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訓練が必要だな。
飛行機での訓練が必要だな。
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やがて、三式連絡機が再度、地面を蹴る。 「5分くらいしか最高速度はだせないからな。」と、銃座の砲手へ確認する。 「了解です。」と、合図する砲手だ。 上空を旋回して、かなりの距離から三式が飛んでくる。 速度を上げるには時間と距離がいるようだ。 そこは、大馬力の戦闘機ではない。 「ブ~~ン。」と、しょぼいエンジン音が。 「来たぞ。」と、皆が。 「ダ、ダ、ダ、ダ、ダ。」と、機銃が吹き流しを射撃する。 1回目より吹き流しが張っている。 つまり、速度が1回目より速いということだ。 と、甲高いエンジン音が低くなる。 5分なぞ、あっという間である。 練兵場を1周して、三式は降りてきた。 「こんどは、どうかな。」と、吹き流しの穴を数える主任だ。 「1,2,3・・・」と、運動会での玉入れ競技である。 「5・・・・」「えっ。」「5発か。」と、皆が絶句だ。 速度が倍だから、半分当たればと思っていたようだ。 なかなか、予想道理にはいかないようである。 「まあ、訓練は始めたばかりですからな。」と、林野飛行士が慰めてくれた。 砲手は、機関銃も腕前は隊内イチなのだ。 だから、機銃座に座ったのだ。 しかし、飛行機相手は初めてなのだ。 「命中の弾があるだけでも、かなりの腕前だぞ。」と、慰める司令だ。 「これは、飛行機相手の訓練をしないと、ソ連の戦闘機がでてきたら、ヤラれるだけだな。」と、危機感が・・・しかし、満州国に飛行機は、この三式が1機あるだけだ。 「何れ、増えるとは思いますが。」と、林野飛行士が希望的意見を述べる。 言うのは、タダだ。 そして、再度のエンジン整備を終えて、三式連絡機は皆の見送りの中、陸軍本部へ帰っていった。 1機しかない、飛行機だ。 陸軍本部も遊ばせてはくれない。 「そうだ、飛行機相手の訓練と同じような訓練なら。」と、佐藤技師が発案だ。 「手榴弾の投てき器があるだろう。」「あるな。」「あれと同じ物で代用できないかな。」「ううむ、そうだな。」「投てき器なら、この隊にもあるぞ。」「しかし、飛んでくる手榴弾を撃つのは無理なんじゃあ・・・」「・・・・」 別の案だ、という皆の顔だ。 「鳥のハトを使うのは。」「かわいそうじゃないか。」で、ボツだ。 動物を標的には日本軍はできないのだ。 「模型飛行機を飛ばすのは。」と、また案がでる。 「だれが、作るんだ。」で、ボツだ。 そんな、暇なヤツは隊には皆無だ。 飛ばすエンジンもない。 「いや、なんとかなるかも・・・」と、佐藤技師だ。 「エンジンは整備工場の旋盤がありますから、1気筒の簡単なエンジンならできますよ。」「機体は木製で、飛ばすだけなら。」「おまえ、やけに詳しいが経験が。」「え、え、自分は内地でやってましたから。」「なんだと。」「本当なのか。」「え、え、飛ばすだけですが。」「大きさは。」「そうですね、これくらい。」と、両手を広げる。 「その模型に吹き流しをつければ。」「うむ。」と、考え込む司令官だ。 「やってみてくれ。」と、司令が判断した。 模型なら、事故で墜ちてもヒトは死なない。 失敗しても、リスクは少ないからだ。
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