B29を撃墜する方法。

ゆみすけ

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マスタング、危うし。

記録は破られるためにあるのだ。

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 軽快に離陸したマスタングだ。 「うむ、いい感じだな。」と、アダムス隊長だ。 眼下の滑走路には、並んだ欲張り型が見える。 「あれが、日本軍か。」と、変な機体だなと思うアダムスである。 「よし、周回飛行で、日本軍の様子を見るぞ。」と、無線を入れる。 「ラジャー。」と、返答だ。 周回しながら日本軍の様子をうかがう。 5機の欲張り戦闘機(グレーディファイター)が離陸しているようだ。 「ん、なんだ。」と、アダムスは驚愕だ。 マスタングも滑走距離は短いほうだが、アレは・・・ 「隊長、見ましたか。」と、配下のロビンズが無線だ。 「あ、あ、やけに上がるのが・・」「そうですよ、これは要注意ですよ。」と、加えるロビンズだ。 彼は、飛行学校で秀才だったのだ。 その言葉に嘘はない。 「伊達じゃないみたいだな。」と、アダムスが述べる。 「え、え、グレーディなんて馬鹿にできないようです。」「うむ。」と、アダムス隊長が返す。 あの、離陸が普段なら、侮れない敵だ。 そう感じたアダムスである。 マスタングは無双だ、との伝説のまま、日本軍の新型の情報も仕入れなかった米軍なのだ。 まあ、完全に楽勝との油断でもあるが・・・ それほど、マスタングは無双であったのだ。 米軍もヒトである。 油断もあるのだ。 しかし、あのグレーディの離陸はなんなんだ。 あの角度で上がるとは・・・ そうなのだ、100式戦闘機は45度以上の離陸角度性能があるのだ。 これは、現在のジェット戦闘機とトントンである。 つまり、前後のプロペラの推進力が機体を大幅に上回ってるのである。 翼の揚力で飛ぶのではないのだ。 アダムスは一瞬、冷や汗が・・・ まさか、まさか、このオレが・・ いや、マスタングは不滅なのだ。 自身に言い聞かせねば体がもたない。 勝者も、いつかは引退か敗残する時が来るものだ。 「いいや、マスタングに敗北の二文字は無い。」と、自身へ言い聞かせるアダムス隊長である。 たしか、欲張り型は複座の戦闘機のはずだ。 複座で、あの上昇力なのか。 どうりで、日本軍が戦闘機同士の模擬空戦に否を唱えないはずだ。 「くそっ、ここはマジでいくぞ。」と、奮起するアダムスである。 いつも、マジなのだが・・ 日本軍の佐々少佐は操縦幹を握り、確かな手ごたえを味わっていた。 「やれるぞ、これはやれるぞ。」と、である。 なんなく、急上昇で離陸する。 本来なら失速して墜落する角度だ。 だが、エンジン同調機器が失速を回避してくれたのだ。 「隊長、無理は・・・」と、後部の偵察員の畑野君が苦言だ。 「わかってるよ、しかし、ついやっちまうんだ。」と、佐々少佐だ。 「少佐、少佐、少佐がそれでは、この先が・・」「そう、いうなよ畑野。」と、佐々少佐だ。 本来なら、模擬空戦の小隊長は少尉の仕事なのだ。 少佐は本来なら司令として地上で命令だが・・・ あまりに、100式が自分に合ってるもんだから、無理をいって捻じ込んだ小隊長の座である。 排気タービンの警告灯は青である。 赤なら、即にでも着陸なんだが・・・ 離陸で、最大馬力のブーストを駆けてみても警告灯は青なのだ。 双発のエンジン調整を、この機器は飛行姿勢から大気圧、温度、加速度まで加味して神業の調整ができるのだ。 このバランス機器なくして、100式戦闘機は無いのだ。 
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