。」「とても、蓄電池では重くて無理だな。」
いろいろ、思考する斎藤研究技師である。
「こちら、追跡班だ、基地局どうぞ。」「こちら、基地局だ。」
「追跡班から飛行爆弾は無事に爆発した。」「追跡班から、爆弾は予定どうり爆発したもようだ。」
「そこの現場を確保しておけ。」「追跡班了解だ。」
「では、現場へ行きましょう。」と、陸軍幹部が・・・
トラックの荷台へ・・・手すりが付いてるから、そこへ摑まる。
「では、行きますよ。」で、トラックが爆発現場へ・・・
信号も交差点もないから・・・しかし、30分では・・・45分くらい現場までかかったのだ。
四駆自動車と手を振る係員が・・・
やがて、目標とした地点にあらかじめ立てていた旗が、見える。
「そんなに、位置はずれていないな。」と、内心でホットする斎藤君だ。
爆発現場に散乱する木片や金属片が・・・「エンジンを見つけたぞ。」と、焼き玉エンジンを拾う。
「これは、もう使えないかな。」と、黒こげのエンジンだ。
陸軍の係員が、旗から爆発現場までの距離を巻き尺で測っている。
「32メートル。」と、声が聞こえる。
「50キロ離れて、誤差が32メートルだと。」「信じられんぞ。」「でも、そうだぞ。」
「これなら、使えるな。」
「でも、一般の兵卒に使えるかな?」「そうだな、試してみるか。」
なんやら、幹部連中が話をしている。
「斎藤技師。」と、幹部の技官が言ってきた。
態度が、あきらかに以前とは違うようだが・・・そこは、言わない斎藤君だ。
「飛行爆弾の取説と仕様を知りたいが。」と、聞いてきたのだ。
つまり、誰でも使えそうかということなのだろう。
「そうですね、それなりの訓練を受ければ、その辺のヤツでも使えますよ。」と、斎藤君だ。
「ただし、平均的な学校教育を受けたモノでないと・・・」と、加える。
「そうだな、それは当然だな。」
「それで、こちらからも要求がありますが。」
「なんありと・・・」
「無線機を一式、ください。」
「えっ、どうするの・・・だ。」と、いぶかしがる幹部だ。
幅4メートル、長さ2メートルの双発エンジンの模型飛行機を見る。
「とても、50キロさきへ飛べるのか。」と、感想だ。
「内地の飛行テストは成功しましたよ。」と、斎藤君がいう。
「まあ、だから満州での試験なのだが。」と、幹部だ。
「それで、目標までの図面を。」と、機体を整備しながらいう斎藤君だ。
「これです。」と、技官が図面を渡す。
「ふむ、10キロ先を西へ、そして北へ1キロ、そして・・・」なかなか、50キロ先を注文が五月蠅い陸軍だ。
斎藤君は自動操縦装置の目盛りをカリカリと合わせる。
そして、「爆弾は?」と、技官へ聞く。
「わかった。」と、手押し車で爆弾を運んでくる。
戦闘機へ搭載できる小型爆弾というヤツだ。
「起爆装置を外すのは、風車ですか。」と、爆弾の先に風車がついている。
「そうだ、投下すると風で廻るんだ。」
「わかりました、では風車はいらないから・・・」と、風車をネジ回しで外す。
そして、風車が廻って雷管を押す装置を外して、別の接点を付ける。
そして、ゴム動力の操縦装置のゴムを巻く。
ゴムの質が悪いから、あらかじめ巻いてはおけない。
「そうだ、砂からエンジンを守らないと。」と、エンジンの空気を入れるキャブレターへフタをする。
「ある程度、上なら砂も舞っていないだろう。」と、思ったのだ。
「飛行機を追跡するクルマは準備できましたか。」と、陸軍幹部へ聞く。
「お、おう、いつでもいいそうだ。」と、幹部がクルマを観た。
当時はクルマの免許なんて、持ってるヤツなんて皆無だ。
自家用車なんて・・・医者か成金か・・・くらいだ。
陸軍の機甲化部隊配属なら、軍が免許を取らせてくれたのだ。
「風が、あまり強風だと流されるからな。」と、気候が心配だが・・・それほどでもない。
「よし、これなら行けるぞ。」と、確信する斎藤君だ。
模型エンジンにしては大型のエンジンの焼き玉プラグへ蓄電池から電流を流す。
そして、大きなプロペラへ起動用のモータークランクを・・・そして、起動モーターのスイッチを入れる。
「クワン、クワン、ブ、ブ。」と、ペラが廻り・・・やがて、「バ、バ、バ、バ。」と、エンジンが始動した。
さあ、もう片方のエンジンだ。
もう、五月蠅くて話声が聞こえない。
「ブーーーーーーン。」と、双発エンジン音がハミングする。
五月蠅いが、単発よりは好きな斎藤君だ。
手をあげて、スタートする合図を・・・
「いまだ。」と、飛行機を押せえていた手を離した。
「スル、スル、スル。」と、飛行爆弾が・・・15メートルも行かない内に離陸した。
追跡の四輪駆動車が追跡を始める。
満州平原といっても、まっ平らな土地ではない。
それなりの凹凸はあるようだ。
追跡の四駆は、ポン、ポンと撥ねながら走っていく。
「こちら、基地だ。」「聞こえるか。」「こちら、追跡車だ、どうぞ。」
「できそうか?」「なんとか、見失わないように・・・」「いかん、思ってより速いぞ。」
「くそっ、とりあえず追いかける、どうぞ。」「了解、事故するな。」
陸軍の無線電話機だ。 最近、クルマへ乗せられる小型の無線装置ができたそうだ。
斎藤君は話は聞いていたが・・・と、無線装置を見る。
下手な箪笥ほどあるようだ。
「まあ、模型飛行機には、無理だな。」と、思ったのだが・・・
「まてよ、模型飛行機なら・・・送信機と飛行機の受信機で・・・つまり、これの半分だな。」
「それに、音声を飛ばす変調装置はいらない。」「なら、かなり小型にできそうだな。」
「一番の問題は真空管のヒーターの電池だな。」「とても、蓄電池では重くて無理だな。」
いろいろ、思考する斎藤研究技師である。
「こちら、追跡班だ、基地局どうぞ。」「こちら、基地局だ。」
「追跡班から飛行爆弾は無事に爆発した。」「追跡班から、爆弾は予定どうり爆発したもようだ。」
「そこの現場を確保しておけ。」「追跡班了解だ。」
「では、現場へ行きましょう。」と、陸軍幹部が・・・
トラックの荷台へ・・・手すりが付いてるから、そこへ摑まる。
「では、行きますよ。」で、トラックが爆発現場へ・・・
信号も交差点もないから・・・しかし、30分では・・・45分くらい現場までかかったのだ。
四駆自動車と手を振る係員が・・・
やがて、目標とした地点にあらかじめ立てていた旗が、見える。
「そんなに、位置はずれていないな。」と、内心でホットする斎藤君だ。
爆発現場に散乱する木片や金属片が・・・「エンジンを見つけたぞ。」と、焼き玉エンジンを拾う。
「これは、もう使えないかな。」と、黒こげのエンジンだ。
陸軍の係員が、旗から爆発現場までの距離を巻き尺で測っている。
「32メートル。」と、声が聞こえる。
「50キロ離れて、誤差が32メートルだと。」「信じられんぞ。」「でも、そうだぞ。」
「これなら、使えるな。」
「でも、一般の兵卒に使えるかな?」「そうだな、試してみるか。」
なんやら、幹部連中が話をしている。
「斎藤技師。」と、幹部の技官が言ってきた。
態度が、あきらかに以前とは違うようだが・・・そこは、言わない斎藤君だ。
「飛行爆弾の取説と仕様を知りたいが。」と、聞いてきたのだ。
つまり、誰でも使えそうかということなのだろう。
「そうですね、それなりの訓練を受ければ、その辺のヤツでも使えますよ。」と、斎藤君だ。
「ただし、平均的な学校教育を受けたモノでないと・・・」と、加える。
「そうだな、それは当然だな。」
「それで、こちらからも要求がありますが。」
「なんありと・・・」
「無線機を一式、ください。」
「えっ、どうするの・・・だ。」と、いぶかしがる幹部だ。
0
お気に入りに追加
13
あなたにおすすめの小説
戦国を駆ける軍師・山本勘助の嫡男、山本雪之丞
沙羅双樹
歴史・時代
川中島の合戦で亡くなった軍師、山本勘助に嫡男がいた。その男は、山本雪之丞と言い、頭が良く、姿かたちも美しい若者であった。その日、信玄の館を訪れた雪之丞は、上洛の手段を考えている信玄に、「第二啄木鳥の戦法」を提案したのだった……。
この小説はカクヨムに連載中の「武田信玄上洛記」を大幅に加筆訂正したものです。より読みやすく面白く書き直しました。
枢軸国
よもぎもちぱん
歴史・時代
時は1919年
第一次世界大戦の敗戦によりドイツ帝国は滅亡した。皇帝陛下 ヴィルヘルム二世の退位により、ドイツは共和制へと移行する。ヴェルサイユ条約により1320億金マルク 日本円で200兆円もの賠償金を課される。これに激怒したのは偉大なる我らが総統閣下"アドルフ ヒトラー"である。結果的に敗戦こそしたものの彼の及ぼした影響は非常に大きかった。
主人公はソフィア シュナイダー
彼女もまた、ドイツに転生してきた人物である。前世である2010年頃の記憶を全て保持しており、映像を写真として記憶することが出来る。
生き残る為に、彼女は持てる知識を総動員して戦う
偉大なる第三帝国に栄光あれ!
Sieg Heil(勝利万歳!)
浅井長政は織田信長に忠誠を誓う
ピコサイクス
歴史・時代
1570年5月24日、織田信長は朝倉義景を攻めるため越後に侵攻した。その時浅井長政は婚姻関係の織田家か古くから関係ある朝倉家どちらの味方をするか迷っていた。
蘭癖高家
八島唯
歴史・時代
一八世紀末、日本では浅間山が大噴火をおこし天明の大飢饉が発生する。当時の権力者田沼意次は一〇代将軍家治の急死とともに失脚し、その後松平定信が老中首座に就任する。
遠く離れたフランスでは革命の意気が揚がる。ロシアは積極的に蝦夷地への進出を進めており、遠くない未来ヨーロッパの船が日本にやってくることが予想された。
時ここに至り、老中松平定信は消極的であるとはいえ、外国への備えを画策する。
大権現家康公の秘中の秘、後に『蘭癖高家』と呼ばれる旗本を登用することを――
※挿絵はAI作成です。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる