178 / 393
今年、2回目の侵攻だーーーっ。
またまた、露スケが・・・懲りないヤツらだ。
しおりを挟む
「司令、急報です。」「ん、またか。」と、慣れた本郷司令官だ。 これで、今年になり2回目だからだ。
「偵察隊は、どういってるんだ。」と、微動だにしない。
「え、え、と、10両のT34だそうです。」「なんだと、全車がT34か。」「え、え、まあ、そうらしいです。」「ヤツらも本腰を入れたかな。」 以前の、今年度の侵攻1回目は3両がT34だったのだ。
「これは、下手すると戦闘機もツポレフだな。」と、司令が想像する。 「まさか・・・」の、顔の通信員だ。
「とにかく、空の見張りを怠るなといっておけ。」「ハイ。」と、敬礼して下がる通信員だ。
「全員、傾注。」「諸君、敵はT34が10両だ。」 隊員らがざわつく・・・「傾注だぞ。」「・・・」
「つまり、敵も本腰を入れてきたということだ。」「つまり、新型戦闘機もでてくるだろう。」
「よって、対空戦車2両をくわえる。」「偵察隊が敵へ張り付いてるから、追って連絡があるだろうが。」
「では、出撃準備だ。」と、今野少尉が指示して各員が乗車する。
・・・・「隊長。」「ん、用意できたか。」「全車、完了しました。」と、通信員だ。
「発進だ。」と、腕を前へ振る。
満州国派遣陸軍戦車隊の旗と日本陸軍の旗を掲げて、対空戦車2両と、10両の攻撃型戦車が進む。
対空戦車は最後尾である。
「隊長?」「なんだ。」「敵戦闘機は出てきますかね。」「でてくるだろう。」「97式は・・」「まあ、敵しだいだろう。」「敵のツポレフは、欧州では空飛ぶ戦車とのあだ名が。」「らしいな。」「まあ、オレたち戦車隊は全力を尽くすだけだ。」と、ソ連軍が攻めてくる方向を睨んだ。
数は戦力だが、数が多い方が有利だが、勝利は確実ではない。 そこへ、作戦が、兵の練度が、そして勝利の運が付きまとうのだ。
兵の1対1の戦いでは、熊のソ連軍とは・・・だが、戦いは個人でやるわけではない。
全員の総合力が優劣を決めるのだ。 どんな、優秀な兵であっても、一人では・・・なのである。
平均的に、全員が読み書きソロバンができる日本軍だ。 そこが、日本軍の強みであるのだ。
「偵察隊より、攻撃隊。」「こちら、攻撃隊だ。」「敵はB地点へ進行している。」「攻撃隊、了解。」 これは、乱数表で解読したモノである。 もちろん、敵はB地点というところが乱数になってるのだ。
暗号は最低限で、内容は簡素にである。 来た、見た、勝ったのローマ軍のカエサルではないが、連絡は簡潔にである。
「敵は、同じようなコースで侵攻してきたな。」と、地形的に侵攻コースは決まってくるからだ。
戦車は、どこでも侵攻できるわけではない。 荒れ地だと、速度が落ちるし、岩山は登れない。
河も、深ければ渡河は無理である。 (まだ、戦車の防水は完全ではない時代である。)
「101から今野隊。」「今野隊、どうぞ。」 おお、飛行隊から通信だ。
「敵と会敵したら、連絡を。」と、である。 これは、敵と会敵したら航空隊が発進するということである。
戦闘機は滞空時間が決まっている。 それも、空戦となると、時間が30分が限界だ。
つまり、燃料の消費が空戦では、べらぼうだからだ。 普通なら、3時間とべるが、空戦でと30分で燃料がカラである。
戦車は、トラックのタンクから補給できるが、戦闘機は飛行場まで戻って、降りて燃料を給油しなければならない。
それで、発進する時間が大切なのである。
敵は、だから戦車が最初に侵攻してくるのである。
戦車隊が会敵して、実際に砲撃の戦いまでは、時間がかかるのだ。 まず、互いに間合いを取る時間だ。
そして、敵へ照準する時間だ。 そして、撃ちあいである。
現在の戦車のようにパソコンが狙いを定めるのではないのだ。
すべてに、ヒトの腕と技が及ぶのだ。 だから、訓練が大切なのだが・・・
正確に狙うには停止せねばならない。 そして、互いに狙う時間の短い方が勝利できるのである。
もちろん、初弾を外さないことである。
日本軍の富士山戦車教導隊の校訓に、初弾必中とあるくらいである。
互いに停止しての撃ちあいで、初弾を外せば、負けなのだ。
当てるぞ、と緊張しては命中しないのだ。 根性では、命中は無い。
無心が大切なのである。 欲を捨てて、無の境地でないと、初弾は当たらないのである。
もちろん、敵より先に撃たなくてはならない。 敵が初弾を外す保証はないからだ。
そして、戦車隊にはジンクスが・・・初弾が当たれば勝つ、という。
敵の戦意をそぐには、初弾命中が効くのだ。
もちろん、誰が初弾を撃つのか決まってはいないのだ。
あせって撃つと外しかねない。 そこは、砲手の暗雲の呼吸があるのである。
「そろそろ、見えるころだな。」と、今野少尉が双眼鏡を覗く。
そのころ、ルイチェンコ中尉も・・・
「いたぞ、日本軍だ。」と、叫ぶルイチェンコ中尉だ。
そして、「来たぞ、ソ連軍だ。」と、今野少尉である。
「よし、まだ戦闘機は偵察隊から連絡が無いな。」「え、え、まだです。」「うむ、では航空隊へは、その旨連絡しろ。」「はい。」「では、対空戦車は待機だ。」「攻撃戦車はオレに続け。」「A班は右だ。」「B班を左から廻り込め。」と、左右で挟み込む作戦である。
「ん、ヤツら左右から挟み込むな。」ルイチェンコ中尉が気づいた。 即応の判断が・・・すこし、間が開く。
「・・・・」 この時間が魔の時間と・・・なってしまったのである。
平素から、敵の動きへの対処法を考えていた今野少尉との、わずかな差が、おおきな差となってしまったのだ。
「え、え、い、ここは、2列隊形で、左右の日本軍へ当たれ。」と、指示がやっとでた。
まあ、定番の指示であるが、遅れは時間がすぎるほど大きくなるのだ。
今年度の、第2回目の国境紛争の幕が切って降ろされたのである。
「偵察隊は、どういってるんだ。」と、微動だにしない。
「え、え、と、10両のT34だそうです。」「なんだと、全車がT34か。」「え、え、まあ、そうらしいです。」「ヤツらも本腰を入れたかな。」 以前の、今年度の侵攻1回目は3両がT34だったのだ。
「これは、下手すると戦闘機もツポレフだな。」と、司令が想像する。 「まさか・・・」の、顔の通信員だ。
「とにかく、空の見張りを怠るなといっておけ。」「ハイ。」と、敬礼して下がる通信員だ。
「全員、傾注。」「諸君、敵はT34が10両だ。」 隊員らがざわつく・・・「傾注だぞ。」「・・・」
「つまり、敵も本腰を入れてきたということだ。」「つまり、新型戦闘機もでてくるだろう。」
「よって、対空戦車2両をくわえる。」「偵察隊が敵へ張り付いてるから、追って連絡があるだろうが。」
「では、出撃準備だ。」と、今野少尉が指示して各員が乗車する。
・・・・「隊長。」「ん、用意できたか。」「全車、完了しました。」と、通信員だ。
「発進だ。」と、腕を前へ振る。
満州国派遣陸軍戦車隊の旗と日本陸軍の旗を掲げて、対空戦車2両と、10両の攻撃型戦車が進む。
対空戦車は最後尾である。
「隊長?」「なんだ。」「敵戦闘機は出てきますかね。」「でてくるだろう。」「97式は・・」「まあ、敵しだいだろう。」「敵のツポレフは、欧州では空飛ぶ戦車とのあだ名が。」「らしいな。」「まあ、オレたち戦車隊は全力を尽くすだけだ。」と、ソ連軍が攻めてくる方向を睨んだ。
数は戦力だが、数が多い方が有利だが、勝利は確実ではない。 そこへ、作戦が、兵の練度が、そして勝利の運が付きまとうのだ。
兵の1対1の戦いでは、熊のソ連軍とは・・・だが、戦いは個人でやるわけではない。
全員の総合力が優劣を決めるのだ。 どんな、優秀な兵であっても、一人では・・・なのである。
平均的に、全員が読み書きソロバンができる日本軍だ。 そこが、日本軍の強みであるのだ。
「偵察隊より、攻撃隊。」「こちら、攻撃隊だ。」「敵はB地点へ進行している。」「攻撃隊、了解。」 これは、乱数表で解読したモノである。 もちろん、敵はB地点というところが乱数になってるのだ。
暗号は最低限で、内容は簡素にである。 来た、見た、勝ったのローマ軍のカエサルではないが、連絡は簡潔にである。
「敵は、同じようなコースで侵攻してきたな。」と、地形的に侵攻コースは決まってくるからだ。
戦車は、どこでも侵攻できるわけではない。 荒れ地だと、速度が落ちるし、岩山は登れない。
河も、深ければ渡河は無理である。 (まだ、戦車の防水は完全ではない時代である。)
「101から今野隊。」「今野隊、どうぞ。」 おお、飛行隊から通信だ。
「敵と会敵したら、連絡を。」と、である。 これは、敵と会敵したら航空隊が発進するということである。
戦闘機は滞空時間が決まっている。 それも、空戦となると、時間が30分が限界だ。
つまり、燃料の消費が空戦では、べらぼうだからだ。 普通なら、3時間とべるが、空戦でと30分で燃料がカラである。
戦車は、トラックのタンクから補給できるが、戦闘機は飛行場まで戻って、降りて燃料を給油しなければならない。
それで、発進する時間が大切なのである。
敵は、だから戦車が最初に侵攻してくるのである。
戦車隊が会敵して、実際に砲撃の戦いまでは、時間がかかるのだ。 まず、互いに間合いを取る時間だ。
そして、敵へ照準する時間だ。 そして、撃ちあいである。
現在の戦車のようにパソコンが狙いを定めるのではないのだ。
すべてに、ヒトの腕と技が及ぶのだ。 だから、訓練が大切なのだが・・・
正確に狙うには停止せねばならない。 そして、互いに狙う時間の短い方が勝利できるのである。
もちろん、初弾を外さないことである。
日本軍の富士山戦車教導隊の校訓に、初弾必中とあるくらいである。
互いに停止しての撃ちあいで、初弾を外せば、負けなのだ。
当てるぞ、と緊張しては命中しないのだ。 根性では、命中は無い。
無心が大切なのである。 欲を捨てて、無の境地でないと、初弾は当たらないのである。
もちろん、敵より先に撃たなくてはならない。 敵が初弾を外す保証はないからだ。
そして、戦車隊にはジンクスが・・・初弾が当たれば勝つ、という。
敵の戦意をそぐには、初弾命中が効くのだ。
もちろん、誰が初弾を撃つのか決まってはいないのだ。
あせって撃つと外しかねない。 そこは、砲手の暗雲の呼吸があるのである。
「そろそろ、見えるころだな。」と、今野少尉が双眼鏡を覗く。
そのころ、ルイチェンコ中尉も・・・
「いたぞ、日本軍だ。」と、叫ぶルイチェンコ中尉だ。
そして、「来たぞ、ソ連軍だ。」と、今野少尉である。
「よし、まだ戦闘機は偵察隊から連絡が無いな。」「え、え、まだです。」「うむ、では航空隊へは、その旨連絡しろ。」「はい。」「では、対空戦車は待機だ。」「攻撃戦車はオレに続け。」「A班は右だ。」「B班を左から廻り込め。」と、左右で挟み込む作戦である。
「ん、ヤツら左右から挟み込むな。」ルイチェンコ中尉が気づいた。 即応の判断が・・・すこし、間が開く。
「・・・・」 この時間が魔の時間と・・・なってしまったのである。
平素から、敵の動きへの対処法を考えていた今野少尉との、わずかな差が、おおきな差となってしまったのだ。
「え、え、い、ここは、2列隊形で、左右の日本軍へ当たれ。」と、指示がやっとでた。
まあ、定番の指示であるが、遅れは時間がすぎるほど大きくなるのだ。
今年度の、第2回目の国境紛争の幕が切って降ろされたのである。
1
お気に入りに追加
98
あなたにおすすめの小説
大東亜戦争を有利に
ゆみすけ
歴史・時代
日本は大東亜戦争に負けた、完敗であった。 そこから架空戦記なるものが増殖する。 しかしおもしろくない、つまらない。 であるから自分なりに無双日本軍を架空戦記に参戦させました。 主観満載のラノベ戦記ですから、ご感弁を
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

四代目 豊臣秀勝
克全
歴史・時代
アルファポリス第5回歴史時代小説大賞参加作です。
読者賞を狙っていますので、アルファポリスで投票とお気に入り登録してくださると助かります。
史実で三木城合戦前後で夭折した木下与一郎が生き延びた。
秀吉の最年長の甥であり、秀長の嫡男・与一郎が生き延びた豊臣家が辿る歴史はどう言うモノになるのか。
小牧長久手で秀吉は勝てるのか?
朝日姫は徳川家康の嫁ぐのか?
朝鮮征伐は行われるのか?
秀頼は生まれるのか。
秀次が後継者に指名され切腹させられるのか?
旧式戦艦はつせ
古井論理
歴史・時代
真珠湾攻撃を行う前に機動艦隊が発見されてしまい、結果的に太平洋戦争を回避した日本であったが軍備は軍縮条約によって制限され、日本国に国名を変更し民主政治を取り入れたあとも締め付けが厳しい日々が続いている世界。東南アジアの元列強植民地が独立した大国・マカスネシア連邦と同盟を結んだ日本だが、果たして復権の日は来るのであろうか。ロマンと知略のIF戦記。


ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる