日本戦車を改造する。

ゆみすけ

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元馬賊もバカにはできない。

ソ連軍の位置の把握。

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 戦車隊の整列より早く偵察隊が先行している。
偵察隊は元馬賊の成れの果ての連中である。
 ソ連軍の戦車で馬賊の軍隊が全滅して・・・戦車には無力と判明した騎馬隊である。
しかし、騎馬隊は満州平原では機動性がグンバツなのである。
 四輪駆動のオフロード車が無い時代だ。
平原を速度40キロ巡行できるのは馬しか居ないのである。
 無線が発達していない時期は騎馬での連絡こそが万能だったのだ。
それで、ソ連軍の越境も騎馬隊により連絡されたのである。
 さすがに戦車は平原でも巡行40キロは時間制限がある。
燃料消費もバカにならない。
 戦車は、燃費が良いヤツが満タンでも200キロ程度行ければ、いいほうなのだ。
もちろん、ソ連軍も燃料の給油隊は往復していたのである。
 それで、時期的に冬季は越境行為は無かったのだ。
なぜなら、道路が凍結してトラックなどが運用できないからである。
 シベリア鉄道も除雪が・・・ままならない。
それで、春になったらソ連軍が・・・の季節なのである。

 「隊長さん、敵は松花江沿いにやってきてるアルヨ。」と、騎馬隊から連絡だ。
松花江は満州平原を流れる大河のことだ。
 ソ連国境から河沿いに南下するとハルピンである。
定番のソ連軍の侵攻コースだ。
 「まあ、今度も歩兵は無しのようだな。」と、今野少尉がいう。
「まあ、様子見でしょうね。」と、分析する軍曹だ。
 前回は油断していたソ連軍を一気に攻めて、勝利した日本軍だった。
「まあ、今度は戦車が居るとわかってるから奇襲はダメだな。」と、少尉が思う。
 敵もバカではあるまい、騎馬隊しかいないと油断したソ連軍だったのだ。
それが、日本軍の戦車が居たのだ。
 まあ、情報が無いから・・・だろう。
「まあ、そのおかげで敵戦車を研究出来て、対処法がわかったから・・・ここは、正攻法だな。」
 と、正面から勝負を掛けるつもりの少尉だった。

 「で、敵の数は?」と、騎馬隊へ聞く。
「あ、あ、20両アルヨ。」と、最近になり数を覚えた騎馬隊の元馬賊だ。
 彼は、3つまでしか数えられなかったんだ。
3個以上はたくさんである。
 それで、数の数え方を教えたのである。
いまでは、100までは・・・なんとか数えることができるように・・・なったらしい。
 まあ、馬賊に数字は関係ないからね。
戦車隊は奉天の駐屯地から・・・長春へ進んでいた。
 途中で3回の給油だ。
八九式のガソリンエンジンはジーゼルエンジンに載せ替えられていた。
 それで、ガソリンより燃費が良くなり、3回の給油で走破できるのだ。
「なかなか、ジーゼルはトルクがあって、荒れ地で使い勝手がイイ。」と、操縦手に評判がよかった。
 ガソリンは回転数は廻るが・・・トルクはジーゼルに負けるからである。
戦車はエンジン回転よりトルクが大切なのである。
 重い車台を凹凸の荒れ地で走破するには・・・回転数より、回転力なのである。
高トルクのロングストロークのジーゼルエンジンである。

 休憩時間だ。 砲手と装填手にとり、訓練の時間である。
操縦手は休憩なのである。
 行軍中は砲弾の装填訓練は危険なのだ。
それで、戦車が停止している休憩時間に訓練である。
 なんせ、砲身が長くなり砲弾も榴弾から徹甲弾へ・・・かなり重くなったのだ。
砲弾の先は鋼鉄のカバーが・・・それで、4キロの榴弾から、6キロの徹甲弾である。
 装填手が弾薬庫から砲弾を引き出す。
砲身の遊底を開けて、砲弾を詰め込む。
 そして、砲手の肩を軽く叩く。
砲手は照準器を合わせて、引き金を引くのである。
 この一連の動作を数秒でやらねばならない。
それも、せまい砲塔内だ。
 九七式改のような広さはないのだ。
潜航艇の艇内と同じ広さと思えば・・・まあ、犬小屋だな。
 偵察隊から騎馬での連絡だ。
「ソ連軍はハルピンへ入ったらしい。」と、少尉が通信文を見る。
 「じゃあ、ソ連軍は2,3日は動かないですね。」
「たぶんな。」
 食料や強姦するオナゴを探すのだ。
聞くところでは・・・ババアでもOKらしい・・・
 「オレは、少なくても30までだな。」と、隊員の一人が・・・
「いや、オレは25までだ。」
 「年齢は関係ないさ。」
「いや、いや、すこしでも新しい方が。」
 「処女なんて、いないぞ。」
「オレ達は皇軍だ。」「そうだ、軍規に正規のオナゴ(売春婦)からと内規が・・・」正文でない、内緒の規則だ。
 「まあ、金で解決すれば軍規には触れないな。」と、少尉だ。
「まあ、作戦が終わってからだな。」と、結論つける少尉だ。
 「そりゃあ、草原の娘より奉天の方が垢ぬけてるからな。」と、納得の隊員らである。
可憐で清楚な満州娘は奉天に限るのである。
 泣いて、ついてこられても困るのだ。


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