日本戦車を改造する。

ゆみすけ

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今年、2回目の侵攻だーーーっ。

またまた、露スケが・・・懲りないヤツらだ。

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 「司令、急報です。」「ん、またか。」と、慣れた本郷司令官だ。 これで、今年になり2回目だからだ。
「偵察隊は、どういってるんだ。」と、微動だにしない。
 「え、え、と、10両のT34だそうです。」「なんだと、全車がT34か。」「え、え、まあ、そうらしいです。」「ヤツらも本腰を入れたかな。」 以前の、今年度の侵攻1回目は3両がT34だったのだ。 
 「これは、下手すると戦闘機もツポレフだな。」と、司令が想像する。 「まさか・・・」の、顔の通信員だ。
「とにかく、空の見張りを怠るなといっておけ。」「ハイ。」と、敬礼して下がる通信員だ。
 
 「全員、傾注。」「諸君、敵はT34が10両だ。」 隊員らがざわつく・・・「傾注だぞ。」「・・・」
「つまり、敵も本腰を入れてきたということだ。」「つまり、新型戦闘機もでてくるだろう。」
 「よって、対空戦車2両をくわえる。」「偵察隊が敵へ張り付いてるから、追って連絡があるだろうが。」
「では、出撃準備だ。」と、今野少尉が指示して各員が乗車する。
 ・・・・「隊長。」「ん、用意できたか。」「全車、完了しました。」と、通信員だ。
「発進だ。」と、腕を前へ振る。 
 満州国派遣陸軍戦車隊の旗と日本陸軍の旗を掲げて、対空戦車2両と、10両の攻撃型戦車が進む。
対空戦車は最後尾である。 
 「隊長?」「なんだ。」「敵戦闘機は出てきますかね。」「でてくるだろう。」「97式は・・」「まあ、敵しだいだろう。」「敵のツポレフは、欧州では空飛ぶ戦車とのあだ名が。」「らしいな。」「まあ、オレたち戦車隊は全力を尽くすだけだ。」と、ソ連軍が攻めてくる方向を睨んだ。

 数は戦力だが、数が多い方が有利だが、勝利は確実ではない。 そこへ、作戦が、兵の練度が、そして勝利の運が付きまとうのだ。 
 兵の1対1の戦いでは、熊のソ連軍とは・・・だが、戦いは個人でやるわけではない。
全員の総合力が優劣を決めるのだ。  どんな、優秀な兵であっても、一人では・・・なのである。
 平均的に、全員が読み書きソロバンができる日本軍だ。 そこが、日本軍の強みであるのだ。

 「偵察隊より、攻撃隊。」「こちら、攻撃隊だ。」「敵はB地点へ進行している。」「攻撃隊、了解。」 これは、乱数表で解読したモノである。 もちろん、敵はB地点というところが乱数になってるのだ。
 暗号は最低限で、内容は簡素にである。 来た、見た、勝ったのローマ軍のカエサルではないが、連絡は簡潔にである。
 「敵は、同じようなコースで侵攻してきたな。」と、地形的に侵攻コースは決まってくるからだ。
戦車は、どこでも侵攻できるわけではない。 荒れ地だと、速度が落ちるし、岩山は登れない。 
 河も、深ければ渡河は無理である。 (まだ、戦車の防水は完全ではない時代である。) 

 「101から今野隊。」「今野隊、どうぞ。」 おお、飛行隊から通信だ。
「敵と会敵したら、連絡を。」と、である。 これは、敵と会敵したら航空隊が発進するということである。
 戦闘機は滞空時間が決まっている。 それも、空戦となると、時間が30分が限界だ。
つまり、燃料の消費が空戦では、べらぼうだからだ。 普通なら、3時間とべるが、空戦でと30分で燃料がカラである。 
 戦車は、トラックのタンクから補給できるが、戦闘機は飛行場まで戻って、降りて燃料を給油しなければならない。 
 それで、発進する時間が大切なのである。
敵は、だから戦車が最初に侵攻してくるのである。 
 戦車隊が会敵して、実際に砲撃の戦いまでは、時間がかかるのだ。 まず、互いに間合いを取る時間だ。
そして、敵へ照準する時間だ。 そして、撃ちあいである。 
 現在の戦車のようにパソコンが狙いを定めるのではないのだ。
すべてに、ヒトの腕と技が及ぶのだ。 だから、訓練が大切なのだが・・・
 正確に狙うには停止せねばならない。 そして、互いに狙う時間の短い方が勝利できるのである。
もちろん、初弾を外さないことである。 
 日本軍の富士山戦車教導隊の校訓に、初弾必中とあるくらいである。
互いに停止しての撃ちあいで、初弾を外せば、負けなのだ。
 当てるぞ、と緊張しては命中しないのだ。 根性では、命中は無い。
無心が大切なのである。 欲を捨てて、無の境地でないと、初弾は当たらないのである。
 もちろん、敵より先に撃たなくてはならない。 敵が初弾を外す保証はないからだ。
そして、戦車隊にはジンクスが・・・初弾が当たれば勝つ、という。
 敵の戦意をそぐには、初弾命中が効くのだ。
もちろん、誰が初弾を撃つのか決まってはいないのだ。  
 あせって撃つと外しかねない。 そこは、砲手の暗雲の呼吸があるのである。
 
 「そろそろ、見えるころだな。」と、今野少尉が双眼鏡を覗く。
そのころ、ルイチェンコ中尉も・・・
「いたぞ、日本軍だ。」と、叫ぶルイチェンコ中尉だ。 
 そして、「来たぞ、ソ連軍だ。」と、今野少尉である。
「よし、まだ戦闘機は偵察隊から連絡が無いな。」「え、え、まだです。」「うむ、では航空隊へは、その旨連絡しろ。」「はい。」「では、対空戦車は待機だ。」「攻撃戦車はオレに続け。」「A班は右だ。」「B班を左から廻り込め。」と、左右で挟み込む作戦である。
 
 「ん、ヤツら左右から挟み込むな。」ルイチェンコ中尉が気づいた。 即応の判断が・・・すこし、間が開く。
「・・・・」 この時間が魔の時間と・・・なってしまったのである。 
 平素から、敵の動きへの対処法を考えていた今野少尉との、わずかな差が、おおきな差となってしまったのだ。
「え、え、い、ここは、2列隊形で、左右の日本軍へ当たれ。」と、指示がやっとでた。
 まあ、定番の指示であるが、遅れは時間がすぎるほど大きくなるのだ。
今年度の、第2回目の国境紛争の幕が切って降ろされたのである。

 
 
 

 
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