日本戦車を改造する。

ゆみすけ

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戦場体験談の講話会。

敵は、幾万ありとても~っ。

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 凛子が陸軍省で、もろもろの手続きを・・・日本語で、書かねばならないからだ。
苦労しているころ・・・陸軍幼年学校で今野少尉は学生というより、生徒らへ体験談を駄弁っていたのだった。
 「いまから、皆さんへ紹介しますのは、満州でソ連軍と戦った先輩の講和です。」
「きりっ。」「敬礼。」「休め。」
 生徒らは着席した。
「ゴホン、諸君、本職が満州国派遣戦車隊の今野です。」
 「きょうは、内地へ帰還してるので経験談を諸君らへ話そうと思います。」
「なお、質問があれば話が終わってから、受け付けますので。」
 講堂の教壇の上で弁舌が始まった・・・

 「ソ連邦と満州国の国境紛争は皆、知ってるだろう。」「ハイ。」と、生徒らが・・・
「うむ、その紛争で満州国の軍は破れてしまったのだ。」
 「ソ連軍の戦車にヤラれたのだ。」
「戦車は授業で学んでるだろう。」「ハイ。」「なかなか、イイ返事だ。」
 「ソ連軍の戦車には、欠点があった。」「それは、速度が15から20キロ毎時だったのだ。」
「進軍速度は馬よりは遅いのだ。」
 「そして、だいたいが200キロが走行限度だ。」
「それは、戦車のエンジンが酷使するとダメになるからだ。」
 「戦車は重いのだ、それでエンジンは吹かしてばかりいるんだ。」
「つまり、短距離ランナーなのだよ。」
 戦車は巡行速度がある。 燃費やエンジンの耐久性を考慮しての速度だ。
「わが国の八九式戦車は15キロから30キロくらいだな。」
 「もちろん、会敵したら戦闘速度だが・・・」
「その速度も地面の状態で左右されるんだ。」
 「地面の状態は事前に偵察して把握しておかないと、戦車乗りは務まらないぞ。」と、脅す少尉だ。
「もちろん、最前線だ。」「いつ、狙撃されるか、わからん。」
 「死にたくなければ、鉄カブトは必須だ。」「そして、防護盾があると便利だな。」
「戦車は装甲があるからと・・油断してはならない。」
 「ソ連兵は、対戦車ライフルなる口径が大きなライフルで狙撃をしてくるんだ。」
「ヤツラはオナゴを狙撃兵に使ってるというウワサまであるぞ。」
 これは、史実だ。 オナゴにヒト殺しをさせる共産党なのだ。
「いいか、戦場で戦うのは野郎の仕事だ。」
 「これは、譲れないことだ。」
「オナゴは子孫を産むことが仕事だ。」「そして、オレたち軍人は敵からオナゴを守ることが仕事なのだ。」
 まあ、当たり前の講和なのだが・・・満州国での戦車戦の経験は、それなりの経験談として伝わるのである。
 
 「では、聞きたいことがあれば、どうぞ。」と、話が終わる。
誰も、手をあげない。 これが、普通なのだが・・・
 肝心の事を言ってない少尉だ。
質問で、でるかと思って、言ってなかったのだ。
 しかし、しかしだ。
目の前のガキどもは、開戦となったら最初に海を渡り・・・先陣を切れねばならない。
 上陸用の大発(ダイハツ)で、敵陣へ最初の1歩を踏み出さねばならないのだ。
そう、戦死するリスクが・・・上陸用の戦車は開発されていない。
 もちろん、陸軍工廠では試作を研究してるが・・・まだ、まだだ。
「君たちは、戦争が始まれば最初に敵陣へ乗り込まなければならんのだぞ。」と、脅しをかける少尉だ。
 「相手はシナかソ連だぞ。」「鮮人兵もいるが・・・」
「日露戦争では・・・ソ連の機関銃へ突撃したんだぞ。」「君たちは、それができるのかっ。」
 戦場を経験した野郎の言だ。 すごく重いのだ。
ひとりの生徒が、「怖くないんですか?」と、聞く。 まあ、当然の定番の質問だ。
 「そうだな、怖いといえば怖いが・・・」
「実際に怖いのは戦闘が始まる前だな。」「はじまってしまえば、怖いなんて考える暇なんて無い。」
 「君たちは、どうして軍人への道を選んだんだ。」と、ぶちかます少尉だ。
「オレは、正直いうなら食うためだ。」「なんせ、勤め先が国家だ。」「喰いっぱぐれが無いからな。」
 「お国のためもあるが、それは本音じゃない。」「腹が減っては、なんもできんからな。」
と、生徒らが打ち解ける話をする少尉だ。
 すると、次々と手があがるのだ。
生徒らは、聞きたいことは山ほどあったのだ。

 相手は、陸軍の幼年学校の生徒だ、軍事機密を考慮しなくても、まず問題はない。
そう、話をしても問題はないのである。
 そして、専門的な話は聞いても、なかなか理解できないだろう。
ジーゼルエンジンの分解を聞いてくる生徒はいないのだ。
 「いいか、君たちは自分のオンナを守ることができるんだ。」
「まだ、自分のオナゴはいないだろうが、それなりの年になるとできるものだ。」
 そう、現在はリア充の少尉様なのだ。
「そして、その自分のオナゴを守ることができる仕事が軍人なのだ。」
 「軍人だけが、国を自分のオナゴを母親を妹を守ることができるのだ。」
「国を養うことは、軍人以外の国民がやってくれるのだ。」
 「しかし、敵と戦うには学ばねばならない。」
「戦車を操縦するには、エンジンや変速機などの理解が必要なのだ。」
 「三八式も、素人では使えないぞ。」「長距離狙撃の照準器は使い方があるんだ。」
「戦場で、あらたな武器が到着しても、取説を読めなければ使えないぞ。」
 「だから、勉学が必要なんだ。」「いいか、死にたくなかったら戦い方を勉強するんだ。」
「オレは満州国派遣軍だ。」「直接は日本を守ってる訳ではない。」
 「しかし、満州国が負ければ、次は内地だ。」「ソ連軍は、必ず攻めてくるぞ。」
「日露戦争が証拠だ。」
 「そして、君たちが国をまもることができる仕事につくことができるのだ。」
「いいか、いつかはヒトは死ぬんだ。」「しかし、国を、家族を守って死ねるのだ。」
 「いいか、軍人とはヒトを守るために死ぬことができる職業なんだぞ。」
今野少尉の弁舌は続いたのである。

 

 

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