日本戦車を改造する。

ゆみすけ

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これが、油圧装置ですか・・・

油圧装置は完璧に動いた。

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 「ところで、見せてもらえないですか?」と、林野空中勤務員が今野少尉へ・・・「え、え、いいですよ。」と、二人で隊舎を出る。 前線の駐屯地であるが、まだ余裕がある雰囲気である。 いまのところ、露スケは、動く気配がないようだ。 シナでの、紛争の混乱の余波であるが、そこまでは今野少尉も知りはしない。 やがて、1両の機銃が2連装の戦車が見えてきた。 「ほう、これが、対空戦車とやらですか。」と、林野が見上げる。 「え、え、機銃は海軍の余剰物資だそうです。」と、今野少尉だ。 2連装の機銃は陸軍には無いからだ。 「駆逐艦のヤツですか?」「え、え、よく知ってらっしゃる。」「ウワサは聞いてますから。」「・・・」 やはり、弾が詰まって海軍が持て余していたのは、マジだったんだ・・・ そう思う、今野少尉だ。 「でも、この注射器のシリンダーみたいなものは?」と、林野が聞く。 「あ、あ、それですか。」「それが、この戦車の味噌らしいですよ。」と、今野だ。 「なんでも、自動で弾を給弾する装置らしいです。」「なんと、ほう・・・・」「内の技師の苦労の賜物ですよ。」と、自慢げな今野だ。 「内地の工廠には負けてられませんからな。」と、胸を張る今野だ。(今野は技師ではないが・・) 「一度、動作を見たいんですが。」と、林野だ。 「待ってくださいよ、おい、誰かいないか!」と、今野が呼んだ。 「なんですか?」 と、技師の一人が顔を出した。 「君、この自動給弾装置を動かして見せてくれんか。」と、今野だ。 「え、え、空砲でよければ。」「かまわない。」「では。」と、その技師が機銃銃座へ乗り込んだ。 「少尉、エンジンを駆けてください。」と、技師だ。 「おう、そうだな。」と、運転席へ乗り込む今野だ。 小隊長でも、それくらいは知ってるのである。 戦車の後ろでエンジンを廻す装置が動き出した。 やがて、「ガラ、ガラ、ガラ。」と、デーゼルエンジンが掛かる。 「少尉、油圧計は?」と、技師が聞く。「おう、いま目盛りが3から4だな。」「了解です。」「では、空砲ですが・・・」と、技師がいいつつ、「ダ、ダ、ダ、ダ、ダ、ダ。」と、機銃が咆哮する。 そして、技師が足でベダルを踏むと・・・ 連装機銃の座席ごと、旋回をはじめる。 「これは、なんとも、はや、すごいな。」と、感嘆の声の林野だ。 やがて、「実弾ではないので迫力がありませんが・・」と、謙遜して技師が銃座から降りてきた。 今野がエンジンを停めた。 デーゼルエンジン音で五月蠅かったのだ。 互いに声も聞こえないからだ。 「どうでした。」と、技師が感想を聞く。 「いや~ぁ、なんとも、これは、びっくりですな。」と、林野が感嘆の声だ。 「とても、海軍さんがいうほど、悪い機銃には見えないんですが。」と、林野だ。 「そうですね、給弾装置がありますから、弾詰まりは解消されたんです。」と、技師がいうのだ。 「なら、海軍はよろこんで・・」と、林野だ。 「いえ、それが給弾員の仕事がなくなると・・・」と、あきれた顔の技師である。 優秀な装置も利権の金が絡んで、合理的にはいかないようである。 
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