日本戦車を改造する。

ゆみすけ

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互換性は無い、2両である。

部品は互いに使えない。

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 戦車練兵場の前で、戦車を台車から降ろす。 まあ、対空戦車へ燃料を入れて、動かすだけなんだが・・・
「おい、このレバーは?」と、戦車隊隊員が運転席から聞いてきた。
 「ん、それは、え~っと、燃料ポンプのスイッチだ。」と、戦車を運んできた技師が取説を見ながらいう。
「わかったが、位置が変わったんか。」と、違和感丸出しだ。
 なんとか、慣れないが動き出した。 暖気運転を15分である。そして、おもむろに履帯が、「キュル。キュル。」と、ゆっくり動き出した。 数分で地面へ降りたが・・・
 「いやあ、これは、なんとも、はや・・・」と、運転した隊員がこぼす。
「これは、同じ対空戦車でも別物だな。」と、感想を述べる。
 「ちょっと、取説を見せてみろ。」と、主任技師が・・・
「やっぱりだな。」と、取説を見ながらこぼした。
 「なにが?」と、他の隊員が・・・「つまり、同じ対空戦車でも、最初の設計を替えているということだな。」と、答える主任だ。
 
 「まあ、試作の戦車だから、造りながら工夫をするからな。」と、言い訳めいた言葉を吐いた。
「満州型の攻撃戦車は形式が決まった戦車だ。」「はぁ。」「しかし、対空戦車は1両が運用はされてるが、あくまで試作段階ということだ。」と、主任がいう。
 「つまり、2両目も試作ということなのかな。」と、隊員がこぼす。
「よくわかってるじゃないか。」と、言い訳が通用したと顔に出る主任だ。
 「まて、それなら、機銃座とか機銃の操作は・・・」と、今野少尉が、あわてて聞いた。
「それは、取説の機銃編を見なければ・・・」と、主任がページをめくる。
  「機銃操作の項目、銃弾の装填は、235ページからのようだ。」と、主任が電話帳のような取説をめくる。
ちなみに、取説は1点もので、手書きである。 製本も袋とじだ。
 手書きであるから、枚数が増えたようである。 図面も多い。(手書きの図面である。)

 やがて、今野少尉は、沈黙のオトコだ。
そして、「おい、今度の2両目の対空戦車の隊員は組み分けがしたかな?」
皆が、「まだと思いますが・・・」と、互いを見回す。
 「これでは、対空戦車は互いに別物だから、甲型とか乙型とか専門の隊員を訓練せねばならんようだ。」と、結論である。
 「隊長、いいですか。」「なんだ?」「つまり、操作するレバーの位置が違うし、操作方法も違うということですか。」「そのようだな。」「紛らわしいかぎりですね。」「まあ、それは試作には多いんだ。」
 「じゃあ、機銃員が撃たれて、急遽の交代だ、操作が・・・」「そうだな、わからなくて混乱するかもな。」と、今野少尉が隊員らが言いたいことを・・・
 「基本の操作は、なるべく操作位置や方法を替えないように、苦言をいってください。」と、隊員らから要望である。
 「これは、なんとも・・・」と、運転席の隊員が、「デーゼルエンジンだから、点火プラグではないんだが、なんだ電圧計が6ボルトから12ボルトへ・・・」
 「蓄電池が形式が違うようだな。」と、主任がいう。
「つまり、電圧がクロープラグを熱くするために・・・」と、隊員が。 「そういうことだな。」と、主任だ。
 デーゼルエンジンは点火プラグの替わりに、シリンダー内を温めるニクロム線のグロープラグがある。
そのプラグの電圧が違うのだ。 つまり、違うプラグということである。
 
 改良は日本人の利点だが、部品の統制が遅れて、現場が混乱することも多かったのだ。 
例として空冷エンジンと水冷エンジンの違いがあるのだ。
 陸軍三式戦闘機、つまり飛燕だ。 水冷V型12気筒のドイツのダイムラーエンジンは、水冷エンジンに慣れない整備士泣かせだったとか。
 エンジンが生産が遅れて、エンジンが無い胴体があふれたとか・・・ 
そして、そのエンジンの無い胴体へ、手慣れた空冷エンジンを無理につけたのが、五式戦闘機だ。
 あの、マスタングと互角に戦える戦闘機である。   急降下の制限速度が亜音速に近いのだ。
敵機に後ろにつかれて、逃げる時に有効なのだ。 
 急降下により米軍機を振り切れるのは、飛燕か五式戦だけではないだろうか。 たしか、隼や零戦では翼がもたない速度でも、飛燕はなんともなかったとか・・・・

 
 


 
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