日本戦車を改造する。

ゆみすけ

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整列した極東ソ連軍。

抜き打ち監察。

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 前線基地の門で、出迎えをうける、監察官と監察助手である。
「ふむ、今のところは、マイナスは無いようだな。」と、イワン司令だ。
 「どうぞ、暖かいところへ・・」と、宿舎へ案内を・・
「いや、とりあえず練兵場だ。」と、シコルスキー監察官だ。 
 つまり、隊内へウワサが広まる前に、全体の雰囲気がみたいんだろう。 どうやら、凄腕の監察官のようだ。
「では、こちらへ・・・」と、イワン司令が、練兵場への案内だ。

 「ほう。」と、声がでるシコルスキーだ。
戦車隊は平然と訓練を・・・そして、戦闘機隊は、滑走路が遠方だが・・・並べて、これから訓練が・・・
 「これが、日ごろの訓練かね。」と、シコルスキーだ。
「そうです、日本軍は油断ができませんから。」「うむ。」と、満足げな返事の監察官だ。
  監察官は、監察助手へ・・すると、監察助手は、員数を数えているようだ。
内心、ほっとした司令官だ。 戦車も戦闘機も数だけは、揃えたのだ。
 「間違いありません。」と、イルーシュン助手が・・・「うむ。」と、納得した監察官だ。
 
 「ここは、冷えますから、どうぞ宿舎へ・・・」と、イワン司令だ。
「いや、これにて失礼する。」「どうやら、ウワサはデマだったらしい。」と、門を目指して歩き出した監察官の2名だ。
 やはりか・・・と、内心ほっとするイワン司令だ。 
おそらく、基地内の内通者により、日本軍に手痛い打撃を受けたと報告した者がいたのだ。
 それで、確認のための臨時監察だったのだ。 
あやうく、首がつながったイワンである。 
 もとより、この極寒のシベリア基地なぞ、誰も好き好んで見にくるヤツなんていないのだ。
それは、ロシア軍人も同じである。
 すくなくとも、モスクワを知ってるヤツなら、そうなのだ。
モスクワ、一刻もはやく帰りたいイワンやイワノビッチらであるのだ。

 「ふう、抜き打ちでしたが、なにもでなかったですね。」「そうだな。」「まさか、監察がバレて。」
「おい、それは無いぞ、でないとオレ達は何のためにここまで。」「そうですね。」と、監察官らはダイン駅まで馬車で急ぐ。 
 もう、一刻もはやく帰りたいのである。 今からなら、まだ帰りの汽車に・・・・
こうして、イワン司令は無事に抜き打ちを逃れたのである。
 なんせ、誰もがシベリア左遷はイヤなのだ。
イワンが収容所へ・・・なら、次のヤツが・・・
 粛清の嵐がおさまった現在では、イワンの地位は守るべきモノであるのである。

 「それで、内通者は?」「ほおっておけ。」と、イワンだ。
「いいんですか、誰かせめて調べないと。」と、イワノビッチが・・・
 「君かもしれん。」と、イワンだ。 「いえ、自分は決して。」と、言い訳のイワノビッチ副官だ。
「だから、詮索はしないのだ。」と、イワン司令官だ。
 「いいか、粛清は内通者が好き放題やったからだ。」と、イワンがいう。
「オレはモスコー(モスクワ)で、何人も無実のヤツを見てきた。」「しかし、内通者のせいで、収容所だ。」
 「そして、優秀な幹部がいなくなったのだ。」 ソ連軍は疲弊していたのである。
「オレは、すくなくとも愛国者だ。」「だから、ソ連の国のために働くだけだ。」「内通者なぞ、泳がせておけ。」と、イワン司令は断言した。
 イワノビッチは驚く。まだ、こんな幹部がいたのだと・・・ イワンもバカではなかったのである。
かつてのロシア軍の気概が、少しはあるイワンであった。

 「では、訓練終了だ。」「明日からは、連携の訓練をはじめる。」「敬礼。」「うむ。」「解散。」
そして、各々は散っていく。 隊舎へ戻る者もいれば、門から満州娘の店へ・・・
 最近になり、やっと駐屯地の周りに店舗がチラホラと建ち始めたのだ。
やっと、前線基地も、基地らしくなってきたのだ。 
 軍隊と夜の街はセットなのだ。 需要と供給である。
もちろん、イヤな病気を移されないために軍は衛生面での管理は強制したのだ。 つまり、避妊や環境衛生である。
 他には関与しなかった。 つまり、避妊のゴム用品や消毒液やらを配給したのだ。
そして、兵にはゴム装着を強制したのである。 だから、売春婦は妊娠しなかった。 それで、安心して商売ができたのである。
 そして、不幸な子も産まれなかったのだ。
日本軍が進駐した亜細亜諸国で、日本人のハーフ問題なぞない。 著者は、聞いたことがない。
 なんせ、強制的な性交ではないからだ。 安くないお金を払って、対価としての売春だったのである。
どこぞの軍のように、ライダイハンなぞ、規律が厳しい日本軍には無いのである。
 脱走兵なぞ、聞いたことがない。 米軍は黒人の脱走兵が・・・・
先の大戦で、米軍最強の歩兵部隊は、日系人の部隊であった。 それは、勲章の数が証明してるのだ。
 当時は人種差別が激しかったが、それを乗り越えた部隊であったのだ。

 


 
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