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英国VS米国。
くじも運の内だ。
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「おい、初めは英国VS米国らしいぞ。」 「そして、日本と英国、米国と日本の順らしい。」 「そして、総合成績で勝敗を決めるらしい。」 「総合成績?」 「あ、あ、銃弾の位置とか、戦闘機の速度から作戦効果まで、詳細に点をつけるらしい。」 「ううむ、難しいな。」 「くじ運は、よかったな。」 「そうだな、英国の実力がわかってから戦えるからね。」 「あの、米軍だぞ、英国は、どんだけだよ。」 「戦闘機が3000馬力だ、内は2000いくかどうかだぞ。」 「うむ、ここは音速プロペラしかないな。」 「でも、1枚しかないぞ。」 「いいや、開催は少し遅れるのだ。」 「つまり、時間ができたのだ。」 「日本から運ぶ時間が・・・」 「ここには、工作機械がある、そして職人もいるのだ。」 「材料さえあれば、できるんだよ。」 「ふむ、その手があったな。」 「しかし、加工は出来るんか?」 「おめえ、職人を小バカにしてないか。」 「いや、そんなことはないが。」 「ここは、職人の腕を信用するだけだ。」 手先の器用さは、ピカイチの日本人だ。 その日本人の中から選ばれた職人15人だ。 それが、月光組み立ての15人衆である。 職人15人衆に、音速ペラを見せる。 「これと同じペラを14本作れますか。」 「おめえ、オレ達を誰だと思ってんだ。」 職人は、とくに腕がいいヤツほど人付き合いが苦手で、口が悪いモノも多い。 「材料と工作機械があれば、できねえモノなんかねえわー。」 「御見それしました・・・」 あわてて退席する主任技師だ。 そして、言うことにウソはない職人だ。 口数はすくないし、話を盛ることもないが、確かな腕と経験が職人としての誇りなのだ。 上手い話ばかりな、巧言令色なヤツほど腕が悪いのだ。 そして、14本の音速ペラは三日でギリ、完成したのだ。 ギリギリ模擬空戦本番に間に合ったのだ。 そして、月光の全機が、さらに二日で音速ペラ装備となったのである。 なんとか、模擬空戦までギリで間に合ったのだ。 明日は、軍の飛行場での模擬空戦開催である。 「音速ペラでの飛行訓練をしたいないが。」 「ここは、音速ペラで、飛行訓練をした者に教養を受けることとするぞ。」 「では、誰だったか?」 「ハイ、私です。」 「うむ、では頼む。」 「え、え、音速ペラは、感じは悪くありません。」 「ふむ。」 「なんら、普通のペラと違いは感じませんでした。」 「では、今までのままで問題ないと。」 「そうですね。」 「回転数は?」 「回転計の目盛りが振り切れて、わかりませんでした。」 「衝撃波は?」 「揚力を失うことはなかったと思いますが。」 「では、無双ではないか。」 「そうとも、言えますね。」 「つまり、回転計の造り直しで済む話だな。」 「まあ、帰国してからだが・・」 そこに、技官が手を挙げた。 「ちょっといいですか。」 「あ、あ、うむ。」 「排気タービンの回転制限を忘れていませんか?」 「何回転だったかな?」 「設計制限は6000回転ですが。」 「排気タービンの回転計は?」 「そんなもの、ありませんよ。」 「6000も廻すエンジンはないですからね。」 「月光のエンジンは回転制限は?」 「つまり、どれほどで、壊れるかですか。」 「設計では、破壊の限界が6000くらいかと・・・」 「はっきりしないのか。」 「だって、そんない、廻るペラなんてないから。」 「ここに、あるじゃないか。」 なんも言えない設計主任だ。 「まあ、まて、米国のグレートイーグルが速度が速いといっても700キロは越えないだろう。」 「うむ、なんとも言えんが・・」 「あちらには音速ペラは無いんだ。」 「ペラの衝撃波を克服しなければ700キロは越えられんぞ。」 亜音速でも、衝撃波は気温で発生する可能性もあるのだ。 気温で音速が変化することを、忘れてはいけない。 会議は、延々と続くのであった・・・・・
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