日本戦車を改造する。

ゆみすけ

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魔改造T26B型の事だが・・・

これは、ある意味で九七式改を越えそうだぞ。

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 吉林へ向かう今野戦車隊だ。
車台重量に比べて、エンジンのトルクが大きいので操縦の取り回しがグンバツなのだ。
 ソ連製T26B型は、重さが八九式より軽い11トンだ。
その車台へ18気筒の統制空冷ジーゼルエンジンだ。
 満州の荒野の荒れ地の凹凸を難なく走破する。
八九式はエンジンも小さく、荷重が不足で走行もイマイチだったが・・・
 この鹵獲したソ連戦車の魔改造版は・・・、満州型の新型をも凌駕するかも・・・と、隊員らが思うほど、使い勝手がグンバツなのだ。
 それに、意外に燃費もイイのだ。
給油をする回数が、以前より減ってるんだ。
 つまり、エンジン馬力やトルクのバランスが戦車にピッタリなのである。
普通、鹵獲兵器がそこまで使い勝手がイイなんてないことだ。
 ヒョウタンから駒ではないが・・・日本陸軍派遣の満州国戦車隊に取り、撃てば響く兵器となりそうなのだ。
「ソ連の戦車もバカにはできないということだな。」と、なぜか納得の少尉である。
 つまり、日本が魔改造した米軍が50年前に造ったF4ファントムと同じじゃないか・・・
例え敵の戦車でも、長所を伸ばして・・・欠点を改良する。
 そう、兵器の罪はないのだ。
その兵器を使って戦う軍人しだいなのだよ・・・
 「オレは満州国が、少しはマシな国だと思っている。」
「なぜなら、国内に内乱が無いからだよ。」
 「それも、権力で押さえてるんじゃない。」
「我が国を参考にして、合議を取り入れたことが、内乱を防いでるんだ。」と、結論付ける今野少尉だ。
 
 満州国は、はじめは清王朝の二番煎じと思われていた。
しかし、内乱で北京を追われるとき・・・皇帝は、隣の国の日本が神武建国以来、滅びていないことを・・・
 そう、神武天皇の建国の精神を手本とすることを、肝に銘じたそうだ。
君臨すれど、統治せずが日本皇室の基本概念なのである。
 そして、この満州の地は女真族のふるさとなのだ。
それで、国という概念を国民へ植え付けることができたのだ。
 「オレは政治は、はっきり言ってわからんが。」と、今野少尉は続ける。
「この、満州国は悪くないと思うんだ。」
 「そうですね、そこは同感です。」と、軍曹が賛同する。
「まだ、まだ、ですが。」「軍閥という山賊の集まりのシナよりは、まだマシですな。」と、軍曹だ。
 「まあ、我が国は世界イチ古い君主制議会民主国家だからな。」と、思いっきり上から目線の今野少尉だ。
当時でも現在でも、日本は世界イチ古い君主制民主国家なのだ。(君主は天皇陛下である。)
 神武建国2600年前と、なんら変わらない伝統なのである。
建国200年余りの米国なんて、お子ちゃまなのだ。(2600年、早いのだよ。)
 つまり、キリスト生誕の有史600年以前からの民主国家なのだ。
戦いで殺された古代の人骨が、多数埋まってる諸外国と、我が国の差があるのだ。
 縄文時代の数万年過去から、戦いで殺された人骨が・・・ほとんど無い、日本の地層なのである。
それは、遺跡発掘する学芸員が思ったことらしい。(これ、本当だ。)
 なんで、日本の地層からは・・・殺された人骨が無いのか・・・でも、普通の埋葬された人骨はあるのだ。
それは、つまり、殺し合いが少なかったからだ。
 そう、神武建国以前の縄文時代から日本は殺し合いがなかったのだ。(全くゼロではない、とんでもなく少ないのだ。現在と同じ治安がグンバツな日本だ。)
だから、神武建国が当然のように達成できたのである。

 以前より、給油で停止する回数がへったことは、吉林までの道程の時間短縮となる。
「隊長、到着は予定より早くなりそうですね。」
 「そうだな、これはもしかして・・・ソ連軍を惑わせられるかもしれんぞ。」と、今野少尉だ。
「なんか、作戦でも?」と、聞く軍曹だ。
 「うむ、吉林での待ち伏せは、以前やったからな。」
「そうですね、とうぜんソ連も手の内を知ってるでしょう。」と、軍曹だ。
 「そこでだ、吉林とハルピンの途中に袋小路の丘があるだろう。」
「まさか、それではソ連軍が、かわいそうですぞ。」と、同情を禁じ得ない軍曹だ。
 「フ、フ、二度と越境できないほどの痛い目にあわせてやろうじゃないか。」と、今野少尉が続ける。
「・・・・オレはソ連軍じゃなくてよかったわい。」と、ため息の軍曹だ。
 「まあ、確かに魔改造戦車なら、できそうですね。」と、軍曹が賛同する。
「わが国の血が流れている、ソ連製の戦車の恐ろしさを熊公に見せつけてやるぞ。」と、気勢をあげる今野君である。
 とうとう、露スケから熊公へランクが格下げになったソ連軍であるようだ。
ソ連軍の隊長である、ルイチェンコ中尉が聞いたら・・・烈火のごとく・・・火を噴いて怒り狂うだろうが・・・
 なんせ、ウオッカで体ができてるからね~~っ。
でも、ソ連軍は黄色い猿からエテ公へ、日本軍の呼び方が・・・つまり、熊公VSエテ公の戦いになるのである。
 地上の王者である熊公に、知恵ですぐれるエテ公が勝てるのか・・・
手に汗握ぎる、接戦になるか・・・日本海海戦のような、一方的な戦いになるか・・・
 勝利の女神の微笑みは・・・熊か猿か・・・
正義の女神の天秤はソ連邦か満州国か、どちらに傾くのか・・・



 

 

 
 
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