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最初の対戦。
マスタング対100式
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周回飛行のマスタングへ仕掛ける100式である。 爆撃機を追撃するのではない。 戦闘機同士の戦いである。 もちろん、機銃には模擬弾であり、ロケットも爆薬は仕込まれていないのである。 模擬弾には赤い液体(人畜無害)が入っていて、命中すると破裂して赤い色が付着するのである。 その部位により、撃墜判定をするのである。 現在のような、ロックオンなぞは、未来の話なのだ。 写真銃(機銃と連動した撮影機)もあるが、現像しないと結果は判明しないから、同じである。 そして、模擬弾は見物にとり実感があるのである。 いかにも機銃を撃ってる実感があるのである。 模擬空戦とはいえ、火を噴いて墜ちないだけである。 「おや、日本から仕掛けるようだぞ。」と、米軍司令だ。 もちろん、アダムス隊長も、「来やがるぞ、皆っ用心しろ。」と、警告だ。 なんせ、マスタングと100式は最初の顔合わせであるからだ。 100式戦闘機の性能や下話なぞ、米軍は把握していないのだ。 つまり、マスタングの自信たっぷりだったのである。 最高速680キロを誇る、万能戦闘機なのだ。 航続距離も増槽タンクをつければ、日本機に負けない。 (日本機は、航続距離が長いことで、鳴らしているのだ。) 小さめの翼で、空気抵抗が少ない機体だ。 いままでの戦闘機が揚力で飛ぶのだが、マスタングは推力で飛ぶといってもいいくらいである。 急降下速度の制限も音速に近いのである。 つまり、プロペラ機の限界といってもいいのである。 米軍いわく、最後の戦闘機とまで呼んだのだ。 「いいか、最高速度を日本のヤツらへ見せてやるぞ。」と、アダムス隊長がスロットを上げる。 「おう。」と、部下たちも続く。 マスタングは3連排気タービンを「キーーーーン。」と、響かせて、ぐんぐん速度を上げる。 佐々少佐は、「おい、振り切るつもりのようだぞ。」と、偵察員へ。 「隊長、排気タービンの温度は青です。」と、偵察員だ。 「いけそうか?」と、佐々が聞いた。 「まかされよ。」と、偵察員だ。 つまり、100式でマスタングの挑発についていけるか?との質問である。 偵察員は、「できます。」との回答なのである。 「よし、マスタング何するものぞだ。」と、佐々は、「みな、遅れるなよ。」と、無線だ。 V型液冷12気筒3連排気タービンと、空冷星形6気筒、2基のエンジンとの戦いが・・・ ここで、マスタングに振り切られれば、後ろを100式は盗れないのだ。 つまり、追いついて銃撃ができないのである。 それは、敗北を意味するのだ。 王者マスタングは、日本機を寄せ付けない作戦を仕掛けてきたのである。 なんとも、エグイ作戦である。 模擬とはいえ、戦争なのだ。 マスタングへ追いつけなければ、戦いにもならない。 王者マスタングへ、模型屋が設計した戦闘機は追いつけるのか。
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