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ツポレフ対策。
対空戦車の防弾は・・・
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「ふう、ヤツらは、河向こうへ行ったな。」「え、え、偵察隊が確認済みです。」「うむ。」「戦闘機が来なかったのが幸いだったな。」と、今野少尉がやっと肩の力を抜いた。
「よし、鹵獲戦車の牽引車が到着するまで、ここで待機だ。」「了解です。」「各自、見張りを残して休んでよし。」 各戦車から1名ずつ見張りが出る。 30分交代だ。 地面に腰を下ろして、くつろぐ戦車隊員らである。
「しかし、どうして敵戦闘機がこなかったんだ。」「おまえは、なぜだと思う。」「さあ~。」「オレが思うに、新型だろ。」「うん。」「じゃあ、整備が思うようにいかなかったんだろう。」「これは、戦車製作所の技師から聞いたんだが。」「あ、あ。」「新型のソ連軍戦闘機は液冷エンジンだそうだ。」「いままでは、空冷の星形エンジンだ。」「それで、技師いわく、空冷と水冷では、全くエンジンが違いがあるそうなんだ。」「でも、戦車は水冷デーゼルエンジンだぞ。」
「こいつ、話の腰を折るな。」「すんません。」「それでだ。」「うん。」「水冷の飛行機のエンジンはクランクシャフトが長いそうだ。」「クランクシャフトってピストンを動かす、ロッドの根元にある棒か。」「そうだ。」「それが、長いんだが、まっすぐじゃないとダメなんだって。」「そりゃ、エンジンが廻る棒だからだな。」「そうなんだが、長い加工した棒をまっすぐに造るのは難しいそうだ。」「なんで。」「マジでまっすぐじゃないと高速回転ができないからだ。」「技師いわく、製作工場の土台から作り直さないといかんそうだ。」「それで、戦闘機を組み立てるとき、製作所の土台工事をしたんだな。」「飛行機を組み立てることは、戦車を造るのとはだいぶ違うらしい。」 「それで、戦闘機は鉄道で運んできたんだろう。」「では、分解して木箱だな。」「それを、組み立てるんだ。」「じゃあ、それなりの工場に、技術者がいないと。」「そうだ、正確な工具で正確に組み立てないと精度がでないからな。」 「精度がでないと、どうなるんだ。」「オイル漏れが酷い。」「・・・・・」
「まだ、漏れは治らないのか。」と、イワノビッチ副官が工場で技師らへ文句である。
「・・・・」なんも言えない、技師らである。 あまり、逆らうと収容所だからだ。 しかし、液冷エンジンはエンジンの組み立てが精度が・・・戦車組み立て工場では、土台から作りなおさないと・・・
「少しの漏れなら、しかし今の状態では、長時間は飛行ができないと。」 つまり、このシベリア基地から満州平原まで飛んで戻ってはこれないだろう。
なんせ、空戦となると、かなりエンジンに無理をさせるからだ。 単に、飛んで帰ってくるのではないからだ。
さすがに、副官も操縦士へ飛べとは言えない・・・・
今野少尉は、戦車開発工場へ顔をだした。
「やあ、今野少尉。」と、本郷主任が出迎える。
「じつは、対空戦車の防弾板の件なのですが。」と、今野少尉だ。
対空戦車は四連装の7ミリ機銃である。 それを、戦車の車台へ乗った円盤に載せてあるのだ。
そして、円盤ごとエンジン動力で動かすのである。 機銃の左右に座席があり、そこへ操作員が乗り込むのだ。
そして、体を敵機から守るための防弾板は、薄い鉄板が・・・
とても、ソ連軍の戦闘機の対戦車用の20ミリ機関砲には・・・役にたたないだろう。
それで、以前より防弾板の話があったんだが・・・・
「まだ、正直な話、無理です。」「とても、機銃の防弾板で、敵の20ミリ機関砲を防ぐことは・・・」
「なんせ、今現在の防弾板は7ミリ機銃用ですから。」と、本郷主任の話である。
「現実に、厚さは4センチくらいは。」と、主任だ。 「4センチだと、戦車の前面装甲と同程度じゃないですか。」と、驚く今野少尉だ。 なぜなら、偵察戦車の装甲が4センチだからである。
「え、え、30ミリ機関砲だと、戦車の装甲を抜けますからね。」と、主任だ。
「あっ、もちろん戦車の装甲といっても上面装甲ですから、対戦車砲を受ける戦車の前面の斜め装甲ではないですよ。」 「なんせ、戦闘機は戦車の上面装甲を狙ってきますからね。」と、主任が説明する。
「安心して戦闘機へ射撃できるように装甲を造るのが、技師としての務めですからね。」と、今野少尉にとり、うれしいことを言う、本郷主任技師である。
「今回のソ連軍の侵攻には、戦闘機が飛来しなかったので、なんとか防ぐことができました。」
「しかし、ツポレフが2機、目撃情報が入ってます。」「うむ、らしいな。」「それで、対空戦車が心配なんです。」「それは、理解してる。」
「わかった、なんとか防弾板を考えてみるよ。」と、主任が・・・
「では、よろしくお願いします。」と、工場を後にする今野少尉である。
「今野少尉、いま帰りました。」「うむ、ごくろう。」「では。」と、答礼して退出しょうと・・・
「帰ったばかりで、すまないが。」と、呼び止められた。
「いま、練兵場で鹵獲したT34の試験をはじめるところだ。」「君も参加してくれ。」「了解です。」
さっそく、敵の新型戦車の試験か、やはり内地の陸軍もT34には興味があるんだな・・・
練兵場には、内地から陸軍の高官が見学である。
やけに、動きが早いな、と今野は思った。 欧州戦線では、ソ連軍の新型戦車に各国とも脅威を感じているのだ。
まさか、そこまでとは・・・思っていなかった今野少尉である。
練兵場では、鹵獲戦車を戦車隊員が動かしているところだった。
見ると、難なく動いている。 運転席というか操縦はカンタンなようである。 なぜなら、鹵獲して操縦席を今野は見たんだが、装甲車よりカンタンそうだったのだ。 レバーが2本あるだけなのだ。 あとは、エンジンを駆けるスイッチくらいだ。 ギアを切り替えるクラッチも無いのだ。 ブレーキが床にあるくらいかな。
「これは、なんとも、カンタンそうだな。」と、内地から着た陸軍高官が・・・
そして、戦車隊の隊員が説明するようだ。 とても、カンタンな操作であったのだ・・・・・・
「よし、鹵獲戦車の牽引車が到着するまで、ここで待機だ。」「了解です。」「各自、見張りを残して休んでよし。」 各戦車から1名ずつ見張りが出る。 30分交代だ。 地面に腰を下ろして、くつろぐ戦車隊員らである。
「しかし、どうして敵戦闘機がこなかったんだ。」「おまえは、なぜだと思う。」「さあ~。」「オレが思うに、新型だろ。」「うん。」「じゃあ、整備が思うようにいかなかったんだろう。」「これは、戦車製作所の技師から聞いたんだが。」「あ、あ。」「新型のソ連軍戦闘機は液冷エンジンだそうだ。」「いままでは、空冷の星形エンジンだ。」「それで、技師いわく、空冷と水冷では、全くエンジンが違いがあるそうなんだ。」「でも、戦車は水冷デーゼルエンジンだぞ。」
「こいつ、話の腰を折るな。」「すんません。」「それでだ。」「うん。」「水冷の飛行機のエンジンはクランクシャフトが長いそうだ。」「クランクシャフトってピストンを動かす、ロッドの根元にある棒か。」「そうだ。」「それが、長いんだが、まっすぐじゃないとダメなんだって。」「そりゃ、エンジンが廻る棒だからだな。」「そうなんだが、長い加工した棒をまっすぐに造るのは難しいそうだ。」「なんで。」「マジでまっすぐじゃないと高速回転ができないからだ。」「技師いわく、製作工場の土台から作り直さないといかんそうだ。」「それで、戦闘機を組み立てるとき、製作所の土台工事をしたんだな。」「飛行機を組み立てることは、戦車を造るのとはだいぶ違うらしい。」 「それで、戦闘機は鉄道で運んできたんだろう。」「では、分解して木箱だな。」「それを、組み立てるんだ。」「じゃあ、それなりの工場に、技術者がいないと。」「そうだ、正確な工具で正確に組み立てないと精度がでないからな。」 「精度がでないと、どうなるんだ。」「オイル漏れが酷い。」「・・・・・」
「まだ、漏れは治らないのか。」と、イワノビッチ副官が工場で技師らへ文句である。
「・・・・」なんも言えない、技師らである。 あまり、逆らうと収容所だからだ。 しかし、液冷エンジンはエンジンの組み立てが精度が・・・戦車組み立て工場では、土台から作りなおさないと・・・
「少しの漏れなら、しかし今の状態では、長時間は飛行ができないと。」 つまり、このシベリア基地から満州平原まで飛んで戻ってはこれないだろう。
なんせ、空戦となると、かなりエンジンに無理をさせるからだ。 単に、飛んで帰ってくるのではないからだ。
さすがに、副官も操縦士へ飛べとは言えない・・・・
今野少尉は、戦車開発工場へ顔をだした。
「やあ、今野少尉。」と、本郷主任が出迎える。
「じつは、対空戦車の防弾板の件なのですが。」と、今野少尉だ。
対空戦車は四連装の7ミリ機銃である。 それを、戦車の車台へ乗った円盤に載せてあるのだ。
そして、円盤ごとエンジン動力で動かすのである。 機銃の左右に座席があり、そこへ操作員が乗り込むのだ。
そして、体を敵機から守るための防弾板は、薄い鉄板が・・・
とても、ソ連軍の戦闘機の対戦車用の20ミリ機関砲には・・・役にたたないだろう。
それで、以前より防弾板の話があったんだが・・・・
「まだ、正直な話、無理です。」「とても、機銃の防弾板で、敵の20ミリ機関砲を防ぐことは・・・」
「なんせ、今現在の防弾板は7ミリ機銃用ですから。」と、本郷主任の話である。
「現実に、厚さは4センチくらいは。」と、主任だ。 「4センチだと、戦車の前面装甲と同程度じゃないですか。」と、驚く今野少尉だ。 なぜなら、偵察戦車の装甲が4センチだからである。
「え、え、30ミリ機関砲だと、戦車の装甲を抜けますからね。」と、主任だ。
「あっ、もちろん戦車の装甲といっても上面装甲ですから、対戦車砲を受ける戦車の前面の斜め装甲ではないですよ。」 「なんせ、戦闘機は戦車の上面装甲を狙ってきますからね。」と、主任が説明する。
「安心して戦闘機へ射撃できるように装甲を造るのが、技師としての務めですからね。」と、今野少尉にとり、うれしいことを言う、本郷主任技師である。
「今回のソ連軍の侵攻には、戦闘機が飛来しなかったので、なんとか防ぐことができました。」
「しかし、ツポレフが2機、目撃情報が入ってます。」「うむ、らしいな。」「それで、対空戦車が心配なんです。」「それは、理解してる。」
「わかった、なんとか防弾板を考えてみるよ。」と、主任が・・・
「では、よろしくお願いします。」と、工場を後にする今野少尉である。
「今野少尉、いま帰りました。」「うむ、ごくろう。」「では。」と、答礼して退出しょうと・・・
「帰ったばかりで、すまないが。」と、呼び止められた。
「いま、練兵場で鹵獲したT34の試験をはじめるところだ。」「君も参加してくれ。」「了解です。」
さっそく、敵の新型戦車の試験か、やはり内地の陸軍もT34には興味があるんだな・・・
練兵場には、内地から陸軍の高官が見学である。
やけに、動きが早いな、と今野は思った。 欧州戦線では、ソ連軍の新型戦車に各国とも脅威を感じているのだ。
まさか、そこまでとは・・・思っていなかった今野少尉である。
練兵場では、鹵獲戦車を戦車隊員が動かしているところだった。
見ると、難なく動いている。 運転席というか操縦はカンタンなようである。 なぜなら、鹵獲して操縦席を今野は見たんだが、装甲車よりカンタンそうだったのだ。 レバーが2本あるだけなのだ。 あとは、エンジンを駆けるスイッチくらいだ。 ギアを切り替えるクラッチも無いのだ。 ブレーキが床にあるくらいかな。
「これは、なんとも、カンタンそうだな。」と、内地から着た陸軍高官が・・・
そして、戦車隊の隊員が説明するようだ。 とても、カンタンな操作であったのだ・・・・・・
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