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速度制限が・・・
フル・スロットルは時間制限が・・・
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「いかん、少佐。」と、偵察員だ。 「どうした?」と、佐々が聞く。 「まだ、青ランプですが、イヤな予感が・・・」と、偵察員が。 「どうも、廻しすぎではないかと・・」言い加える偵察員だ。 「つまり、限度があるということか。」と、聞く佐々少佐だ。 「電子機器が、そういうのです。」と、偵察員だ。 偵察員は電子機器を単なる機械とは見ていないようである。 もちろん電子機器は、なんも言わないが・・・ そして、その注意事項を聞き流すほど佐々少佐はバカではなかったのだ。 偵察員は階級は下っ端だ。 (もちろん、底辺の2等兵ではないが。) 「わかった、ほどほどにしよう。」と、偵察員の助言を聞いたのである。 なんせ、赤ランプが点灯すれば、そこで積みだ。 排気タービンが過熱して、最悪は破裂してしまうのだ。 そうなれば、墜落も考えられるのだ。 この100式はグライダー性能は低い。 ある程度の速度がないと、揚力が得られず失速してしまうからだ。 エンストだけは絶対に避けたいのである。 それで、エンジンが2基あるのだ。 片肺でも、なんとか着陸はできるのだ。 「皆、エンジン回転は4000までだ。」と、無線で指示する佐々隊長である。 だが、それでマスタングへは肉薄するに時間がかかるのだが・・・ 「安全第一だ。」と、工場のスローガンではないが・・「これは、模擬空戦だ、殺し合いではないのだ。」と、いまさら確認する佐々である。 模擬空戦で国の力が判明するのである。 それで、殺し合いの戦争をしなくても結果はでるのだ。 負けるとわかって戦争を始めるバカはいない。(戦前の日本は米国に嵌められたのだ。) もう、米国には騙されない日本であるのだ。 そのときだ。 「隊長、離脱する許可を。」と、4番機が悲痛な叫びだ。 「どうした?」「すんません、赤ランプです。」 「うむ、では4番機は離脱せよ。」と、命令する佐々隊長だ。 1機、離脱した日本軍だ。 「アダムス隊長、黄色い猿が1機離脱しましたぜ。」 「うむ、そうみたいだな。」とアダムスだ。 なんせ、ギリの最高速度だ。 かなり、無理しているのは米軍も同じだ。 「ヤツらも、ギリみたいだな。」と、アダムスが計器盤を見る。 オイル温度計が危険な数値を指してるのだ。 と突然、1機のマスタングのエンジンから火が噴いた。 「いかん、3番機、脱出しろ!」と、叫ぶアダムス隊長だ。 「すまない。」と、3番機のロイドが無線で答える。 そして、射出座席が3番機から飛び出る。 ロイドがパラシュート降下するのを見届けて、アダムスが、「すこし、速度を絞るぞ。」と、指示である。 皆、オイル温度が気になっていたので、「ふう。」と、いいつつスロット絞る。 やがて、オイル温度は正常値のギリ上限だ。 「これで、4対4か。」と、アダムスだ。 プロペラ機の速度の限界を、佐々少佐もアダムス隊長も1機づつの損失で知ったのである。
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