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ソ連製のT26B型の改造。
これは・・全く、別物だよ・・・
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ここは、満州国の奉天にある、戦車開発会社だ。
表向きは、なんら表示は無いが・・・日本陸軍の戦車改造工場である。
大連港からの鉄道工事が進んで・・・その支線が工場へ入ってるが・・・たまに、大連港からの貨車が数両、小型蒸気機関車で運ばれるくらいである。
ここで、今・・・ソ連製の戦車の改造が進行してるのである。
それは、前回に説明した理由だ。
八九式改がソ連軍の戦車と砲撃の撃ちあいだ。
それで、我が軍は敵戦車の足を止めたんだが・・・ソ連軍は、もろに前面装甲を狙ってきたのである。
まあ、正面攻撃は容易いからね・・・
それで、追加の増加装甲だったのだが・・・玉鋼の特殊装甲であっても・・・ソ連軍の徹甲弾の集中砲火をあびれば・・・ヒビや亀裂が・・・あと、すこしソ連軍の攻撃が続けば・・・あぶなかった日本陸軍戦車隊であったのだ。
ここは、工場の計測部だ。
ソ連製のT26B型が鎮座している。
「よし、エンジンを取り去るぞ。」と、安藤技師が仲間へ・・・
「これが、ラジエターか。」「ということは、水冷だな。」
「まずは、冷却液を抜くぞ。」と、ラジエターの下のボルトは外す。
そして、バケツに冷却液を・・・「これは、普通の水じゃないか。」「なんと、ソ連軍は不凍液は・・・」
錆びた色の水がジャアジャアとバケツへ・・・
当時の不凍液は満州では必須だ。
トラックのガソリンエンジンのラジエターが凍結して・・・苦労した修理技師らである。
もちろん、酷い時にはエンジンブロックにヒビが入るのだ。
それで、エンジンはパーである。
それで、不凍液を考案したのだが・・・数ヶ月で・・・使えないくなって・・・頻繁に交換が・・・
さらに、戦車のジーゼルエンジンの燃料である軽油が満州の冬には凍るのだ。
ゼリー状になるのだが・・・燃料パイプが詰まって・・・噴射ポンプが壊れてしまったのだ。
それで、凍らない軽油を・・・いろいろな添加物を入れて試して、苦労した技師らである。
「どうりで、冬は露スケが侵攻してこないわな。」と、理解した技師らである。
しばらくして、戦車のガソリンエンジンが外された。
「まてよ、このエンジンはトラックに使えないかな。」「でも、かなり燃料を喰うぞ。」
「そうだな、水平対向8気筒だから使えそうだな。」
(ちなみに、史実では空冷エンジンなんだが・・・)
「うむ、これなら90馬力だな。」
「それは、ショボイな。」「だから、速度が遅かったんだな。」
「我がジーゼル統制空冷エンジンは120馬力だからな。」と、空冷ジーゼルに自信を見せる安藤技師だ。
「とにかく、我が八九式改のジーゼルエンジンが詰めるかだよな。」と、指しで測る技師らである。
「いかん、どうみても不足だ。」「50センチも足りないぞ。」
50センチ、なんて大きな不足分か・・・
「仕方がない、統制エンジンだ、気筒を減らすしかないな。」
「18気筒を・・・これでは、8気筒がギリだぞ。」
「とても、半分では・・・」と、あきらめ顔の技師連中だ。
「いいや、トルクはソ連のエンジンよりあるんだ。」「戦車はトルクで動くのを忘れたか。」
「そうだった。」
ところが、今度はクラッチが・・・変速機と・・・これでは、パズルだ・・・
あっちをハメれば、こっちがハマらないのだ。
八九式改のジーゼルエンジンは8気筒のエンジンを組み合わせて16気筒で使っていた・・・
「なら、横を縦に使うのはどうかな・・・」
「それでは、エンジンルームが上に大きくなったしまうぞ。」
「でも、速度は50キロも夢じゃないぞ。」
当時の戦車で50キロは・・・試作戦車では、あったが・・・使える兵器ではなかったのだ。
寒冷地という話では・・・時代は遡るが・・・
戦車の原型の話である。
荒れ地を荷物を載せて運べる機械として・・・開発された雪上車がある。
1910年前後の話である。
南極探検隊のスコット隊が雪上車(エンジン動力)を使ったのである。
もちろん、寒冷地でテストを重ねたんだが・・・
実際の南極では・・・すぐにエンコして・・・使えない機械だった。
その機械がエンコしなければスコット隊はアムンゼンに負けなかったし、遭難もしなかったろう・・・
雪上車は写真が残っているが・・・無限軌道や車輪、エンジンなど、それなりに使えそうなんだが・・・
やはり、天候には勝てなかったということなのだ。
水中でも稼働するくらいの機密性が無いと・・・エンジンは電気火花でガソリンに点火するのだ。
金属以外にゴムとかオイルシールとか氷点下40度以下に耐える素材が大切なのだろう。
ニコンのカメラが氷点下でも作動するのは・・・シャッターのオイルがクジラの油で・・・
つまり、南極の生物の油なら凍らない性質があるのだろう・・・
大英帝国の威信を背負ったスコット隊は冒険者気分のアムンゼン隊とは・・・
南極点にひるがえるノルウェー国旗を観て・・・スコットの心中は・・・いかばかりか・・・
1911年(明治44年)の話である。
そのころ、やっとガソリンエンジンのトラックが日本陸軍工廠で試作されたとか・・・
表向きは、なんら表示は無いが・・・日本陸軍の戦車改造工場である。
大連港からの鉄道工事が進んで・・・その支線が工場へ入ってるが・・・たまに、大連港からの貨車が数両、小型蒸気機関車で運ばれるくらいである。
ここで、今・・・ソ連製の戦車の改造が進行してるのである。
それは、前回に説明した理由だ。
八九式改がソ連軍の戦車と砲撃の撃ちあいだ。
それで、我が軍は敵戦車の足を止めたんだが・・・ソ連軍は、もろに前面装甲を狙ってきたのである。
まあ、正面攻撃は容易いからね・・・
それで、追加の増加装甲だったのだが・・・玉鋼の特殊装甲であっても・・・ソ連軍の徹甲弾の集中砲火をあびれば・・・ヒビや亀裂が・・・あと、すこしソ連軍の攻撃が続けば・・・あぶなかった日本陸軍戦車隊であったのだ。
ここは、工場の計測部だ。
ソ連製のT26B型が鎮座している。
「よし、エンジンを取り去るぞ。」と、安藤技師が仲間へ・・・
「これが、ラジエターか。」「ということは、水冷だな。」
「まずは、冷却液を抜くぞ。」と、ラジエターの下のボルトは外す。
そして、バケツに冷却液を・・・「これは、普通の水じゃないか。」「なんと、ソ連軍は不凍液は・・・」
錆びた色の水がジャアジャアとバケツへ・・・
当時の不凍液は満州では必須だ。
トラックのガソリンエンジンのラジエターが凍結して・・・苦労した修理技師らである。
もちろん、酷い時にはエンジンブロックにヒビが入るのだ。
それで、エンジンはパーである。
それで、不凍液を考案したのだが・・・数ヶ月で・・・使えないくなって・・・頻繁に交換が・・・
さらに、戦車のジーゼルエンジンの燃料である軽油が満州の冬には凍るのだ。
ゼリー状になるのだが・・・燃料パイプが詰まって・・・噴射ポンプが壊れてしまったのだ。
それで、凍らない軽油を・・・いろいろな添加物を入れて試して、苦労した技師らである。
「どうりで、冬は露スケが侵攻してこないわな。」と、理解した技師らである。
しばらくして、戦車のガソリンエンジンが外された。
「まてよ、このエンジンはトラックに使えないかな。」「でも、かなり燃料を喰うぞ。」
「そうだな、水平対向8気筒だから使えそうだな。」
(ちなみに、史実では空冷エンジンなんだが・・・)
「うむ、これなら90馬力だな。」
「それは、ショボイな。」「だから、速度が遅かったんだな。」
「我がジーゼル統制空冷エンジンは120馬力だからな。」と、空冷ジーゼルに自信を見せる安藤技師だ。
「とにかく、我が八九式改のジーゼルエンジンが詰めるかだよな。」と、指しで測る技師らである。
「いかん、どうみても不足だ。」「50センチも足りないぞ。」
50センチ、なんて大きな不足分か・・・
「仕方がない、統制エンジンだ、気筒を減らすしかないな。」
「18気筒を・・・これでは、8気筒がギリだぞ。」
「とても、半分では・・・」と、あきらめ顔の技師連中だ。
「いいや、トルクはソ連のエンジンよりあるんだ。」「戦車はトルクで動くのを忘れたか。」
「そうだった。」
ところが、今度はクラッチが・・・変速機と・・・これでは、パズルだ・・・
あっちをハメれば、こっちがハマらないのだ。
八九式改のジーゼルエンジンは8気筒のエンジンを組み合わせて16気筒で使っていた・・・
「なら、横を縦に使うのはどうかな・・・」
「それでは、エンジンルームが上に大きくなったしまうぞ。」
「でも、速度は50キロも夢じゃないぞ。」
当時の戦車で50キロは・・・試作戦車では、あったが・・・使える兵器ではなかったのだ。
寒冷地という話では・・・時代は遡るが・・・
戦車の原型の話である。
荒れ地を荷物を載せて運べる機械として・・・開発された雪上車がある。
1910年前後の話である。
南極探検隊のスコット隊が雪上車(エンジン動力)を使ったのである。
もちろん、寒冷地でテストを重ねたんだが・・・
実際の南極では・・・すぐにエンコして・・・使えない機械だった。
その機械がエンコしなければスコット隊はアムンゼンに負けなかったし、遭難もしなかったろう・・・
雪上車は写真が残っているが・・・無限軌道や車輪、エンジンなど、それなりに使えそうなんだが・・・
やはり、天候には勝てなかったということなのだ。
水中でも稼働するくらいの機密性が無いと・・・エンジンは電気火花でガソリンに点火するのだ。
金属以外にゴムとかオイルシールとか氷点下40度以下に耐える素材が大切なのだろう。
ニコンのカメラが氷点下でも作動するのは・・・シャッターのオイルがクジラの油で・・・
つまり、南極の生物の油なら凍らない性質があるのだろう・・・
大英帝国の威信を背負ったスコット隊は冒険者気分のアムンゼン隊とは・・・
南極点にひるがえるノルウェー国旗を観て・・・スコットの心中は・・・いかばかりか・・・
1911年(明治44年)の話である。
そのころ、やっとガソリンエンジンのトラックが日本陸軍工廠で試作されたとか・・・
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