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近づくのだ。
もっと、近づくんだ。
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「それで、どうだった。」 「ヤツラは雰囲気は暇そうでしたね。」 「エンジンは?」 「アイドルはかけてました。」 おそらく、充電であろう、でないとバッテリーが上がると動けないのだ。 「わかった、装填手に戻ってよし。」 「わかりました。」 「では、静かに近づくぞ。」 ゆっくりとM26は動き出した。 「まだだ、もう少しだ。」 「かなり、近づきましたが。」 「いいや、もっとだ、距離があると、砲弾が跳ね返る。」 「独逸やろうに見つかります。」 「まだ、いいから近づくんだ。」 もう、キング・タイガー戦車が、はっきりと見える。 「よし、ここから狙え。」 「外すなよ。」 「この距離なら外しやせん。」 砲手は慎重に狙う。 「準備よし。」 「ファィアー。」 砲弾が・・・惜しい、初弾命中は無いか・・・ 「逃げるぞ、即回頭だ。」 M26は超信地旋回が出来ない。 ティーガーは出来るが。 それで、片方を動かして、片方を止めるのだ。 それでも、なんとか旋回できた。 まあ、著者なら後退するが。 戦車は前進も後進も、速度は同じだ。 それで、M26は時速40キロくらいで、後退できるのだ。 キング・タイガーはどうしたのか。 米軍の挨拶かわりの砲弾がはずれて、やっと方向をかえた。 重いから動きは機敏ではない。 「以外に、ヤツは動きが速いな。」 と独逸軍の車長は、逃げていくM26を見て思う。 この距離で、外すとは。 おそらく、気温の差を考えなかったか。 M26は見たところ長砲身だ。 ティーガーの88ミリより長そうだ。 砲身は太陽熱で、半分上が高温になり、下半分は日が当らないから低温のままだ。 そこで、砲身が長いと微妙に砲身が下がるのだ。 それは、見た目ではわからない。 砂漠で作戦行動するうちに独逸軍が経験から判明したことだ。 まだ、砂漠の作戦が短い米軍では知らないのだろう。 それで、あの近い距離でも外すのだ。 砂漠特有の温度補正をいれていないからだ。 それは、灼熱砂漠で同軸機銃と砲身との温度膨張の差異から独逸軍が割り出したことだった。 伊達に砂漠の戦闘が長いわけではないのだ。 機銃手が、「逃がすんで。」と聞いた。 「また、会うこともあるだろう、その時まで取っとくのさ。」 なんと余裕の車長だ。 まあ、この部隊は試験運用部隊だ、おそらくアチラもだろう。 互いに作戦の掛け合いでわかるのだ。 あわてなくとも、いいのである。
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