日本戦車を改造する。

ゆみすけ

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これが、T34の模型だ。

まさに、模型の実戦なのだ。

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 「ん、あれは主任、まかさ・・・」と、マジで驚く今野少尉だ。
ソ連軍のT34の模型が・・・あるのだ。
 「うむ、なかなか苦労してつくったんだぞい。」
「まるで、T34じゃないですかっ。」と、模型の戦車を示す。
 「ほれ、これが送信機だ。」と、箱を渡される少尉だ。
「えっ、オレはソ連軍ですか。」
 「他に、誰がいるんだ。」と、そう・・他には少尉しないない。
参謀殿へソ連軍を・・・なんて、死んでも言えない少尉君だ。
 「では、ワシが日本軍だな。」と、参謀が送信機を取る。
まあ、そうなるわな・・・悪役の今野君である。 (悪役はソ連軍なのだ。)
 戦争に悪は無いのだが・・・ここは、悪のソ連軍となってもらうのだ。

 「で、どう検証するんだよ。」「現場の雰囲気を把握するためですよ。」と、主任技師だ。
「もちろん、戦車模型ですから動くだけです。」
 「そうだろうな。」と、ある意味安心する少尉殿だ。
「でも、速力なんかは、あわせてあるんですよ。」「なるほど。」
 レバーを前へ倒すと前へ進むようだ。
模型の操縦は実際の戦車の左右履帯のレバーを同じなようである。
 「この模型で履帯か総輪が決めたこともあるんですよ。」と、斎藤主任がこぼす。
「単なる玩具ではないのですよ。」と、言うが大人が遊んでるようにしか・・見えないんだが・・・
 よく、戦闘機の操縦士が模型で空戦のやり方を新米へ教えるようなものかな・・・とも、思う少尉であった。

 「しかし、主任殿。」「なんだ。」
「この、多重無線通信車は武装が無いような・・・」と、少尉が言いにくそうに・・・
 「あ、あ、当然だ。」「武器は無いよ。」
「でも、敵が来たらどうするんですか?」「あ、あ、そのときは、他の車両守るんだ。」
 「つまり、無線通信しかできない。」「いや、無線通信ができれば十分なのだ。」
「情報を制するモノが勝利をつかむのだ。」と、斎藤主任が革新的な意見だ。
 「でも、やはり戦車の主砲と装甲で勝利が決まると・・・」
「まあ、君は戦車隊の隊長だからな。」と、主任がいう。
 「しかし、敵の戦車に対して的確に味方を配置できれば・・・戦車の数なんて問題じゃないと思うんだ。」
「でも、普通は数が多い方が勝ちますよ。」と、少尉がねばる。
 「しかし、この前のシナ軍との攻防は数に勝るシナ軍に、我が装甲車部隊は勝利したじゃないかっ。」と、主任が大見えを切った。
 「そうですが、アレはシナ軍が烏合の衆だから・・・」と、少尉君だ。
「確かに、そうだが・・・烏合の衆にしたのは、我が軍の作戦もあるんだぞ。」と、参謀が口をはさんだ。
 「数では、シナは20万とも25万ともだが。」「それに、対する装甲車部隊は30台だったのだ。」
「20,0000対30なんだぞ。」
 「その、20万のシナ軍へ30台の装甲車部隊が点で攻めて、その点を線で繋いだのだ。」
「その、線が敵を分断した。」「もちろん、敵には装甲車は無い。」
 「しかし、ドイツ製の銃器は侮れんぞ。」と、参謀が力説だ。
「装甲車部隊には、全車両に無線通信機だ。」「もちろん、試作だが同時通話無線電話だぞ。」と、主任が大風呂敷だ。
 「そして、当然に装甲車部隊には多重無線通信車が指揮車として初参加したんだよ。」
「それで、シナ軍の動きは逐一把握できたんだ。」
 「敵の動きがわかれば、装甲車1台1台を的確に動かせば、敵の大軍でも穴が開くのだ。」
「その、穴と穴でシナ軍を分断したのさ。」
 「シナや鮮人兵は現場の雰囲気で右往左往するからな。」
「モーゼル銃を放りだして、遁走するしかないのだ。」「シナや鮮人兵が、一斉に銃を放りだして逃げていく様はすごかったぞ。」と、参謀殿が見てきたような・・・話しをするのだ。
 「あとから、地面に転がってる敵の銃器を集めるのには苦労したそうだ。」
「なんせ、トラックで30回も往復したらしい。」
 「まさか、満州軍への機関銃配布の話は・・・」と、少尉が・・・聞いた。
「そうだよ、鹵獲したモーゼルサブマシンガンだ。」と、参謀がいう。
 「満州国が、そんな予算なんてと、思ったのですが裏があったんですね。」
「そうだな、銃弾は共通に使えるから、満州国軍はバンバンザイだそうだ。」
 「全、騎馬隊へ配布できたからな。」と、参謀がいう。
「騎馬隊は満州軍が圧倒的に強いからな。」と、主任と参謀が笑う。
 確かに、騎馬隊は敵が歩兵だと、無双なんだが・・・ソ連軍戦車には・・・無理である。
だから、派遣軍である今野戦車隊の存在が光るのだ。
 初期に満州軍の騎馬隊が全滅した話は・・・いまだに、トラウマとして満州騎馬隊に・・・あるのである。

 そして、半月が過ぎた。
今野少尉へ、見学会の招待状が届いた。
 もちろん、多重無線通信車両の見学会である。
ニャンニャン踊りまで・・・可憐で清楚な満州娘がニャン子のスタイルで踊るのだそうだ。
 「軍の装備の見学会だが・・・なんとも、平和な話だな。」と、今野少尉が疑問符だ。
しかし、しかしだ。
 今野少尉は、そのニャン・ニャン踊りを見たことがないのだ。
ある店へ行けば・・・見学できるんだが・・・隊長という立場上は・・・そんな店なぞ、いけないのである。
 勝てると決まってればいいのだが・・・負けるかもしれない戦場へ部下を命令して行かせなばならない。
そういう立場の隊長が・・・オナゴの踊りにウツツを抜かしていることは・・・できないからだ。
 しかし、ニャン・ニャン踊りは破壊力がすごいらしいのだ。
まず、骨抜きになるらしい。
 「いかん、この踊りだけは、絶対に見学はせんぞ。」と、固く誓う少尉であったのだった・・・ニャン・ニャン
 

 
 
 
 
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