88 / 344
観艦式。
あれが旗艦 長門だ。
しおりを挟む
「お、お、あれが、長門か。」 海上にそびえる城だ。 長門は先の大戦で生き残り、米軍の水爆実験で沈められた。 撃沈ではない。 確か、三日くらい浮いていたはずだ。 つまり、無人で三日浮いていたのだ。 ヒトが乗船していれば、沈まなかった。 もちろん、放射能対策が必要だが・・ 「すごい、近くで観ると鉄の城塞だな。」 「これを日本人が造船したと思うと・・」 「あ、あ、負ける気がしないよ。」 「おお、陸奥がいるぞ。」 まだ、事故で爆発していない。 (これは、ラノベだ、話を信じてはいけないよ。) 「さすがに、操船の腕は世界イチだな。」 艦艇がまっすぐに進んでくる。 間隔も均等だ。 各艦は速度が同じではない。 それを、操船で同じになるように、さすがに日頃の訓練だ。 「あれが、標的艦か?」 「そのようだな。」 でかい、赤い印の旗を掲げた艦だ。 「無線で自動操船ができるらしい。」 「ほう、なかなか進んでるね。」 「いま、乗員が降りてるよ。」 見ると、ランチに標的艦から、乗員が乗り移っている。 ランチが離れた。 「そろそろ、だな。」 拡声器が魚雷の試験をすると言ってるようだ。 「潜水艦からか?」 「いや、違うようだ。」 「あっ、水雷艇だな。」 つまり、米軍のPTボートである。 あの、ケネディ大統領が若い頃、乗ってたらしい。 日本は英国から輸入が最初だ。 そして、駆逐艦へと進化をとげたのだ。 戦時中、水雷艇用の機関がドイツから(ベンツの12気筒デーゼル)潜水艦で運ばれた。 それは、当時の日本では無理な機械精度だった。 しかし、今は違うのだ。 水雷艇は波をけたてて、かなりの速度で進んでいた。 「あれは、たしか水雷5号かな。」 「速度が30ノットはでるそうだ。」 時速50キロくらいだ。 普通の民間船が巡行で10ノットもでないころだ。 「たしか、最高は35ノットはいけるらしい。」 かすかに、デーゼルの唸る音が聞こえる。 拡声器が、「魚雷は誘導装置があり、外れません。」 おい、おい、言い過ぎだ。 見ると、水雷艇は標的艦から、かなり遠くで魚雷を発射だ。 まあ、筒から魚雷がドボンである。 魚雷には棒に旗がついている。 いま、どこを進んでるか見せるためだ。 これでは、もし外れたら、腹切りどころでは・・・ いまからでは、逃げられないぞ。 ロケット開発の技師らは、冷や汗がタラタラだ。 絶対は、何事にもないんだ。 万一ということが・・・ すると、ジャイロ開発技師が、「いや、失敗はない。」 「あれば、爆薬の不発だな。」 「オレのジャイロは三段の予備装置が働くんだ。」 「腹は切りたくないからな。」 納得の言葉だ。 標的艦は20ノットくらいだ。 軍艦の巡行速度である。 魚雷の旗は、ゆるやかなカーブで進んでいく。 つまり、標的艦への方向を修正しつつ進んでいるのだ。 拡声器が、「魚雷の速度は軍事機密なので、今回は速度を落として実演しております。」 と余計な話だ。 だから、見たところは遅いんだ。
1
お気に入りに追加
56
あなたにおすすめの小説
大東亜戦争を有利に
ゆみすけ
歴史・時代
日本は大東亜戦争に負けた、完敗であった。 そこから架空戦記なるものが増殖する。 しかしおもしろくない、つまらない。 であるから自分なりに無双日本軍を架空戦記に参戦させました。 主観満載のラノベ戦記ですから、ご感弁を
四代目 豊臣秀勝
克全
歴史・時代
アルファポリス第5回歴史時代小説大賞参加作です。
読者賞を狙っていますので、アルファポリスで投票とお気に入り登録してくださると助かります。
史実で三木城合戦前後で夭折した木下与一郎が生き延びた。
秀吉の最年長の甥であり、秀長の嫡男・与一郎が生き延びた豊臣家が辿る歴史はどう言うモノになるのか。
小牧長久手で秀吉は勝てるのか?
朝日姫は徳川家康の嫁ぐのか?
朝鮮征伐は行われるのか?
秀頼は生まれるのか。
秀次が後継者に指名され切腹させられるのか?

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
黄金の檻の高貴な囚人
せりもも
歴史・時代
短編集。ナポレオンの息子、ライヒシュタット公フランツを囲む人々の、群像劇。
ナポレオンと、敗戦国オーストリアの皇女マリー・ルイーゼの間に生まれた、少年。彼は、父ナポレオンが没落すると、母の実家であるハプスブルク宮廷に引き取られた。やがて、母とも引き離され、一人、ウィーンに幽閉される。
仇敵ナポレオンの息子(だが彼は、オーストリア皇帝の孫だった)に戸惑う、周囲の人々。父への敵意から、懸命に自我を守ろうとする、幼いフランツ。しかしオーストリアには、敵ばかりではなかった……。
ナポレオンの絶頂期から、ウィーン3月革命までを描く。
※カクヨムさんで完結している「ナポレオン2世 ライヒシュタット公」のスピンオフ短編集です
https://kakuyomu.jp/works/1177354054885142129
※星海社さんの座談会(2023.冬)で取り上げて頂いた作品は、こちらではありません。本編に含まれるミステリのひとつを抽出してまとめたもので、公開はしていません
https://sai-zen-sen.jp/works/extras/sfa037/01/01.html
※断りのない画像は、全て、wikiからのパブリック・ドメイン作品です
【おんJ】 彡(゚)(゚)ファッ!?ワイが天下分け目の関ヶ原の戦いに!?
俊也
SF
これまた、かつて私がおーぷん2ちゃんねるに載せ、ご好評頂きました戦国架空戦記SSです。
この他、
「新訳 零戦戦記」
「総統戦記」もよろしくお願いします。
猿の内政官 ~天下統一のお助けのお助け~
橋本洋一
歴史・時代
この世が乱れ、国同士が戦う、戦国乱世。
記憶を失くした優しいだけの少年、雲之介(くものすけ)と元今川家の陪々臣(ばいばいしん)で浪人の木下藤吉郎が出会い、二人は尾張の大うつけ、織田信長の元へと足を運ぶ。織田家に仕官した雲之介はやがて内政の才を発揮し、二人の主君にとって無くてはならぬ存在へとなる。
これは、優しさを武器に二人の主君を天下人へと導いた少年の物語
※架空戦記です。史実で死ぬはずの人物が生存したり、歴史が早く進む可能性があります
織田信長IF… 天下統一再び!!
華瑠羅
歴史・時代
日本の歴史上最も有名な『本能寺の変』の当日から物語は足早に流れて行く展開です。
この作品は「もし」という概念で物語が進行していきます。
主人公【織田信長】が死んで、若返って蘇り再び活躍するという作品です。
※この物語はフィクションです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる