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八九式の欠点とは・・・
使える兵器へ魔改造だ。
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満州国への派遣軍は今野少尉だけではなかった。
なんと、技術将校までもが・・・
日本の陸軍工廠の大阪兵器工廠の技師で軍属の士官が同伴していたのだ。
兵器工廠の身分は主任だったが・・・軍属では、下士官と同等の身分だ。
八九式中戦車の修理担当主任のオサカベ技師である。
役割は八九式中戦車の欠点を解析して、兵器としての使い勝手を改良するのが役目だ。
階級は少尉と同じである。 つまり、技術主任だ。(これは、ラノベだ、ウソも多い)
「加藤中尉殿、八九式の使い勝手は、どうでしたか。」と、率直な意見を求める主任だ。
「そうですね、いい戦車ですよ。」と、加藤君がお世辞だ。
「イヤ、そういうことではなくて。」「うむ。」
「敵戦車と撃ちあって、どうでしたか?」と、質問だ。
「あ、あ、直接は撃ちあいはしてませんよ。」「でも、完勝しましたよね。」
「実は、機銃も敵には1発も撃ってませんよ。」「・・・・」
「銃を向けたら、降参してきたのですよ。」と、当時の作戦を説明する中尉だ。
「なんと、そんな奇想天外な作戦を・・・」と、驚く主任だ。
「それで、一番助かったのは、作戦中にエンジンがエンストしなかったことですよ。」と、感想だ。
「15両の1両も欠けることなく作戦を遂行できましたから。」と、ゴマを擦る中尉だ。
「敵が休憩中を急襲したんですが、エンジンが五月蠅くなかったので助かりました。」と、中尉が加える。
「あ、あ、2段マフラーですか。」と、主任だ。
「あれは、わざわざ付け加えたんですよ。」と、主任がいう。
「本来なら、乗用自動車用の技術ですからね。」と、説明するオサカベ主任だ。
「敵に気が付かれずに近づけたんですからね。」「とても、助かりました。」
「いままでの戦車のエンジン音とは別物ですからね。」
「そうですね、内地に配備している八九式はマフラーは1本ですからね。」と、付け加える主任だ。
「そして、大連から奉天経由で熱河省から方向を変えて移動するときですが。」「はぁ。」
「1両が燃料パイプが外れて、エンストしたことがありました。」と、思い出す中尉だ。
「それは、困ったでしょう。」と、主任だ。
「ジーゼルエンジンは燃料切れでエンストすると、再始動が苦労しますからね。」と、主任が加える。
「そうなんですよ、ただ取説に細かい注意書きがあり、それで再始動できました。」と、当時を思い出す中尉である。
「へーぇ、燃料ポンプを操作したんですね。」と、主任だ。
ジーゼルエンジンは空気を圧縮して、そこへ燃料を噴射して点火爆発するエンジンだ。
噴射ポンプに燃料切れで空気が入ると、燃料が圧縮できないのだ。
それで、外部から空気を抜くためにポンプで燃料(軽油)を送り込む必要があるのだ。
「それで、1時間ほどかかりましたが、なんとかエンジンを再始動できました。」と、中尉だ。
「話には聞いてましたが・・・実際に経験するのは初めてだったので苦労しました。」と、思い出す中尉である。
「そうですか、それは訓練する必要がありますね。」と、今野少尉がうなずく。
現場の生の声は、大変参考になるのだ。
「あとは、満州国の気候や砂被害に注意することです。」と、加藤中尉だ。
「満州平原は細かい砂が舞ってますからね。」
「エンジンの空気清浄装置が紙フィルターなんですが、すぐに詰まるんですよ。」
「それで、毎日の点検で必ず砂埃の掃除が必要なんです。」
「これは、こまめに掃除するしか、ありませんからね。」と、中尉が注意である。
「つまり、叩くんですか?」と、少尉が聞いた・・・(当時、電気掃除機なんて、無い・ホウキと塵取りだ。)
「いえ、ゴムのプシュプシュで吹き飛ばすんですよ。」と、中尉だ。
「プシュプシュ?」「なんですか?」
「はじめは、ゴム管をフィルターへ近づけて口で吹いて埃を飛ばしていたんですが・・・効率が悪くて。」
「それで、ゴム球を付けて造ったんですよ。」と、ゴムのブロアーなるモノを・・・
「ほぉー苦労されたんですね。」と、オサカベ主任が感心する。
「内地では、とても想像できない戦訓ですね。」と、今野少尉だ。
「そして、一番肝心なことですが。」と、加藤隊長が姿勢を正す。
「鹵獲した敵戦車と八九中戦車の模擬戦闘をやって欲しいんです。」
「えっ。」と、驚く今野君だ。
「まだ、鹵獲した敵戦車は集めてあるだけなんですよ。」
「それで、私たちを内地へ帰る船便で数両は持ち帰りますが・・・」
「この、満州平原で模擬戦が絶対に必要です。」と、確信をもって力説する加藤隊長だ。
「・・・・・」力説する加藤隊長に圧倒される今野新隊長である。
なんと、技術将校までもが・・・
日本の陸軍工廠の大阪兵器工廠の技師で軍属の士官が同伴していたのだ。
兵器工廠の身分は主任だったが・・・軍属では、下士官と同等の身分だ。
八九式中戦車の修理担当主任のオサカベ技師である。
役割は八九式中戦車の欠点を解析して、兵器としての使い勝手を改良するのが役目だ。
階級は少尉と同じである。 つまり、技術主任だ。(これは、ラノベだ、ウソも多い)
「加藤中尉殿、八九式の使い勝手は、どうでしたか。」と、率直な意見を求める主任だ。
「そうですね、いい戦車ですよ。」と、加藤君がお世辞だ。
「イヤ、そういうことではなくて。」「うむ。」
「敵戦車と撃ちあって、どうでしたか?」と、質問だ。
「あ、あ、直接は撃ちあいはしてませんよ。」「でも、完勝しましたよね。」
「実は、機銃も敵には1発も撃ってませんよ。」「・・・・」
「銃を向けたら、降参してきたのですよ。」と、当時の作戦を説明する中尉だ。
「なんと、そんな奇想天外な作戦を・・・」と、驚く主任だ。
「それで、一番助かったのは、作戦中にエンジンがエンストしなかったことですよ。」と、感想だ。
「15両の1両も欠けることなく作戦を遂行できましたから。」と、ゴマを擦る中尉だ。
「敵が休憩中を急襲したんですが、エンジンが五月蠅くなかったので助かりました。」と、中尉が加える。
「あ、あ、2段マフラーですか。」と、主任だ。
「あれは、わざわざ付け加えたんですよ。」と、主任がいう。
「本来なら、乗用自動車用の技術ですからね。」と、説明するオサカベ主任だ。
「敵に気が付かれずに近づけたんですからね。」「とても、助かりました。」
「いままでの戦車のエンジン音とは別物ですからね。」
「そうですね、内地に配備している八九式はマフラーは1本ですからね。」と、付け加える主任だ。
「そして、大連から奉天経由で熱河省から方向を変えて移動するときですが。」「はぁ。」
「1両が燃料パイプが外れて、エンストしたことがありました。」と、思い出す中尉だ。
「それは、困ったでしょう。」と、主任だ。
「ジーゼルエンジンは燃料切れでエンストすると、再始動が苦労しますからね。」と、主任が加える。
「そうなんですよ、ただ取説に細かい注意書きがあり、それで再始動できました。」と、当時を思い出す中尉である。
「へーぇ、燃料ポンプを操作したんですね。」と、主任だ。
ジーゼルエンジンは空気を圧縮して、そこへ燃料を噴射して点火爆発するエンジンだ。
噴射ポンプに燃料切れで空気が入ると、燃料が圧縮できないのだ。
それで、外部から空気を抜くためにポンプで燃料(軽油)を送り込む必要があるのだ。
「それで、1時間ほどかかりましたが、なんとかエンジンを再始動できました。」と、中尉だ。
「話には聞いてましたが・・・実際に経験するのは初めてだったので苦労しました。」と、思い出す中尉である。
「そうですか、それは訓練する必要がありますね。」と、今野少尉がうなずく。
現場の生の声は、大変参考になるのだ。
「あとは、満州国の気候や砂被害に注意することです。」と、加藤中尉だ。
「満州平原は細かい砂が舞ってますからね。」
「エンジンの空気清浄装置が紙フィルターなんですが、すぐに詰まるんですよ。」
「それで、毎日の点検で必ず砂埃の掃除が必要なんです。」
「これは、こまめに掃除するしか、ありませんからね。」と、中尉が注意である。
「つまり、叩くんですか?」と、少尉が聞いた・・・(当時、電気掃除機なんて、無い・ホウキと塵取りだ。)
「いえ、ゴムのプシュプシュで吹き飛ばすんですよ。」と、中尉だ。
「プシュプシュ?」「なんですか?」
「はじめは、ゴム管をフィルターへ近づけて口で吹いて埃を飛ばしていたんですが・・・効率が悪くて。」
「それで、ゴム球を付けて造ったんですよ。」と、ゴムのブロアーなるモノを・・・
「ほぉー苦労されたんですね。」と、オサカベ主任が感心する。
「内地では、とても想像できない戦訓ですね。」と、今野少尉だ。
「そして、一番肝心なことですが。」と、加藤隊長が姿勢を正す。
「鹵獲した敵戦車と八九中戦車の模擬戦闘をやって欲しいんです。」
「えっ。」と、驚く今野君だ。
「まだ、鹵獲した敵戦車は集めてあるだけなんですよ。」
「それで、私たちを内地へ帰る船便で数両は持ち帰りますが・・・」
「この、満州平原で模擬戦が絶対に必要です。」と、確信をもって力説する加藤隊長だ。
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