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来たぞ、ソ連軍だ。
あれが、T26かっ❕
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満州平原は広大だ。 地平線が見えるからだ。
地平線、まず内地では・・・水平線なら・・・海岸から見えるかも・・・
「見張りの配置は。」「四方に配置してあります。」「人員は?」「馬賊に、我が軍が1名ついてます。」
つまり、敵を発見したら馬で急報ということである。
夜間は侵攻は無い。 なぜなら、暗黒の世界だ。 星の光では、まず歩けないのだ。
夜に明かり無しで山歩きするようなものだ。
もちろん、戦車にはヘッドライトがあるが・・・当時はショボかった。
とても、夜間に実用になるライトなぞ・・・足元が・・・すこし明るいくらいである。
敵に発見されるのがオチである。
月明りでもあれば別だが・・・月は、すでに沈んでいた・・・
東京光学の陸軍採用の6倍の双眼鏡で地平線を睨んでいた・・・(双眼鏡は6倍が最高なのだ。)
「なんや、地面が動いてるような。」「いかん、たぶん敵の戦車だ。」
耳を澄ましても、なんも聞こえない。
馬に乗った馬賊へ合図だ。
夜明け前の白んでいる空の明かりで、騎馬で知らせに走る。
しばらくして、隊長がやってきた。
「あれです。」と、方角を示す。
「うむ、戦車だな。」「数が・・・20はありそうだ。」
当方は15両だ。 敵は20だ。
「隊長、敵の戦車は。」「うむ、やってみなければ、わからんな。」と、正直な感想だ。
「敵の戦車の音が。」「あ、あ、草原で音が拡散してしまうからな。」
音が反射する山などが無いから・・・
「よし、爆薬に点火する用意準備だ。」「了解です。」
木の箱に入れた電池を用意する。 まだ、乾電池の規格ができる前だ。
単車のバッテリーくらいかな・・・
「いいか、履帯を破壊するんだ。」「逃げる、ソ連兵はかまうな。」「わかりました。」
爆薬は四か所に仕掛けてある。
「点火したら、すぐに隠した戦車まで走るんだ。」 「隠した場所を忘れるなよ。」
戦車は建物の影などに草木で隠してある。
あわてると、どこに隠したか・・・なんせ、念入りに隠したから・・・
「なかなか、こないですね。」「うむ、我が戦車より遅いか、速度を出してないのかだな。」
ソ連軍にとり、知らない土地だ。 侵攻速度は速くは無いのである。
馬賊が・・・悔しそうに・・・なんせ、全滅した馬賊軍も・・・
戦車、相手だ。 騎馬では、無理というものだ。
「隊長、そろそろキツリン(吉林)の街が見えてくるころあいです。」と、部下が進言する。
「停止しろ。」と、合図だ。
「斥候を出すぞ。」
「イワン軍曹。」「ハイ。」「おまえが見てこい。」「了解であります。」
「二人、部下を付けるからな。」
「街の様子を見てくるだけでいいからな。」と、ソ連軍隊長だ。
侵攻する前に、斥候は当然である。 つまり、敵陣の偵察である。
「戦車は使うなよ。」「音が大きいからな。」
「・・・・・」 仕方なく、歩きで偵察にでるイワン軍曹だ。
弾除けの蒙古兵を二人つけて、偵察へ出るイワン軍曹である。
偵察が戦死では・・・だから弾除けが居るのだ。
蒙古兵と満州馬賊は仲間ではない。 遊牧民であるが・・・違う種族である。
言語も違い、仲間意識は無い。
満州と蒙古では、距離が・・・あるのだ。
「やはり、偵察がきましたよ。」「うむ、やりすごせ。」「ハイ。」
「悟られるなよ。」と、部下に伝える。
そこへ、銃で武装したソ連軍が・・・ノコノコ偵察へ・・・
そろそろ、朝日が昇りだす頃合いだ。
「早くしろ、日が昇る前に知らせるんだ。」と、偵察のソ連軍兵士は・・・
隠れている日本軍や馬賊に気が付かない・・・
まだ、夜明け前の街の雰囲気なのである。
野良犬が・・・遠くで吠えてるようだ。
「犬が居やがるな。」「よし、帰るぞ。」と、弾除けの蒙古兵を連れて帰る・・・イワン軍曹だ。
「隊長、偵察のソ連兵が・・・」「うむ、了解だ。」
「各人は仕掛けた爆薬に点火、戦車で一旦集合だ。」
「無線機の点検を忘れるなよ。」「了解です。」と、小声で言い合い・・・散っていった。
八九式戦車は四人乗りだ。 二人が仕掛けた爆薬の係で、残る二人が戦車で待機である。
その待機の間に無線の点検である。
なんせ、初めて装備された無線電話機だ。
実戦で使うのは初めてだからだ。
無線機の講習は内地で受けた隊員らだが・・・講習と実戦は違うからである。
炭素の粉で造ったマイクを手に取り、耳に炭素の粉で振動するイャフォンを付ける。
戦車隊員用に造られた戦車帽に紐で縛るイャフォンだ。
今の様なハーネスでないから、窮屈なのだ。
「あ、あ、こちら3号車だ。」「聞こえるか。」「あ、あ、こちら2号車だ。」
電話ごっこの戦車隊だ。
そのころ、やっとソ連軍の偵察兵が・・・「おお、イワン軍曹どうだった。」
「ハイ、敵は見つかりませんでした。」「いなかったのか。」
「いえ、街は平穏そのもので、敵が隠れているかもしれないですが。」
つまり、深入りはしなかったのである。
イワン軍曹も、満州で戦死はイヤだったのだ。
あこがれのモスクワ、いつかはモスクワのイワンだった。
たいだい、弾除けの蒙古兵なぞ・・・
言葉も満足に伝わらない兵なぞ、役にはたたない。
「ふむ、敵が居るか、わからんのだな。」「ハイ。」
「ふむ。」と、思案する隊長だ。
しかし、馬賊を殲滅したソ連軍戦車隊だ。
隠れていようが・・・また殲滅するだけだ。
日本軍が隠れていることなぞ・・・想像もできないソ連軍である。
地平線、まず内地では・・・水平線なら・・・海岸から見えるかも・・・
「見張りの配置は。」「四方に配置してあります。」「人員は?」「馬賊に、我が軍が1名ついてます。」
つまり、敵を発見したら馬で急報ということである。
夜間は侵攻は無い。 なぜなら、暗黒の世界だ。 星の光では、まず歩けないのだ。
夜に明かり無しで山歩きするようなものだ。
もちろん、戦車にはヘッドライトがあるが・・・当時はショボかった。
とても、夜間に実用になるライトなぞ・・・足元が・・・すこし明るいくらいである。
敵に発見されるのがオチである。
月明りでもあれば別だが・・・月は、すでに沈んでいた・・・
東京光学の陸軍採用の6倍の双眼鏡で地平線を睨んでいた・・・(双眼鏡は6倍が最高なのだ。)
「なんや、地面が動いてるような。」「いかん、たぶん敵の戦車だ。」
耳を澄ましても、なんも聞こえない。
馬に乗った馬賊へ合図だ。
夜明け前の白んでいる空の明かりで、騎馬で知らせに走る。
しばらくして、隊長がやってきた。
「あれです。」と、方角を示す。
「うむ、戦車だな。」「数が・・・20はありそうだ。」
当方は15両だ。 敵は20だ。
「隊長、敵の戦車は。」「うむ、やってみなければ、わからんな。」と、正直な感想だ。
「敵の戦車の音が。」「あ、あ、草原で音が拡散してしまうからな。」
音が反射する山などが無いから・・・
「よし、爆薬に点火する用意準備だ。」「了解です。」
木の箱に入れた電池を用意する。 まだ、乾電池の規格ができる前だ。
単車のバッテリーくらいかな・・・
「いいか、履帯を破壊するんだ。」「逃げる、ソ連兵はかまうな。」「わかりました。」
爆薬は四か所に仕掛けてある。
「点火したら、すぐに隠した戦車まで走るんだ。」 「隠した場所を忘れるなよ。」
戦車は建物の影などに草木で隠してある。
あわてると、どこに隠したか・・・なんせ、念入りに隠したから・・・
「なかなか、こないですね。」「うむ、我が戦車より遅いか、速度を出してないのかだな。」
ソ連軍にとり、知らない土地だ。 侵攻速度は速くは無いのである。
馬賊が・・・悔しそうに・・・なんせ、全滅した馬賊軍も・・・
戦車、相手だ。 騎馬では、無理というものだ。
「隊長、そろそろキツリン(吉林)の街が見えてくるころあいです。」と、部下が進言する。
「停止しろ。」と、合図だ。
「斥候を出すぞ。」
「イワン軍曹。」「ハイ。」「おまえが見てこい。」「了解であります。」
「二人、部下を付けるからな。」
「街の様子を見てくるだけでいいからな。」と、ソ連軍隊長だ。
侵攻する前に、斥候は当然である。 つまり、敵陣の偵察である。
「戦車は使うなよ。」「音が大きいからな。」
「・・・・・」 仕方なく、歩きで偵察にでるイワン軍曹だ。
弾除けの蒙古兵を二人つけて、偵察へ出るイワン軍曹である。
偵察が戦死では・・・だから弾除けが居るのだ。
蒙古兵と満州馬賊は仲間ではない。 遊牧民であるが・・・違う種族である。
言語も違い、仲間意識は無い。
満州と蒙古では、距離が・・・あるのだ。
「やはり、偵察がきましたよ。」「うむ、やりすごせ。」「ハイ。」
「悟られるなよ。」と、部下に伝える。
そこへ、銃で武装したソ連軍が・・・ノコノコ偵察へ・・・
そろそろ、朝日が昇りだす頃合いだ。
「早くしろ、日が昇る前に知らせるんだ。」と、偵察のソ連軍兵士は・・・
隠れている日本軍や馬賊に気が付かない・・・
まだ、夜明け前の街の雰囲気なのである。
野良犬が・・・遠くで吠えてるようだ。
「犬が居やがるな。」「よし、帰るぞ。」と、弾除けの蒙古兵を連れて帰る・・・イワン軍曹だ。
「隊長、偵察のソ連兵が・・・」「うむ、了解だ。」
「各人は仕掛けた爆薬に点火、戦車で一旦集合だ。」
「無線機の点検を忘れるなよ。」「了解です。」と、小声で言い合い・・・散っていった。
八九式戦車は四人乗りだ。 二人が仕掛けた爆薬の係で、残る二人が戦車で待機である。
その待機の間に無線の点検である。
なんせ、初めて装備された無線電話機だ。
実戦で使うのは初めてだからだ。
無線機の講習は内地で受けた隊員らだが・・・講習と実戦は違うからである。
炭素の粉で造ったマイクを手に取り、耳に炭素の粉で振動するイャフォンを付ける。
戦車隊員用に造られた戦車帽に紐で縛るイャフォンだ。
今の様なハーネスでないから、窮屈なのだ。
「あ、あ、こちら3号車だ。」「聞こえるか。」「あ、あ、こちら2号車だ。」
電話ごっこの戦車隊だ。
そのころ、やっとソ連軍の偵察兵が・・・「おお、イワン軍曹どうだった。」
「ハイ、敵は見つかりませんでした。」「いなかったのか。」
「いえ、街は平穏そのもので、敵が隠れているかもしれないですが。」
つまり、深入りはしなかったのである。
イワン軍曹も、満州で戦死はイヤだったのだ。
あこがれのモスクワ、いつかはモスクワのイワンだった。
たいだい、弾除けの蒙古兵なぞ・・・
言葉も満足に伝わらない兵なぞ、役にはたたない。
「ふむ、敵が居るか、わからんのだな。」「ハイ。」
「ふむ。」と、思案する隊長だ。
しかし、馬賊を殲滅したソ連軍戦車隊だ。
隠れていようが・・・また殲滅するだけだ。
日本軍が隠れていることなぞ・・・想像もできないソ連軍である。
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