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防空戦車とは?
4連装20ミリ機関砲。
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「防空戦車ですか?」と、今野少尉が上野技官へ聞く。 「え、え、まだ試作なんですが、駆逐艦用の対空機銃を戦車の車台へ載せたんですよ。」と、上野が。 「それは、すごいじゃないですか。」と、今野だ。 「欠点は機銃操作の人員が増えることですが。」ともいう上野だ。 「しかし、戦車にとり飛行機は脅威ですから。」と、今野が加える。 「1両でも防空戦車があれば、中隊(戦車が9両)としては助かります。」と、今野である。 戦車砲では、飛行機は堕とせない。 戦車砲は高射砲ではないからだ。 戦車砲では、上空を狙えない。 それで、砲塔の機銃で対処するんだが・・・ 所詮、それでは無力なのだ。 それで、逃げ回るしかないのである。 なんせ、戦車は前面や側面の装甲は厚いのだが、上は薄いのである。 上まで装甲を厚くすると車台重量が・・・「ぜひ、試作でもいいですから、見せてもらえんですか?」と、今野少尉は要望するのだ。 「そうですね、私の一存では・・」「しかし、試作での参考意見も聞きたいですからな。」ともいう上野技官だ。 「工廠へ帰ったら検討します。」と、言って上野は帰っていったのである。 「対空戦車とは、開発工廠も考えたものですな。」と、司令が今野少尉へ話を振る。 「まだ、ソ連は航空機をシベリアには配備していませんが、時間の問題でしょう。」と、今野だ。 「うむ、満州には、まだ飛行場もないし、陸軍はどうするかな。」と、司令だ。 「上は、海軍には頭をさげないですからね。」と今野である。 上層部ほど、他の軍へ頼むことは嫌がるものである。 海軍の空母へ、援軍を依頼するとは思えないのである。 それなら、対空戦車へ開発の許可がでるのは間違いないのだ。 「海のことは海軍だが、陸(おか)のことは陸軍だ。」と、海軍の出しゃばる場ではないのだ、と陸軍幹部は思っているのである。 軍とは、縄張り意識は強いのである。 それは、現在の自衛隊もあるのである。 表には表れないが・・・ 影では、散々ささやかれているのだ。 著者は自衛隊の古参に聞いたのだ。 一週間後に、今野少尉へ上野技官から、ご招待の電話があったのは当然である。 そして、今野少尉は修理技師の佐藤主任を連れていくこととしたのだ。 佐藤主任は対空戦車に非常に興味があったのである。 それで、今野へ同行を捻じ込んだのだ。 もちろん、上野技官へのアポは取ってるのだ。 なんせ、軍事機密であるからである。 整備工場のトラックで工廠まで半日だった。 門の歩哨へ話をすると、上野技官が出迎えてくれた。 「試作ですので、とても見せられるほどではないんですが・・・」と、謙遜する技官だ。 問題の対空戦車は開発工廠の実験棟に鎮座していた。 「これが・・・」と、今野少尉と佐藤主任は言葉が続かない。 「動くんですか?」と、やっと言葉が出る今野だ。 「まあ、エンジンや操縦装置はついてますから。」と、上野がいう。 「機銃は4連装ですか。」「駆逐艦用の7.7ミリ機銃ですね。」と、佐藤主任が・・・「え、え、しかし問題もありまして。」「7.7ミリ機銃が詰まるんですよ。」と、上野技官だ。 武装は専門外のようである。 海軍でも、この7.7ミリは評判がよくないのだ。 それで、陸軍へ廻したんだろう。
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