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量産型の試験飛行。
1門の機銃も悪くないかも・・・
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ここは、お国の何百里、離れて遠い満州の~飛行場である。
そう、内地から遠い飛行場であるのだ。 奉天飛行場という名前だ。(まんま、だな。)
やっと量産型が組み立てられて、試験飛行である。 つまり、飛ぶか1機1機試すのだ。
でないと、ソ連軍だーっ、飛ぶぞ・・・いかん、組み立て不良だ。 で、墜落はイヤだからである。
試験飛行は陸軍を退官した空中勤務員の林大尉である。 大尉は退官時の階級だ。
つまり、予備役というヤツだ。 開戦になれば、部隊へ復帰という予備の軍人である。
自衛隊と同じだ。 自衛隊も退官した隊員が予備役となっている。
「いつでも、どうぞ。」と、管制塔から無線だ。 なんせ、満州国で空(うえ)を現在飛行している機は無いからだ。
「では、発進する。」と、スロットを上げる。
スルスルと、機体が動ごきだした。 タキシングも良好である。
「うむ、操縦性は悪くないな。」 まだ、飛んでないから・・・・
「では、行くぞ。」と、フル・スロットルである。 (操縦席の左にある、スロットルレバーを全開だ。)
「ブ~~~ン。」と、双発の爆音をあげて難なく地面を蹴る。
双発機は左右のペラが反対方向へ廻るのだ。 それで、モーメントを打ち消してるのだ。
つまり、回転する力が、まっすく進むのを妨げるのだが、それを互いに反対へ廻して相殺してるのだ。
「ほう、なんなく上がったな。」と、試験官が・・・
「ここで、墜落してもらっては、いかんですからね。」と、同期の技官が駄弁る。
飛行機は離陸時に事故率が多いのである。 まず、すんなり離陸するかが、大切なのだ。
「武器の運用は?」「うむ、いちおう実弾で地上の標的を攻撃するんだが・・・」
「はたして、機銃員は空から撃つのが初回だからな。」と、心配する。
つまり、斜め下機関砲が1門の量産型キー101の初めての試験飛行というわけなのだ。
もちろん、標的は地面に描いた✖印である。 なぜかって・・・予算の都合である。
そう、軍は、まして派遣軍である。 無い袖は振れない。
「きたぞ。」と、試験官が上を見上げる。
キー101は双発の爆音を響かせながら、地上攻撃コースへ乗る。
飛行機というものは、飛ぶコースをあらかじめ想像して操縦士がコースを取るのだ。
空飛ぶ円盤まがいの、自由な飛行はできなのだ。
地上攻撃する低空飛行である。 狙うためには速度が遅くなるのだ。
それで、フラップを下げて揚力を増す。
飛行場の滑走路外の空き地へ描かれた標的へ・・・
「ドン、ドン、ドン。」と、低い射撃音が数回、響いた。 腹の底へ染みわたる低音である。
なかなか、耳障りの無い砲撃音である。
そして、急上昇や急旋回などの試験を・・・「あっ、インマルマン・ターンだぞ。」と、同期の技官が叫んだ。
インマルマン・ターンとは欧州の撃墜王が考案した技である。
なかなか出来るヤツはいないのだ。 だから、技の名前があるのだ。
ドイツの撃墜王のマックス・インマルマンが考案したらしい。
それで、インマルマン・ターンというのだ。
敵に会敵したとき、宙返りして、180度ロールで機体を戻す。 これが、速度が乗ってないとできないのだ。
そう、技が無いとできない。 人馬一体でないと、できない技でもあるのだ。
会敵して、すばやく宙返りして180度ロールで機体を戻す。
つまり、敵の背後を突けるのだ。
まずは、旋回性能が良い戦闘機でないと・・・・
やがて、一連の試験を終えたキー101量産型は滑走路からエプロンへタキシングして試験官らの側へ付ける。
ハッチが、パカリと開く。 整備隊員らがタラップを機体の横へ・・・
そして、エンジンが停止する。 早々に整備隊員らが機体の点検を始める。
エンジンからのオイル漏れや機関砲の射線の狂いがあるか、云々などだ。
「いやぁ、これは、機関砲が1門の方が正解かもしれませんよ。」と、林大尉が開口一番だ。
「そうだな、印のど真ん中に命中だからな。」と、✖印の紙を検分する技官だ。
「え、え、双発でエンジンのモーメントがブレないから、狙えるんですよ。」と、機銃員が付け加える。
機銃員は・・・なんと、今野少尉だ。 林大尉は先輩である。 それで、後背のよしみでごり押しして機銃員として乗り込んだらしい。
試験飛行の操縦士以外は、いがいと無理がきくのだ。
「しかし、いきなり40ミリ機関砲で外れが無いとは・・」と、感心する具間らである。
「いや、いや、1門で、三点バーストは最高に安定して射撃ができたぞ。」「これなら、君らでも命中でるぞ。」と、技官らの進言する今野少尉だ。
つまり、素人でも命中射撃ができるというのだ。
「なぜなら、射撃ボタンを照準器どうりに撃てばあたるんだ。」「そこに、射撃のショックはないし、エンジン音がするから、いきなりの射撃音で射線が狂うことも無いからな。」と、付け加える。
つまり、ゲームのボタンと同じなのである。 それも、連射をしなくてもである。
すこし、戦闘に慣れたヤツならできるのだ。 それで、戦車隊の今野少尉が試してみたのである。
「これなら、機銃員というより、マジの航法や偵察員でも・・・」と、つまり安定した双発機の飛行がなせる技である。
「双発戦闘機が、意外に満州ではいけるかも・・・」と、夢は膨らむのである。
そう、内地から遠い飛行場であるのだ。 奉天飛行場という名前だ。(まんま、だな。)
やっと量産型が組み立てられて、試験飛行である。 つまり、飛ぶか1機1機試すのだ。
でないと、ソ連軍だーっ、飛ぶぞ・・・いかん、組み立て不良だ。 で、墜落はイヤだからである。
試験飛行は陸軍を退官した空中勤務員の林大尉である。 大尉は退官時の階級だ。
つまり、予備役というヤツだ。 開戦になれば、部隊へ復帰という予備の軍人である。
自衛隊と同じだ。 自衛隊も退官した隊員が予備役となっている。
「いつでも、どうぞ。」と、管制塔から無線だ。 なんせ、満州国で空(うえ)を現在飛行している機は無いからだ。
「では、発進する。」と、スロットを上げる。
スルスルと、機体が動ごきだした。 タキシングも良好である。
「うむ、操縦性は悪くないな。」 まだ、飛んでないから・・・・
「では、行くぞ。」と、フル・スロットルである。 (操縦席の左にある、スロットルレバーを全開だ。)
「ブ~~~ン。」と、双発の爆音をあげて難なく地面を蹴る。
双発機は左右のペラが反対方向へ廻るのだ。 それで、モーメントを打ち消してるのだ。
つまり、回転する力が、まっすく進むのを妨げるのだが、それを互いに反対へ廻して相殺してるのだ。
「ほう、なんなく上がったな。」と、試験官が・・・
「ここで、墜落してもらっては、いかんですからね。」と、同期の技官が駄弁る。
飛行機は離陸時に事故率が多いのである。 まず、すんなり離陸するかが、大切なのだ。
「武器の運用は?」「うむ、いちおう実弾で地上の標的を攻撃するんだが・・・」
「はたして、機銃員は空から撃つのが初回だからな。」と、心配する。
つまり、斜め下機関砲が1門の量産型キー101の初めての試験飛行というわけなのだ。
もちろん、標的は地面に描いた✖印である。 なぜかって・・・予算の都合である。
そう、軍は、まして派遣軍である。 無い袖は振れない。
「きたぞ。」と、試験官が上を見上げる。
キー101は双発の爆音を響かせながら、地上攻撃コースへ乗る。
飛行機というものは、飛ぶコースをあらかじめ想像して操縦士がコースを取るのだ。
空飛ぶ円盤まがいの、自由な飛行はできなのだ。
地上攻撃する低空飛行である。 狙うためには速度が遅くなるのだ。
それで、フラップを下げて揚力を増す。
飛行場の滑走路外の空き地へ描かれた標的へ・・・
「ドン、ドン、ドン。」と、低い射撃音が数回、響いた。 腹の底へ染みわたる低音である。
なかなか、耳障りの無い砲撃音である。
そして、急上昇や急旋回などの試験を・・・「あっ、インマルマン・ターンだぞ。」と、同期の技官が叫んだ。
インマルマン・ターンとは欧州の撃墜王が考案した技である。
なかなか出来るヤツはいないのだ。 だから、技の名前があるのだ。
ドイツの撃墜王のマックス・インマルマンが考案したらしい。
それで、インマルマン・ターンというのだ。
敵に会敵したとき、宙返りして、180度ロールで機体を戻す。 これが、速度が乗ってないとできないのだ。
そう、技が無いとできない。 人馬一体でないと、できない技でもあるのだ。
会敵して、すばやく宙返りして180度ロールで機体を戻す。
つまり、敵の背後を突けるのだ。
まずは、旋回性能が良い戦闘機でないと・・・・
やがて、一連の試験を終えたキー101量産型は滑走路からエプロンへタキシングして試験官らの側へ付ける。
ハッチが、パカリと開く。 整備隊員らがタラップを機体の横へ・・・
そして、エンジンが停止する。 早々に整備隊員らが機体の点検を始める。
エンジンからのオイル漏れや機関砲の射線の狂いがあるか、云々などだ。
「いやぁ、これは、機関砲が1門の方が正解かもしれませんよ。」と、林大尉が開口一番だ。
「そうだな、印のど真ん中に命中だからな。」と、✖印の紙を検分する技官だ。
「え、え、双発でエンジンのモーメントがブレないから、狙えるんですよ。」と、機銃員が付け加える。
機銃員は・・・なんと、今野少尉だ。 林大尉は先輩である。 それで、後背のよしみでごり押しして機銃員として乗り込んだらしい。
試験飛行の操縦士以外は、いがいと無理がきくのだ。
「しかし、いきなり40ミリ機関砲で外れが無いとは・・」と、感心する具間らである。
「いや、いや、1門で、三点バーストは最高に安定して射撃ができたぞ。」「これなら、君らでも命中でるぞ。」と、技官らの進言する今野少尉だ。
つまり、素人でも命中射撃ができるというのだ。
「なぜなら、射撃ボタンを照準器どうりに撃てばあたるんだ。」「そこに、射撃のショックはないし、エンジン音がするから、いきなりの射撃音で射線が狂うことも無いからな。」と、付け加える。
つまり、ゲームのボタンと同じなのである。 それも、連射をしなくてもである。
すこし、戦闘に慣れたヤツならできるのだ。 それで、戦車隊の今野少尉が試してみたのである。
「これなら、機銃員というより、マジの航法や偵察員でも・・・」と、つまり安定した双発機の飛行がなせる技である。
「双発戦闘機が、意外に満州ではいけるかも・・・」と、夢は膨らむのである。
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