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まあ、これは無理だな・・・
できることと、できないこと。
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もの事には、できることと、できないことがある。 為せば成るといっても、できないことが多いのである。 「もう、300で音波誘導なんて、できないよ。」 とこぼす技官である。 なんどもトライしたが、距離が短いのである。 もちろん、他の方法も考えたが、ロケットは、初速が銃弾ほどではないが、誘導までには、それなりの時間がかかるのだ。 電子機器の反応時間がコンマ少しかかるのだ。 まあ、電子機器がトランジスターや半導体が主な時代ではないからだが。 そう、金属の極小とはいえ、真空管なのだ。 「真空管のヒーターを自前に温めておけば。」 まあ、、ヤラないよりはマシだ。 「まあ、とりあえず、実験だな。」 と、試作ロケットを造り、実験を重ねた。 規格を統一して、数を注文したので、開発費は、まあまあ安価であった。 距離は300くらいだから、開発会社の裏庭だ。 もちろん、模擬空戦用だから、爆薬は入っていない。 代わりに規格の重さの錘がのせてあるだけだ。 (これは、模擬空戦での試合規定に決まっていることである。) 「うむ、この翼を胴体に取り付けたヤツが使えそうだな。」 と、現在の米軍のトマホークミサイルと同じような翼を持ったヤツが候補にあがった。 「あ、あ、この翼を左右に開いて、発射するヤツだな。」 「そうだ、これなら、目標への誘導ができそうだぞ。」 「速度も、亜音速までもいかないからな。」 音速では、誘導する前に300を過ぎてしまうのだ。 「いいか、ここは、誘導ロケットという見せ場を造れねばならない。」 という、陸軍のメンツに、イヤイヤ従った技師らが苦肉の策で作り出した誘導ロケットだったのである。 モノは出来た、なら、陸軍幹部を呼んで、実験の実演となる。 金が絡んでいるから、利権に群がる役人やら議員が多数参加したのだ。 もう、陸軍の幹部はヒヤヒヤだ。 技師を呼んで、「間違っても、失敗はしないだろうな。」 「ハア、まあ、たぶん。」 「なんだ、それは、失敗したら。」 「一応、実験したら、うまく行きましたので。」 「ふむ、では成功を頼んだぞ。」 ・・・ 呼ばれた技師に他の技師が、「どうしたんですか?」 「あ、あ、成功しないと首チョンだと・・」 「いいんですか、オレはトンズラできますが。」 と逐電する場所があるようだ。 「まあ、いざとなったら腹をくくるさ。」と、開発の主任技師が発射盤に座った。 さあ、勝利の女神は、ほほ笑むのか。 それとも、地獄の魔王が笑うのか。 「では、実験を開始します。」 と、的が動き出した。 的は、レールに沿って動く模型である。 まあ、米軍のグレートイーグルモドキであるが。 そして、地上に置いてある追撃戦闘機の翼の下にぶら下がっているロケットに火が入る。 まあ、推進薬に点火したのである。 そして、ロケットの翼が開いた。 そして、スルスルと翼にレールからロケットが飛び出した。 「いけ~っ。」 と、技師らが叫ぶ。 音波誘導のロケットは推進薬の爆発音も少なく空に飛び出した・・・・・
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