日本戦車を改造する。

ゆみすけ

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紛争で終わらせる為に・・・

絶対に戦死は、できないんだ。

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 「3両の敵戦車の軌道を破壊しました。」と、軍曹が加藤中尉へ・・・
「うむ、ごくろう。」と、答礼する中尉だ。
 「戦死者は出ておらんだろうな。」と、確認する。
「え、え、いまのところは。」
 「隊長。」と、砲手の真田伍長が進言だ。
「戦死者を絶対に出さないとのことですが。」「あ、あ。」
 「どうして、ですか?」と、質問だ。
「それは、紛争で終わらせるためさ。」「敵のソ連兵にも、できれば戦死は出したくない。」
 「なるべく、ケガで終わらせるんだ。」
「なぜなら、ケガ人には介護の兵がとられるからな。」と、情け容赦ない言葉だ。
 「それも、片足だと、最高だな。」「敵も歩けないと、二人は介護が必要だからな。」
なるほど、と納得した伍長だ。

 敵に戦死がでると、仇討ちだ、と戦意の高揚になるのだ。
ところが、ケガ人は介護しなければ、戦意が低迷するのだ。
 助けてくれないなら、勇気をもって突撃なぞできないからだ。
正式な開戦ではない今回の紛争だ。
 様子見で侵攻してきたソ連軍なのである。
証拠は、ソ連軍に歩兵がいないからだ。 
 敵地の占領には、必ず歩兵が必要なのである。
これは、近代戦の現在もそうだ。
 軍隊の基本は、古代ローマの時代と替わらないのである。
「それに、捕虜を取れば、満州国の管理だ。」「馬賊部隊が全滅してるんだ。」
 「絶対に、満州国はソ連兵の捕虜を処刑するだろう。」
「そうなれば、国際的な非難が満州国へ集まる。」「侵略者はソ連なのにだ。」
 「隊長、敵が侵攻してきました。」「うむ、では配置につけっ。」
 
 1列に道路を侵攻してくるソ連軍のT26だ。
完全に甞め切ってるのである。 なんせ、馬賊の軍隊だと思ってるソ連軍だ。
 「よし、十分に引き付けて側面を狙うぞ。」と、無線で指示する加藤中尉だ。
「いまだっ、てーーーーーーっ。」と、叫ぶ隊長だ。
 「ドウンン、ドウウン。」と、九五式の主砲が吠える。
37ミリの肩当照準の簡易砲である。
 初速も遅く、まあ豆鉄砲である。
しかし、ソ連のT26軽戦車の側面の履帯を破壊することはできるのだ。
 正面装甲を狙えば、はじかれて終わりだ。
「なんだ、あれは。」「敵だ。」「馬賊じゃないぞ。」「まさか、日本軍かっ。」
 「日本軍の待ち伏せだ。」「やばいぞ。」「履帯が・・・」
「ラス・プーチン隊長、どうすれば。」
 「いかん、脱出だっ。」「おい、オレを置いてくなよ。」
大騒動のソ連軍だ。 
 そこへ、九五式の砲塔にある7.7ミリ機関銃の機銃掃射だ。
「カン、カン、カン、カン。」と、機銃弾がT26の装甲で撥ねる。
 その、機銃の音で逃げるソ連兵の足が速くなるのだ。

 履帯が砲撃で破壊されなかった10両のT26の背中に、逃げたソ連兵を乗せて・・・
国境の河を渡るソ連軍の10両のT26だった。
 日本軍の思わぬ奇襲で、半分の戦車をやられて逃げ帰ったソ連軍だった。
ちなみに、ソ連兵の戦死者はゼロで、ケガ人は不明だが・・・ソ連軍の捕虜もゼロだ。
 まあ、日本軍が、そうなるように画策したのだが・・・
そして、ソ連軍の戦車に荒らされた吉林とハルピンの街が残ったのである。
 まあ、家畜の糞で出来た小屋だ。 遊牧民は、日干しレンガを造るだけなのだ。
そして、モスクワからの、今回の紛争の発表はなかったのだ。(負けた紛争は闇へ・・・)
 満州国は建国して、承認してる国も少なく(日本、ビルマ、タイ、大韓帝国くらいだ。)
国際的に、話題にもならなかった・・・

 今回の援軍は時間もなかったので、国会の承認は・・・事後承認という形式である。
野党は、文句タラタラだ。
 総理大臣は答弁が2転、3転だ。
とうとう、総理が答弁が・・・「解散だ。」と、欲に紛争解散とまで揶揄された騒動になってしまったのだった。
 しかし、悪夢の民主党政権を選ぶほど、当時の国民もバカではなかったのだ。
また、同じ総理が・・・しかし、満州国への援軍は闇へ葬られたのである。
 なんせ、戦死者がでなかったのだからだ。 そして、日本軍のケガ人も皆無だ。
疫病で2人が内地で入院と・・・満州はシナと同じで不衛生なのである。
 「加藤隊長。」「なんだ。」「やっと、隊長が言った理由がわかりました。」と、軍曹がいう。
「まあ、戦死した馬賊には黙祷だが、開戦になるよりは満州国も納得だろう。」
 「そうですね。」「いま、満州国が開戦したらソ連に負けますからね。」
「そうだな、あまり大きな声ではいえないがな。」
 「それに、日本が全面的に肩入れするほど準備ができてないからな。」
こうして、ソ連軍と日本軍の第1回の紛争は終わったのである。

 
 
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