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航続距離。
操縦士の安全策。
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「どうして、欧州の戦闘機の航続距離の理由で空母と聞きましたが?」 「うむ。」 「空母は英国と米国しかないですよ。」 「ドイツやフランスは必要ないからさ。」 「どうして。」 「ドイツは欧州の覇権を争ってる。」 「フランスもだ。」 「それに、長距離など必要ないし、大量の燃料は重い。」 「戦闘機は機銃や防弾で、重くなる。」 「わが国は太平洋があるから、防弾より、航続距離重視の傾向が強いが・・・」 「それが、我が国の戦闘機の弱みでもあるんだ。」 「なんせ、紙と同じ薄さの外板を張ってるからな。」 「そうですね、ペラペラですからね。」 「ドイツもフランスのヤツも、我が国の倍は外板が厚い。」 「操縦士は育成に時間がかかるんだ、それを上層部は知らんからな。」 「なんとも、言えないですわ。」 さて、米国が戦闘機で、英国が爆撃機の番だ。 「英国の爆撃機は初めて見ますが。」 「そうだな、わざわざ英国は見せてはくれんからな。」 「出てきましたよ。」 なんか、長い箱の胴体に細長い翼だ。 「やけに、細いですね。」 「あ、あ、翼が長のは、揚力をかせぐためさ。」 「米国と同じ4発ですね。」 「エンジンは液冷のようだが。」 「戦闘機と同じヤツか。」 「かなり、生産性を考えてるな。」 「あれ、エンジンの始動がクランクではないようですね。」 「まさか、始動装置付きか。」 「ううむ、侮りがたしだぞ。」 「まず、4発のうち、1基ずづ動いてますね。」 「うわ、かなりの黒煙だ。」 「すぐに、収まるさ、ツマリ、」チョークを駆けて廻してるのか。」 「濃い混合気で、一気に廻すんだな。」 「もう、滑走路に出てきましたよ。」 「暖気運転をしていたのか。」 「どうですかね。」 「上がるぞ。」 「キーーン。」 と排気タービンの音だ。 「ヤツらも排気タービンか。」 「エンジンの排気菅はいくつある?」 双眼鏡で観ていた技官が、「片方に9個あります。」 「ふむ、18気筒で、排気タービンは2基だな。」 「米国のエンジンより、気筒がおおいぞ。」 「米国は星型で、8気筒のダブルだから、2気筒分か。」 「おそらく、1気筒の大きさは統制したあり、数で馬力が増やせる設計だな。」 「ううむ、この模擬空戦は、学べることが多すぎる。」 「それで、オイルや燃料は米国と同じものかな?」 「そうさ、同じでないとフェアではないとの米国の見解だそうだ。」 「ある意味、ありがたいことですね。」 「そうだな、同じ土俵で戦えるということだ。」 「おい、そろそろ準備の時間だ。」 技師らは、名残惜しそうに、見学席から格納庫へ移動する。 「くそっ、まだ見てみたいのに。」 「なに、言ってるんだ、見学が目的ではないぞ。」 「わかってるが、英国の爆撃機の速度も気がかりなんですよ。」 「わかるが、うちも勝たないとな。」
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