日本戦車を改造する。

真似できるものなら、どうぞ・・・

ロクリンショック。

　「で、完成度は？」と、試作１号機へ・・・ハッチを開ける。　ハッチは、攻撃型と同型だ。
「なるべく部品の共通化を図って、製造費を押さえました。」と、主任がいう。
　「なるほど。」と、砲塔の内部は攻撃型と変わんないからだ。　
「違うのは、車台が車輪か履帯かのみですから。」と、主任がいう。
　「操縦操作は？」と、聞いて座席を見る。
「装甲車と同じですよ。」と、主任だ。
　でかいハンドルだ。　そして、クラッチとブレーキとアクセルが・・・
「まるで、計器も同じだな。」と、オレが・・・
　「え、え、装甲車の乗員が訓練なしで、使えますよ。」と、主任だ。
「そのようだな。」と、納得する少尉だ。　
　なぜなら、対シナで装甲車部隊との連携作戦が懐かしい話なのである。
そこへ、操縦士と砲手と装填手が・・・
　「少尉殿、よろしくお願いします。」と、挨拶だ。
「おう、こちらこそ頼むぞ。」と、返す。
　見たところ、装甲車部隊の連中のようだった。
「そうだ、その辺を一周してみるか。」と、提案する少尉だ。　ちょうど、員数もそろってるからだ。
　各員が乗り込んだ。　
「おや、意外にエンジン音が・・・」と、騒音が少ないことに気が付く。
　戦車と違い、トラック的な感じである。
同じ、統制エンジンだが、車台で違いがあるのだろうか・・・

　「準備できました。」「いつでも、行けますよ。」と、臨時の部下が・・・
「発進。」と、腕を前に振る。　
　６輪機動戦闘車は、グググッと動き出した。
戦車のように、一度後ろへ下がってから動き出すことは無い。
　どちらかと、いうとトラック的な動きだ。　装甲車とも違うのだ。
主任へ聞いたら、「それは、装甲車が総輪駆動ではないからですよ。」「それに、陸軍の輸送トラックは総輪駆動ですから。」と、つまり４ＷＤということだ。
　「装甲車は総輪駆動じゃないのか？」と、少尉が聞いた。
「え、え、装甲車は６輪ですが、後ろの４輪を駆動してるのです。」「前の舵切り車輪を駆動してはいませんよ。」
　「知らなかった。」と、少尉だ。
「まあ、装甲車はシナ軍には十分有効ですからね。」「ソ連軍には装甲車では、とても、とても。」と、主任がいう。　
　Ｔ３４が相手では、装甲車では全滅だろう。
シナ軍は、前時代的な軍隊だった。　武器が青龍刀から歩兵銃へ替わっただけだ。
　それに、銃も輸入品ばかりだ。　近代的工業が無いからだ。
もちろん、自前でどうにかしようと思わないからだ。　腐敗した堕落政権の軍閥ばかりだ。
　そして、約束は破るし、国際法は通用しないし・・・・
マジで、関わりたくないと思う少尉だ。
　
　「おお、これは・・・」と、行けそうな気がする少尉だ。
「それで、砲弾は。」「ここに、模擬弾が。」「あ、あ、噴煙がでるだけのヤツだな。」「え、え。」
　そこで、４人で戦闘車へ数発積み込んだ。　以外に重かったのだ。
つまり、実弾は、もっと重いのだ。
　「演習がはじまるのが、そうですね・・・」と、腕時計を見る主任だ。
「あと、３０分ほどですから、なんとかなりそうですよ。」と、一息つく。
　まあ、３０分なぞ、あっという間だ。
「これより、６輪機動戦闘車による演習が・・・」と、場内放送だ。
　来賓席や見学席は観衆で一杯だ。
いままで、演習は何度もやってきた少尉だが、これほど多い観客は初めての経験だ。
　はっきり言って、震えが止まらないのである。　そう、間違えたら非難の嵐だろう・・・
少尉は俳優でも役者でもない、単なる下士官なのである。
　しかしだ、この演習が成功すれば、６輪機動戦闘車が軍へ採用は間違いない。
なら、近い内に、少尉が派遣軍で６輪機動戦闘車を・・・
　
　「よし。」と、腹がきまった少尉だ。　震えが止まった。
砲塔へ乗り込んだ。　顔が、変わる。　そう、戦車隊の小隊長の顔だ。
　「よし、発進。」と、腕が振られた。　はるか彼方からは、鹵獲したＴ３４が敵役として・・・・