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月光の準備だ。
プロペラのカバー。
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「さて、準備は・・」 技師らが、月光の格納庫へやってきた。 見張りの係官が、「やっと来てくれましたね。」 「遅れてスマン。」 英国と米国の模擬空戦に夢中だったなんて言えない。 見ると、月光の音速ペラにカバーが掛けてある。 「ところで、いつカバーを取るんですか。」 「そうだな、暖気運転するとこからだ。」 「ペラを米国には見せたくない。」 「真似されるのですか。」 「まさか、白人がオレ達を真似るか!」 「いや、わからんですよ。」 「わたしは、ペラの衝撃波を打ち消す、このペラの形を盗まれたくありません。」 「そうだな、今回の模擬空戦の、我が国の切り札だからな。」 「でも、カバーで、注目をあびますよ。」 「ううむ、他にいい手がないからな。」 「ところで、これが米国の航空用エンジンオイルですか。」 「そうだが。」 「すいぶん、日本と色が違うんですね。」 「あ、あ、日本のヤツは米国の自動車用だからな。」 「えーっ、本当ですか。」 「知らなかったのか。」 「え、え、まあ、まさか、本当とは。」 「米国は航空機用は売ってくれないんだ。」 「わが国では、まだ造れないんですか。」 「そうだよ、石油加工の設備がショボイからね。」 「政府のお偉いさんが、理解を示さないからだ。」 ここで、言ったところでなんともならん 日本で、使ってるのは自動車用の、それも劣化版だった。 航空機エンジン用は、えらく朱色っぽい色だった。 粘度があるようで、ないようで、わからなかった。 「すこし、サンプルを持って帰りましょう。」 「それは、月光に入れたままならOKさ。」 帰りのフネで、船内は危険だから燃料やオイルは抜いてるのだが・・・ それで、技師は1斗缶にすこし拝借したのだ。 配合だけでも、知りたいからだ。 まあ、パクル気満々だが・・・ 「さて、タンクに給油するか。」 月光の翼のタンクの蓋を取り、ドラム缶から給油ポンプで入れる。 「あれ、色がついてますよ。」 「あ、あ、ガソリンとわかるようにワザとつけてあるそうだ。」 本来、ガソリンは無色無臭だ。 それが、変な臭いまでする。 「危険物だから、わかるようにしてるんだそうだ。」 「危機管理が日本と違いますね。」 「見習うべきところが多いな。」 「そうですね、危機管理は考え方を米国式に替えた方がいいような。」 「帰国してからの話だな。」 技師らの米国での模擬空戦への参加は、学生留学以上の成果があったようだ。 なんせ、技師らは、即実践できるからだ。 ちなみに、園芸で使う農薬も、劇薬には、まちがって飲まないように、すごい異臭を、わざとつけてあるそうだ・・・・・・・
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