日本戦車を改造する。

ゆみすけ

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信頼性こそが、兵器を決めるのだ。

オイルさえ入れれば動く。

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 「しかし、もう少し馬力をあげられないかな。」と、技師のひとりが主任へ、漏らす。
「うむ、それはわからんでもないが、兵器は性能だけではないんだよ。」と、主任だ。
 「故障率が高くては使えないからな。」と、主任だ。
「どうして、我が軍の戦車は空冷デーゼルなのか、ということだ。」と、付け加える主任である。
 「確か、水冷より構造がカンタンで故障がすくないからと。」と、先ほどの技師だ。
「そうだが、まだあるんだよ。」「銃撃で、水冷は穴が開いたら。」「そうですね。」
 「まだ、あるぞ。」「修理がカンタンなんだ。」「なんせ、オイルと軽油さえあれば動かせるからな。」
「最悪、最前線でも修理ができるからなんだ。」 「それも、修理書を戦車兵が読んでだぞ。」「・・・・」
 マジなのか、という顔の技師らである。
「いや、これはマジな話だが。」「え、え。」「ソ連軍と戦車戦の最中なんだが。」「え、え。」
 「急に、エンズトした戦車があったんだ。」「エンズトは戦場では即、死につながるんだ。」「なんせ、動かない標的だかなら。」「え、え。」「それで、車長が操縦者へ聞いたんだ。」「どうしたんだ、なぜ動かないんだ。」
「操縦者は、燃料パイプが切断されたと想像したんだ。」「普通は壊れる騒音がするが、ストンとエンストしたからだ。」「それで、車長が後部ハッチ(砲身の修理で砲身を抜くための、でかいハッチだ。)から、這い出てエンジンの点検口を開けて、修理テープで修理して、エンジンを動かしたんだよ。」「それも、取説を読みながらだよ。」
 「それから、戦車隊員はカンタンな修理の知識を学ぶようになったんだ。」「なるほど。」と、感心した技師らである。
 「エンズトから壊れた原因を判断できるように訓練されるんだ。」「下手すると、お前たちより、知識は豊富かもしれんぞ。」と、脅す主任である。
「長期にわたり動かしてないエンジンは燃料系統が詰まってることが多いんだ。」「まったく、うんとも言わないなら、蓄電池がカラかもしれないし。」「症状から、原因を判断できるように、戦車兵は訓練されるんだよ。」
「おまらも、油断してると、戦車兵に負けるぞ。」「・・・・」
 「では、整備を再開しようか。」「おう。」と、元気な掛け声が・・・・

 「うう、む。」「なにを、悩んでるんだよ。」と、少尉が部下を・・・
「あ、あ、隊長。」「カルテを描いてるんですが、毎回なので・・・」「まあ、そうだな、下っ端の仕事だから、オレも若い時、書かされたよ。」と、なぐさめる少尉だ。
 「でも、このカルテがあるから戦車が故障しないんだぞ。」「へ~っ。」
「各項目は昔とかわらないな。」と、カルテを見る少尉だ。
 「距離と燃料と、あとは点検項目か。」「しかし、このカルテは司令の印まで押してるからな。」
「それで、下手な事は書けないんですよ。」「ふふ、そうだな。」と、ニャリの少尉だ。
 「しかし、カルテを丁寧に細かく書くと、車両課の道も開けるぞ。」「オレは戦場が性に合ってるから、行かなかったが。」
 「はぁ、そこまでは。」と、新米の部下だ。
「それに、部品交換の目安だから、正確な記載をすることだな。」「はぁ。」
 「故障する前に、部品を交換するから、我が軍は故障する戦車がめったにないんだぞ。」
「それに、車両整備のヤツの書く項目より少ないから、まあガマンだな。」と、なぐさめる少尉だった。
 最初の戦車は出撃の途中でエンズトも少なくなかった。 
そして、戦車で曳いて帰るのだ。 つまり、動く戦車が少なくなるのだ。
 よく、銃撃でケガさせればOKだという話と同じだ。
ケガして兵を運ぶには最低2名の兵隊が必要なのだ。 つまり、ケガなら、マイナス3名いうことだ。
 殺したなら、マイナス1名だ。 戦死者は戦闘後の回収で済むからだ。
「故障しない戦車は、なによりも前線が欲する兵器なのさ。」「性能より、稼働率が大切なのさ。」
と、結論ずける少尉である。
 その、いい例が我が国の三式戦闘機だ。 欲に飛燕という川崎航空機の戦闘機だ。
その三式戦闘機は、欠点があったのだ。 
 液冷12気筒エンジンだ。 ドイツのダイムラー液冷エンジンのOEMで川崎重工が作ったんだが・・・
まあ、当時の日本の液冷エンジンは歴史が無いから、整備士泣かせだったんだ。
 オイルは、ダラ漏れだわ、工作精度が悪いから、使い物にはならなかったんだ。
かなり、高々度まで実用になるエンジンなんだが・・・
 それで、飛べない機体が前線基地にゴマンと・・・飛べない戦闘機は鉄クズなのだよ・・・
それで、戦争末期にやっと空冷エンジンを・・・
 すると、いままでの駄々っ子が優等生に・・・五式戦闘機だよ。
あのマスタングとガチで戦える戦闘機になったのだ。 
 おそらく、紫電改にも勝てるだろう。 なんせ、急降下制限が亜音速なのだから・・・
五式戦に急降下でついてこられる米軍機は皆無だったのだ。
 すべての飛行機には急降下時の制限速度があるのだ。
それ以上だすと、空中分解するからだ。
 飛燕や五式戦で、米軍機から急降下で逃げ延びた話は少なくないのだ。
末期の米軍機は雲霞のごとく数が居たからね。
 オレが、もし搭乗するなら、紫電改や震電も悪くないが、迷わずに五式戦を選ぶ。
なぜなら、マスタングをカモれるからだ。
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