日本戦車を改造する。

ゆみすけ

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これが、日本軍の演習だ。

実戦さながら・・・

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 「よし、発進。」と、腕を前に振る。 6輪機動戦闘車は、総輪駆動方式だ。
つまり6輪のタイヤが駆動輪なのである。 それで、一度バックすることなく進みだした。
 やがて、演習場へ入る。 荒れ地を、わざわざ作り、戦場らしさが・・・まるで、戦争映画のセットのようだ。
遥か彼方から敵役のT34が3両・・・だ。 当方は1両である。 
 つまり、6輪機動戦闘車の機動力を見せつける演習なのである。
模擬砲弾は8発搭載している。 T34へ2発当てて、2発は予備である。 
 万が一に不発では・・・つまり、噴煙が出ない場合の予備である。
この模擬弾は通常弾より高額で、派手に噴煙がでるように作ってあるそうな。
 まあ、見物人へ見せるための演習だからである。

 「敵は横1列で侵攻しくるぞ。」と、確認する。 打ち合わせどうりである。
「左へ方向転換だ。」と、指示を出す。 臨時の装甲車隊員は舵を左へ廻す。 同時に、ダブルクラッチでギアを落とす。 旋回はギアを落として廻るののある。 カーブでは、減速するからだ。
 あらかじめ仕掛かけられた地面の火薬がT34の模擬砲弾の噴煙で爆発する。 なかなか調子があっている。
わざわざ、訓練を重ねたらしい。
 荒れ地に草が等間隔で植えられてる。 そこを走り抜けるのである。 それに合わせて、火薬点火係がボタンを押すのだ。 
 まるで、T34の砲撃をかわす6輪機動戦闘車に見えるのだ。
会場がどよめく、火薬の噴煙がすごいからだが・・・これは、火薬の調合がうまいからだ。
 破壊力は無いが、爆発の噴煙はすごいのである。
まあ、演習というより、戦隊モノのヒーローショーであるのだ。
 内地の映画館では、人気らしい。

 T34の砲撃をかわして、左へ舵をきったのだが、そろそろだな・・・
「いまだ、45度転回だ。」と、反転指令を出す。
 その瞬間に風景が180度廻る。 知ってはいるのだが・・・すごい転回である。
その場で180度、機動戦闘車が信地旋回するからだ。
 場内は、どよめきが・・・どよめきが・・・止まらない。
一瞬で反転するからである。 戦車の信地旋回は、ゆっくりとしかできないからである。
 あまり、速く信地旋回すると、履帯が切れるからである。
ところが、タイヤだから、それは無いのだ。
 「まるで、魔法だ。」「なんて、動きだ。」など、感嘆の声がどよめく・・・
「よし、右のT34へ砲撃だ。」と、打ち合わせどうりへ・・・
 そして、砲撃音が響いて、噴煙がでる。 同時に攻撃されたT34が噴煙をあげて停止する。
これが、戦場ならソ連兵が逃げ出すが、さすがにそれは無いようだ。 演技してるのは、ソ連兵ではないからだ。
 やられたフリの噴煙なのである。
そこへ、T34が突撃をかますのだが・・・6輪機動戦闘車がタイヤ走行の強みの素早さでかわすのだ。
 なんせ、悪路でも40キロは出せるからだ。 下手な戦車だと20キロがせいぜいなのである。
それに、悪路の走破性も6輪なら問題はない。
 それに、パンクしない戦闘用タイヤである。 
まあ、チューブが無いだけなんだが・・・ 
 それを、示すためか、連続して地雷を踏む想定があるのだ。
もちろん、本物の対戦車地雷ではない。 
 噴煙が高々とあがる火薬が仕掛けられていて、係員が連続に6輪機動戦闘車の動きにあわせて爆発させるのである。 ここは、職人芸が光るのだ。
 欧州からの招待客(主に大使館員)は、眼が点なのである。
最高に抑止力が効いたようである。
 満州国には、すごい戦闘車両が・・・であるのだ。
もちろん、紛れ込んだシナやソ連のスパイにも効果的に効いたのである。
 
 「よし、最後の仕上げだ。」と、今野少尉だ。 
打ち合わせでは、最後に残ったT34と一騎討ちを繰り広げるのである。
 もう、ここまで演出が凝ってると、気分は映画スターの少尉なのだ。
双方が数回にわたりすれ違うのだが、機動戦闘車は、動きがすばやいのでT34を追い詰めるのである。
 欧州ではT34に散々なめられてるドイツなど、大使が身を乗り出して注視してるのだ。
「いまだ、テーーーッ。」と、砲撃の合図である。 
 そして、敵役のT34の後部から噴煙が出る。 
「以上で、6輪機動戦闘車の演習は終了いたしました。」と、英語で場内放送である。
 来賓の大使館員らが拍手である。
停止して噴煙をあげたいたT34が動き出して、退場していく。 当方も、退場がてら、数回の反転を・・・
 まあ、わざわざ見せたのだが・・・
 「少尉、ありがとうございました。」「大変好評だったようですよ。」と、賛辞の嵐が・・・
「いえ、いえ、この戦闘車のおかげですよ。」と、日本人らしさをアピールだ。
 まさに、日本軍の兵器が国際的に注目をあびるのは最初ではないかな・・・そんな感じであるのだ。

 

 
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