日本戦車を改造する。

ゆみすけ

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役に立った整備員。

骨董品だが、使わねば・・・

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 「さて、そろそろ来る頃かな。」と、空を見上げる今野少尉だ。 ここは、満州国にある、陸軍戦車隊の満州派遣隊駐屯地である。 ソ連との国境付近である。 50キロほど北方はソ連領である。 その駐屯地の練兵場で三式連絡機を待つ今野だ。 やっと先日に、アポが取れたのだ。 そう、対空戦車の運用試験の件である。 実際の飛行機に吹き流しを取り付ける。 その吹き流しを対空機銃で射撃して試験運用とするのだ。 「おお、きましたよ。」と、主任がいう。 「あれっ、なんか動きが・・・」「いかん、エンジン音がおかしいぞ。」「おい、消防車の用意だ。」「わかりました。」「担架も用意しろ。」「だれか、飛行機を誘導しろ、旗がいるぞ。」と、駐屯地は大騒動である。 白旗(降伏に使うヤツだ。)を振り、着陸場所を示す。 「プスン、プスン、バラバラ。」と、エンスト寸前のエンジン音だ。 フラフラと飛んできた三式連絡機は、かなりバウンドしながらも着陸に成功した。 胸をなでおろす戦車隊員らである。 消防車(駐屯地のヤツだ。)や担架をしまったのである。 あわてて機体へ近寄る隊員らだ。 やがて、飛行服の林野空中勤務員が降りてきた。 「だいじょうぶですか?」と、今野が聞いた。 「あ、あ、なんとか着きましたよ。」と、平気な顔だ。 「いや、墜ちそうだったんで、あわてましたよ。」と、今野がいう。 「あ、あ、それは心配をかけましたな。」と、平気な様子である。 「なんせ、骨董品ですからな、飛ぶのも騙し騙しですよ。」と、林野が笑う。 さすが、空のオトコは豪快である。 後で、聞いたらガソリンがギリだったとか・・・ そういえば、陸軍本部から…ここまではかなりの距離だ。 「それなら、帰りは予備タンクをつけますよ。」と、整備主任がいう。 「露スケの戦車の後部にタンクが乗ってるんですよ。」「それが、300リットル入りますから。」と、カンタンにいう主任だ。 (このアイデアが追加増槽へ・・) 「それは、ありがたい。」「でも、ガソリンはあるんですか。」「え、え、戦車は軽油ですが、トラックや司令のクルマはガソリンですからね。」と、主任が答える。 「では、ひとまず時間まで・・・」と、今野は林野を酒保へ案内したのだ。 まあ、お茶くらいは、である。(ここは、前線駐屯地だ、コーヒーまでは無い。) 「しかし、ヒヤリとしましたよ。」と、今野だ。 「それは、すんませんな。」と、林野が頭をかく。 「三式連絡機は滑走距離も短いし、運用も単純な機体ですからカンタンなんですよ。」と、林野。 「まあ、うちの整備がいじれるんですから、わかりますが。」と、今野である。 そして、今野少尉は林野操縦士と、対空戦車の試験訓練の打ち合わせを煮詰めるたのである。(ちなみに、この話の三式連絡機は現実と違い機銃などの武装は無い。)
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