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釣りられた、ソ連軍だ。
1両だけと思ってはいけない。
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「やつらは、エンストだぞ。」と、勢い込んでソ連戦車が迫る。 モスクワの軍隊へ・・・ 辺境のシベリアから、晴れてモスクワ配備へ・・・ 夢は広がるのである。 敵に鹵獲された戦車を奪い返せば、英雄は間違いない。 ソ連軍栄誉勲章も・・・ 「そこだ、丘を越えるんだ。」「あと、少しだ。」と、ソ連軍戦車はエンジンも壊れんばかりに加速する。 「おい、そろそろエンジン始動だ。」と、後ろを振り返り今野が・・「隊長、エンジンが・・」「なんだと?」 まさか、マジでエンズトか・・ 「掛かりました。」びっくりさせやがって、冷や汗が・・ なぜ、ソ連戦車は砲撃しないのか。 それは、鹵獲戦車を奪い返すためである。 それを、知ってるから今野もギリまで、ソ連のヤツラを引き付けたのだ。 そのころ、シナのリョクキ軍は、「おお、ここはソ連が助けてくれるぞ。」「なら、安心だな。」「そうだな、それなら死に急ぐこともないな。」「そうだ、そうだ。」と、シナが平常運転である。 得意技の、トンズラ作戦だ。 いかにも、突撃するかのように見せかけながら、いなくなるのは天下一品なのだ。 日本軍も、そこはシナのトンズラを参考にすれば玉砕なんて無かったと思うは著者だけだろうか・・・ 戦場で、華と散るのも人生だが、死んで花実が咲くモノかともいうのだ。 漢(おとこ)の死に場所は選ぶべきである。 そして、装甲車部隊は撤収が間に合って、エンコや破壊されたクルマは皆無である。 あとは、ソ連軍から逃げる、今野隊長の戦車だけだ。 「おい、マジで急げよ。」と、ハッパを駆ける今野だ。 露スケとの距離が・・・ヤバイのだ。 ソ連軍戦車のエンジン音が響いてくるほどなのだ。 おなじエンジンで同じ馬力だ。 追いつけないとは思うんだが・・・ 露スケも、バカばかりではないのである。 戦車の重量はソ連軍の戦車が軽いのである。 同じなのに? いや、鹵獲戦車には無線機が積んであるのである。 この時代だ。 無線機一式は軽くはないのだ。 60キロはあるのである。 それが、微妙な速度の差として出るのである。 そして、無線機用の蓄電池も重いのだ。 そして、エンジンの発電機も容量アップで、これまた重いのである。 「くそっ、エンズトで釣りなんてするんじゃなかったわい。」と、いまさら後悔の今野少尉なのだ。 「いけ~っ。」「あと、少しだ。」「日本軍を血祭だ。」「黄色い猿めっ。」「極東の蛮族めっ。」と、日本の悪口を叫んでソ連軍はチンチンである。 なんせ、モスクワからの粛清で、ヒヤヒヤの毎日なのだ。 いつ、首が飛ぶかわからん軍隊なのだ。 日本軍の所為では無いのだが・・・ 「くそっ、砲撃できれば、1発なのに。」と、ソ連軍だ。 しかし、鹵獲戦車を取り返すのだ。 そこは、ガマンである。 こうして、1列の日本軍とソ連軍の列ができたのである。 まあ、傍(はた)から見ると仲良く行進に見えるのだが・・・ 「待ち伏せ班から隊長車へ。」と、やっと無線だ。 「おお、待ちくたびれたぞ。」と、今野だ。 「見えました、そのまま進んでください。」と、無線が追加だ。 「しかし、どこに隠れてるんだ。」と、今野があたりを・・「まったく、わからん。」と、「それどころではない、急げ。」と、操縦士をせかせる今野少尉である。
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