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ソ連軍の戦闘機だ。
訓練あればこそ、だ。
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「では、定時警戒任務に出発いたします。」と、今野少尉が敬礼だ。
「うむ、ごくろう。」司令が答礼する。
戦車庫の前では、満州型の攻撃戦車と対空戦車が暖気運転である。
いまは、暖気運転は15分は必要だ。 なぜなら、冬季だからだ。
暖気運転が不十分だと、エンジンオイルが劣化が進むからだ。
エンジンオイルは軽油より、高額なのだ。 米国と開戦していないから、米国からの輸入である。
日本でも研究はしてるんだが、まだ採算にみあう合成ができないから輸入なのである。
まだ、満州の港にはオイル貯蔵タンクはできていない。
開国して、10年もたってないからだ。 まだ、ほやほやの国である。
「隊長、暖気終わりました。」と、整備技師が伝える。
「うむ、では戦車、前進だ。」と、今野が叫んだ。
「キュル、キュル、キュル。」と、4両の陸軍戦車小隊が警戒任務へ出発である。
定時の警戒だ、見送りなんて、無い。 いや、酒保(駐屯地の酒場)の満州娘が手を振るのである。
清楚で可憐な満州娘だ、これ以上の見送りは無い。(無骨なオッサンの見送りなぞ、イラネーのだ。)
「マルエイからマルテイ。」と、無線が入る。 点検無線だ。
「こちらマルテイ、感度良好だ。」と、今野がマイクで答える。
「こちら、マルエイ了解、以上。」と、駐屯地の無線基地局だ。
点検は軍規で定められているほど大切である。
戦車の車列は、1列縦隊である。 隊長の戦車、部下の戦車3両、最後に対空戦車。
警戒任務である、ソ連軍の越境行為があれば、当然に戦闘となるのだ。
定点へ到着した。 戦車隊は停止する。
今野が、双眼鏡で周囲を警戒する、「ふむ、異常ないようだな。」と、気が休まるが・・・
「おい、なんか聞こえないか。」と、耳に不審な音だ。
どこかで、聞いた覚えがあるような音だが・・・
「隊長、これは飛行機ですよ。」と、砲手が叫んだ。
そうなのだ、三式連絡機と同じようなエンジン音だ。 つまり、「ブ~~ン。」である。
あわてて、今野は双眼鏡を上へ・・・
「あそこだ、3機いるぞ。」と、北の空を見る。
北は、国境だ。 なら、ソ連軍しか無いのだ。
馬賊が情報を伝えて、即かよ・・・今野はソ連軍の動きが速いので困惑するが、見つかるのは時間の問題だ。
「対空戦車は用意いいか。」と、無線だ。 「任されよ。」と即、返答である。
「各、戦車は散開しろ。」と、指示を出す。 散開したほうが、生き残る確率は高いのだ。
2連装、7,7ミリの対空機関銃が動き出した。 敵は、3機だ。
こちらは、1両の対空戦車だ。 3対1である。
見ると、3機のソ連軍は急降下のかまえだ。 「皆、動いて射撃線を外すんだ。」と、今野が指示を出す。
対空戦車以外はジクザグで動き出した。 射撃線を外すためである。
ソ連軍は固定脚のバルディス型に間違いないようだ。 今野は防弾カブトをかぶり直す。
しかし、それでは7,7ミリ機関銃弾は防げないのだ。 そんな重いカブトは被れない。
ソ連戦闘機の急降下の音が聞こえる。 友軍の戦闘機は・・・ 三式連絡機は武装はないのだ。
海軍の空母へ救援を頼まない陸軍の上層部が、不甲斐ない今野である。
「うむ、ごくろう。」司令が答礼する。
戦車庫の前では、満州型の攻撃戦車と対空戦車が暖気運転である。
いまは、暖気運転は15分は必要だ。 なぜなら、冬季だからだ。
暖気運転が不十分だと、エンジンオイルが劣化が進むからだ。
エンジンオイルは軽油より、高額なのだ。 米国と開戦していないから、米国からの輸入である。
日本でも研究はしてるんだが、まだ採算にみあう合成ができないから輸入なのである。
まだ、満州の港にはオイル貯蔵タンクはできていない。
開国して、10年もたってないからだ。 まだ、ほやほやの国である。
「隊長、暖気終わりました。」と、整備技師が伝える。
「うむ、では戦車、前進だ。」と、今野が叫んだ。
「キュル、キュル、キュル。」と、4両の陸軍戦車小隊が警戒任務へ出発である。
定時の警戒だ、見送りなんて、無い。 いや、酒保(駐屯地の酒場)の満州娘が手を振るのである。
清楚で可憐な満州娘だ、これ以上の見送りは無い。(無骨なオッサンの見送りなぞ、イラネーのだ。)
「マルエイからマルテイ。」と、無線が入る。 点検無線だ。
「こちらマルテイ、感度良好だ。」と、今野がマイクで答える。
「こちら、マルエイ了解、以上。」と、駐屯地の無線基地局だ。
点検は軍規で定められているほど大切である。
戦車の車列は、1列縦隊である。 隊長の戦車、部下の戦車3両、最後に対空戦車。
警戒任務である、ソ連軍の越境行為があれば、当然に戦闘となるのだ。
定点へ到着した。 戦車隊は停止する。
今野が、双眼鏡で周囲を警戒する、「ふむ、異常ないようだな。」と、気が休まるが・・・
「おい、なんか聞こえないか。」と、耳に不審な音だ。
どこかで、聞いた覚えがあるような音だが・・・
「隊長、これは飛行機ですよ。」と、砲手が叫んだ。
そうなのだ、三式連絡機と同じようなエンジン音だ。 つまり、「ブ~~ン。」である。
あわてて、今野は双眼鏡を上へ・・・
「あそこだ、3機いるぞ。」と、北の空を見る。
北は、国境だ。 なら、ソ連軍しか無いのだ。
馬賊が情報を伝えて、即かよ・・・今野はソ連軍の動きが速いので困惑するが、見つかるのは時間の問題だ。
「対空戦車は用意いいか。」と、無線だ。 「任されよ。」と即、返答である。
「各、戦車は散開しろ。」と、指示を出す。 散開したほうが、生き残る確率は高いのだ。
2連装、7,7ミリの対空機関銃が動き出した。 敵は、3機だ。
こちらは、1両の対空戦車だ。 3対1である。
見ると、3機のソ連軍は急降下のかまえだ。 「皆、動いて射撃線を外すんだ。」と、今野が指示を出す。
対空戦車以外はジクザグで動き出した。 射撃線を外すためである。
ソ連軍は固定脚のバルディス型に間違いないようだ。 今野は防弾カブトをかぶり直す。
しかし、それでは7,7ミリ機関銃弾は防げないのだ。 そんな重いカブトは被れない。
ソ連戦闘機の急降下の音が聞こえる。 友軍の戦闘機は・・・ 三式連絡機は武装はないのだ。
海軍の空母へ救援を頼まない陸軍の上層部が、不甲斐ない今野である。
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