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日本軍の作戦。
エンジンを狙うぞ。
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追撃戦闘機3機が並んだ。 エンジンは快調だ。 5機のうち、調子がいい3機を選んだのだ。 胴体の下につける増槽をはずして、追加のロケットをつけたのだ。 1機に3発のロケットだ。 ツエツペルンは8基のエンジンがある。 これで、1機のツエツペルンのエンジンを黙らせれば、1機のツエツペルンは飛行不能だ。 単なる、浮袋に成り果てるのだ。 だから、1機撃墜と同じになる。 それで、ドイツに勝てるのだ。 「いいか、予備のロケットは1発だけだ。」 「慎重に狙えよ。」 偵察員が、「わかってるよ、まかされよ。」 だ。 3機は順にエプロンから滑走路に出る。 上空ではツエツペルンが、いまかいまかと待機している。 飛行コースは空港を回周するのだ。 それなら、空港の見物人が満足するからだ。 広い空港だから、見物人は15万人だ。 売り上げでフランスの模擬空戦協会はウハウハだ。 開催国は、売上の3割が運上金だからだ。 利権でウハウハの模擬空戦協会だ。 (オリンピックと同じだ。) 管制塔から離陸許可が出た。 「いくぞ。」 スロットを上げる。 2連排気タービンが、「キーーーーン。」 と高鳴る。 あっという間に空だ。 さすが、2連ターボだ。 「ツエツペルンはどこだ。」 偵察員が、「斜め14時方向だ。」 午後二時の時計の針方向を観る。 「いたぞ。」 でかいクジラが3匹、泳いでいる。 そう、空中を、まさに泳いでいるのだ。 クジラの横に4基づつ、左右で計8基のエンジンのプロペラが廻っている。 「でかいペラだな。」 直径5メートルくらいの4枚のプロペラがゆっくり廻ってるのだ。 ツエツペルンは飛行騒音が聞こえないほど小さいのだ。 だから、脅威でもあるのだ。 夜間なら奇襲も可能である。 無音も武器なのだ。 「あのエンジンだけ電波探信儀で狙えないか。」 伝声菅で伝える。 「いま、やってるが、なかなか飛行中だと難しいんだ。」 と偵察員だ。 「なかなか、信号が安定しない。」 「まて、周波数を変えてみる。」 「あ、あ、なんとか頼むぞ。」 追撃戦闘機はツエツペルンの周りを飛行しているだけだ。 なかなか攻撃できない。 「増槽が無いから、あまり長くは飛べないぞ。」 と偵察員に伝える。 「わかってるが、エンジン必中でないと意味がないから。」 「あ、あ、頼むぞ。」 双方が動いてるし、狙いが定まらないのはわかるが、いつまでも飛んでられんのだ。 燃料が見る見る減っていくのだ。 2連排気タービンは、大食いなんだ。 「できた、狙いが定まったぞ。」 と偵察員だ。 「飛行コースを送るから、それに従って飛んでくれ、ロケットはこちらで、撃つから。」 「わかった、コースを送れ。」 偵察員から数値が送られてくる。 操縦コースが出た。 「よし、いくぞ、皆続け。」 3機が編隊で、コースを取る。 「おい、戦闘機の動きが変わったぞ。」 「へっ、そうか。」 「どうやら、あきらめたのか。」 「いや、あれは、追撃の飛行コースだ。」 「どうやら、決まるぞ。」 馬券ならぬ、飛行券を握りしめる観客だ。 「いいか、はずせよ、オレはドイツに賭けたんだ。」 「イヤ、ここは撃墜だぞ、オレは日本軍の味方だ。」 「あっ、ツエツペルンが動いた。」 ツエツペルンのゴンドラの機銃が動き出した。 ドイツも日本軍の動きを脅威と思い、機銃が(もちろん、模擬弾だ。)
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