日本戦車を改造する。

ゆみすけ

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加藤中尉の引継ぎ。

新任少尉殿へ注意事項だ。

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 奉天城で満州政府から労いを受けた、加藤戦車隊は帰国の途に就くことになった。
要は、正規の交代員が内地から派遣されたのだ。
 そう、ひさびさの登場の今野少尉である。
新任の下士官である。
 「いままで、ご苦労様です。」と、加藤中尉をねぎらう今野である。
「いやぁ、助かりますよ。」と、加藤中尉だ。
 「なんせ、満州くんだりで補給もままならなかったものですから。」と、派遣初期を思い出すのだ。
「そういえば、満州軍騎馬隊は300騎も全滅だったとか。」と、今野少尉だ。
 「あ、あ、あれは満州政府の盛ですよ、本当は50騎ほどだったかな・・・」と、加藤中尉だ。
「そうですか、まあ実際と報道は違いますですね。」と、若いくせに世の中を知ってる今野である。
 「300騎も、やられたなら日本陸軍もマジで応援をおくりますからな。」と、加藤中尉である。
「では、引継ぎを始めますか。」と、本題を切り出す中尉だ。

 「まず、案内の馬賊ですが。」「ハイ。」
「信用しないでください。」「えっ。」「所詮、金で雇われたので愛国心なんて・・・ありませんからね。」と、切り出す中尉である。
 「それでも、他の満州国人よりは信用はできます。」と、すこし言い訳する加藤中尉だ。
「満州国の国民は皇帝が、清国が滅んで故郷へ帰ってきたんですが・・・喜んではいません。」
 「まだ、建国して数年ですから、海とも山ともわからないですからね。」
「しかし、よくソ連兵を全員捕縛できましたね。」と、感心しきりの今野である。
 「あ、あ、それは運がよかったのですよ。」と、謙遜する加藤君だ。
「それに、満州軍は騎馬隊ですからソ連軍は完全に小バカにしていたんですよ。」と、加える加藤君である。
 「それに、初期段階の紛争ですから、日本政府も戦争に発展して欲しくなかったですからね。」と、加藤中尉だ。
「それは、わかります。」と、今野君も思うのだ。
 満州軍の騎馬隊の犠牲は同情はするが、それまでなのだ。
なぜなら、日本軍じゃないからである。
 米軍が日本に駐屯しているが、それは日本が怖いからである。
なんせ、爆弾を抱いて敵艦へ体当たりが攻撃方法なのだから・・・
 それも、アラブ人のテロのようにアラブの娘の背中に爆弾を背負わせて、民間人を爆死させる卑怯な行為ではないのだ。
日の丸を付けた、日本人が造った戦闘機で突っ込むのだ。
 それも、敵軍にである。
それに、米軍は恐怖したのだ。(そんなことできる米兵は・・・皆無である。)
 だから、二度とヤラれないように米軍が日本に駐屯しているのである。
だから、シナが日本へ侵攻しても米軍は命を賭けては戦わないのだ。
 せいぜい、空母で恫喝する程度なのである。
そして、シナは米軍にはミサイルは撃たないのである。
 なぜなら、核兵器があるからだ。
米国は戦争で核兵器を使う国だ。
 なぜなら、もう2発も敵国へ落としている証拠があるからである。(それも、民間人の住む都市へだ。)

 「ソ連兵を満州国へ渡さなかったのは、良策でしたね。」と、感心しきりの今野君だ。
「あ、あ、ヤツラに渡せば銃殺は間違いないからな。」と、加藤中尉だ。
 「シナも満州国も国際法というモノを知らないからな。」と、中尉だ。
「でも、シナはハーグ陸戦条約に署名してるそうですが。」と、今野君だ。
 「それは、滅んだ清国も同じだが・・・ヤツらが捕虜を法的に扱うと思うか?」と、加藤中尉が聞く。
首を振る、今野君だ。(なぶり殺しにするだろう。)
 「そうだろう、シナは約束なぞ守らないからな。」と、確信をもって答える中尉である。
「それは、ソ連にも言えるが・・・シナよりはマシかな。」と、加藤君が論評する。
 「我が国はソ連が満州国へ侵攻して、いずれ内地へ・・・を防ぎたいのだ。」と、結論をいう中尉である。
「それには、日本の軍隊は無双で話が通じるとソ連へ思わせなばならん。」「はぁ。」
 「それで、紛争の内に収めたかったのだよ。」
「それに、61名もソ連兵の捕虜なぞ、扱いに困るから・・・早く手放したかったのだ。」と、本音が出る中尉である。
 「ヤツらは、ウオッカを要求するし、肉がマズいとか要求が絶えないのだ。」「それで、一刻でも早く放免したかったのが本音さ。」と、ニヤつく中尉だ。
 「まさか、捕縛して殺すわけにはいかんからな。」「死体の始末にも困るし。」と・・・
後日、掘り出されて国際問題となる事案になりかねないのだ。
 カンボジアのポルポト政権の虐殺はシャレコウベの塔が・・・掘り出された犠牲者だ。
「それで、我が軍の舟艇で国境の向こう側へ全員を渡したときは、ほっとしたよ。」と、本音の中尉であった。
 「殺し合いは、殺し合いしか生まないからな。」と、軍の中尉がいうのだ。
名言に聞こえる今野君だった。
 

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