日本戦車を改造する。

ゆみすけ

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試験飛行だ。

どこへ、降りたのか捜索しないと・・・

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 「おお、これが、標的機か。」と、皆が感心する。 
両手を広げたくらいの翼の長さだ。 
そして、先には、木製の削った2枚プロペラがついたエンジンがある。 
「車輪は、ソリなのか。」と、誰かが聞いた。 
「え、え、車輪は重いので、竹ひごのソリです。」と、佐藤君だ。 
木で脚は着陸の衝撃で折れるかもしれない。 
ソリが、いいと判断した佐藤君だ。 
「その、飛行機に吹き流しを付けるんだね。」「え、え、そのつもりですが。」と、佐藤技師が答える。 
「飛ぶのを、見たいが。」と、誰かがいう。 皆の期待の顔だ。 
「試験飛行を、どうだ?」と、本郷司令がいう。 
「では、練兵場で。」と、皆が佐藤技師と、ぞろぞろ出かけるのだ。 
まあ、いい娯楽なのだ。 
なんせ、ソ連との国境紛争の前線駐屯地だ。 娯楽も少ない。 
軍事機密ではない、模型飛行機だ。 
司令も、それで提案したのである。 
「吹き流しの小さいヤツで。」と、佐藤技師だ。 
「なら、半分に切ったヤツを付けるぞ。」と、庶務係が付けてくれた。 
ガソリンとオイルの混合ガソリンを、小さなタンクへ入れる。 あまり、多くは入れない。
 なぜなら、遠くへ飛んで行ったら、さがせないからだ。 なんせ、この模型飛行機は操縦ができない。 
つまり、無線での舵やエンジン調整ができないのだ。 
つまり、それなりにエンジンを調整して飛ばすだけなのだ。 紙ヒコーキと同じである。 
そして、プロペラを手で廻して、混合ガソリンがエンジンへ吸い込まれるのを確認する。 
そして、ニクロム線のプラグに蓄電池をつないで熱する。 プロペラを手で廻す。 
「プスン、プスン。」と、冴えない音だ。 
なかなか、エンジンが掛からない。 
そこで、ニードルバルブを開ける。 つまり、チョークをかけたのだ。 
空気と混合ガソリンの割合を濃くしたのだ。 
「バルン、バルン。」と、音だ。 やがて、「ビーーーーーン。」と、高音をたてて、エンジンが廻りだした。 
けっこう速い。 佐藤技師はエンジンのプラグを外す。 
もう、五月蠅くてたまらない。 耳をふさぐほどである。 
機関銃の音といい勝負だ。 
そして、佐藤君は飛行機を両手でもつ。 片手では大きくて無理だ。 
そして、頭の上にあげて、飛行機をもったまま走り出した。 
ある程度、走ったら両手を離した。 模型飛行機は吹き流しを付けたまま、ゆっくりと上昇する。 
そして、そのまま、まっすぐに飛んでいく。 なかなかの速度だ。 三式連絡機ほどではないが・・・ 
もう、黒点だ。 やがて、視界から消えた。 
聞こえていたエンジン音も、聞こえなくなる。 「おお、さすがだ。」と、皆が歓声をあげる。
が、それからが大変だ。 飛んで行った飛行機を探さねばならないからだ。 
方向は、わかっている。 なんと、立木の下に墜ちているのが見つかったのは、3時間後だ。 
「ううむ、飛んでった飛行機を探すのが欠点だな。」との結論だ。 
つまり、ひんぱんに訓練ができないのだ。 
飛行機探しに人員をさけるほど、駐屯地の軍人は暇ではないからだ。 
満州の馬賊だったヤツをやとって、その問題が解決したのは、ひと月後であったそうな。 
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